Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル 番外編

    “逢魔小路夜譚”(おうまがこうじ よばなし)
 



 その昔、と言っても語り部が代替わりするほどでもない程度の、そうさな、十数年ほど前のことだろか。当時は結構栄えていたお屋敷のあった通りの、奥の側の辻辺り。道の片側に延々と続く漆喰塀の、褪めたような白が月光に晒され、乾いた光を帯びてるその先に、三差路になってる辻があって。突き当たりから左右のどちらへも長々と続く、やはり漆喰塀の陰が落ちてるそこは、方角の関係でかいつだって闇だまりになっていて。塀の上へ月でもあれば、暗くはあっても塀の陰の幅だけのこと。わざわざ俯かなければ視野にだって入らないから気にならない。だが、曇天の晩などに通りかかると、その辻から左右のどちらへも、やたら陰鬱な薄闇が臨めるばかり。そんな不気味な空間が結構な長さを続くその上、ところどころに柳の木が悄然と立っていたりするのがまた、風に枝を揺らす様が冥界の使いのようで薄気味悪いとあってのこと。従者も込みにて気弱な公家公達なぞは、いかにも尤もらしく“今宵その道をゆくと方違えになるから”とか何とか言い立てて、そこを通ること自体を避けるほどでもあったそうで。権勢高き屋敷のご近所なので、あまり声高には腐されなんだが、これも世の常、その権門が寂れてしまうと、さあ、人々は口々に囁き立てる。あの辻には先の家主に恨みのある者が転じた魔物がおって、そこに棲みつき、家人たちを運気もろとも少しずつ弱らせて行ったのだとか、せいぜい実
まことしやかに語り継がれて。しまいには誰が言うともなく、そこを通ると妖かしが誘うの、祟られるのとまで、良からぬ噂が飛び交った。



「そんな噂を耳にした、当代一の豪傑とその名を馳せし公家の大将がおっての。そんな他愛もないことで大の男がびくびく震えていてどうするか。妖かしが出るというならこの俺様が首根っこ掴んで引っ捕らえ、屋敷で飼って見世物にしてやろうぞなどと。勇ましいことを放言し、武勇伝仲間の侍者や舎人を数人ほど引き連れて、そんな不気味なところでの月見をしようと洒落込んだそうだ。」
 日頃は、その居丈高な性格を効果的に発揮出来る伸びやかな声をしているものが。意識して低めらると不思議にも、仄かに掠れて何とも言えぬ余情を孕む、表情豊かな声音へと変わる。これが閨
ねやにて耳元で拾ったそれなら、体の芯を切なくも きゅうぅと掴みしめるよな、しっとり甘い、艶えんな声にも聞こえるのだが。
「最初のうちは、月も出ていて酒もあり。気心の知れた仲間の集まり、何かしらの宴でもあるかのように、わいわいと陽気に騒いでおったが。次第に夜も更け、酒も尽き。仲間の中には酔い潰れて寝入ってしまうものも出ての。起きている頭数が減れば、自然と声も低くなる。頭上にあった月もいつの間にやら随分とかたぶき、話題も尽きると、何ゆえここに集まったかを思い出し、周囲の静けさとのいよいよの我慢比べと相成っての。」
 燈台の上にて時折揺れる、火皿の炎に照らされし。おどろな陰に縁取られた白い横顔も、何に憑かれたか無表情なまま。淡々とした声調にて、ずんと昔の妖怪話なんぞを語っていたりした日にゃあ。
「さわさわと吹く風に、柳の枝がふわりゆらり。枯れかけた葉が触れ合ってのかさりこそりという音を立て、それがいかにも、何物かの気配に聞こえるものだから。目が覚めておる者らは、それが聞こえるたびに胸を押さえては背条を延ばして辺りを見回す有り様での。」
 何とも冷え冷えと伝わる声音が、さも恐ろしい咒のように聞こえて来るから不思議なもんで。
「何だだらしのないと笑っておった豪傑も、すぐ真後ろの柳がさわさわ揺れて、その音がなかなか止まぬのは気になったか、そぉっと背後を振り返ってみたれば、そこには何と………っ。」
 勿体ぶってか、そこで一旦 話を区切った術師の青年。自分の前に向かい合う聴衆たちを静かに見回す。
「…どうした、怖いか?」
 瞼を半分ほど降ろした眇目になって、見下すように声をかけられ、
「もうもう勘弁してくださいませ〜〜〜っ;;;」
 にゃ〜〜〜っと、既に半分くらい泣きべそかいて。簡単に降伏してしまったセナの方は、すぐ傍らに座していた、自分を守りし黒髪の憑神のそれは頼もしい懐ろに、横ざまにひしとしがみついているからともかくも、
「〜〜〜〜〜。」
 もう一人の小さなお客様は、なかなか強情にも我慢の表情。横へと引き絞ってがっつり縫い合わせるように閉じた口を、その上から咬みしめてという念の入れようにて。表情を引き締め、怖がるものか泣くものかとせいぜい頑張っているのだが、
“その顔になって歯ぁ食いしばってる時点で、怖がってるって証拠じゃねぇか。”
 大人げないことをするのは今更な、少々 お人の悪い陰陽師の青年ではあったが、同じくらいの年格好のお子様二人、自分の語りだけにてこうまで震え上がっているのを前にして。これでは弱い者苛めも同じだのと、さすがに気づいたか、
「やめじゃ、やめじゃ。これ以上怖がられて、柳の並木が怖いの、何日も眠れぬようになっただのと愚図られても興ざめだからの。」
 これも効果を狙ってのことだろう、少しほど前かがみになってた背中を伸ばし、表情が陰に沈むようにと俯けていたお顔をあっさりと引き起こせば。広間に射し入る月光の、真珠色の光にも照らされし顔容
かんばせが、今度は隈なくあらわになって。淡い金の髪が冠のように頭上に煌めき、色白で線の細い、何とも嫋やかで玲瓏なお顔へと戻られたその途端、
「…お頭様ぁ〜〜〜。」
 さっきまでは…態度はともかく口利きだけは、平気の平左衛門と言わんばかり、何とも怖くなんかねぇと偉そうに嘯(うそぶ)いてたその口が。見る見るうちにも“うにぃ〜”と引き歪んでしまって、それから。これもすぐ傍らに、保護者のように腰を下ろしていた蜥蜴の総帥殿の黒衣をまといし懐ろへ、わっと手を伸ばして来てむしゃぶりついてしまった坊主だったから。
「何だ、意地を張ってただけか。」
 そうなるという予想がなかった訳ではないらしく。坊やのお顔がこちらの懐ろ、胸板へ埋まりやすいようにと、小さな肩へ手を添えて、軽く抱えてやった葉柱の言いようへ、
「だって…だってよぉ。人間を邪妖が怖がってちゃあ、あべこべじゃんかよぉ。」
 だから我慢してたんだいと、えくえくと泣きもって訴える小さな男の子。その、ぱさぱさした髪の乗った頭を、そうか よしよしと苦笑しもって撫でてやってる大きな手のひらへ。

  「……………。」

 何かしら、物言いたげな眼差しを据えたまま、それでも…何とも言わぬままにて。澄ましたお顔で黙っていた蛭魔であり。
“…まま、何もかもに察しがいい奴ではないからの。”
 それは重々分かっていたが、それでも…人の気も知らないでと腹の底にてぶうたれて。今日のところはそれだけにしといてやった、何とも寛大なお館様だったりしたのである。






            



 コトの始めは同じ日の昼下がりへと逆上る。前の晩に姿を現さなかった蜥蜴の総帥、黒の侍従が、結句 丸1日もご無沙汰した あばら家屋敷へやって来たのがその頃合い。しかも彼は一人ではなく、
『何だ、そのガキは。』
『覚えておらぬのか?』
 少しほど色の抜けた髪をざんばらに散らした、当家の書生くんと同じくらい…いや、もう少し小さいくらいの年頃だろうか。人見知りするのか、葉柱の着ている着物に両手でぎゅうと掴まったままでおり。じっと凝視を投げやると、その視線に圧し負かされるように萎縮して、じわじわと後ずさりをし。しまいにはすっかりと、総帥殿の大きな背中の陰に隠れてしまった幼い子供。そんな彼を何とか宥めて手前へ引き出し、その小さな背中へ手を添えてやって、
『ほれ。先の秋だったか、大妖に追われて此処で世話になった折の。』
『…ああ、あの時の。』
 確か、大ムカデの邪妖に襲われていた子供を救い出した葉柱が、相手からの猛毒を浴びたのでと。その回復がてら、追っ手から気配を断つために、この屋敷の庭に負の結界を張り、そこに籠もることで治癒に集中したという騒ぎがあって。どうやらこの子はその時の童であるらしい。そうは言われても、猛毒に触らせる訳にはいかないからと言われて、彼らにはまるきり近づけなかったし、そのまますぐにも結界が張られたため、蛭魔の側としては姿もろくに見てはいなかった相手。それに、
“けったくそ悪い騒ぎだったしの。”
 その子に罪はないのだが、それでも。自分を二の次にしてまでも、その子を守ろう回復させようと頑張ってた大きな背中の、何とも余所余所しかったことだとか。すぐ至近におったのにもかかわらず、三日三晩もの長きに渡り、顔さえ見られずにいた苛立ちだとか。何とも むっと来ることしか思い出せなくて。日頃から“自分のものだ”と、そうと意識するより前から決めつけていた葉柱が、ああそういえば蜥蜴の邪妖ら一門の総帥なのでもあったっけと、仲間たちに何かあれば、尽力奔走せねばならぬ身なのだと、今更ながらに思い出さざるを得なかった騒動でもあったので。ついつい細い眉がぴくりと跳ねたのへ、ますますのこと何でだか異様に怖がった坊主であったが。
『母親がの、若夫婦の出産の手伝いに行っておって。』
 ただでさえ大変なお産。その上“初産”というのは、それは不慣れなことで不安でもあろうからと。近場の経産婦が付き添うのが、彼らのうちでの何となくの習わしになっているのだとかで。
『そいでもって、総帥さんが直々に子守かよ。』
 脇息に凭れるようにして“何だかな”と呆れたように言ってやれば、
『やっぱ、おかしいかな。』
 そこに至って悪びれもせず、可笑しそうに“ははは…vv”と笑い飛ばすところが、
“…畜生め、余裕じゃんか。////////”
 何でだろうか、自分までもが頼もしいなと思えた蛭魔だったりし。頼もしい? いや、そうじゃなくって。懐っこいというか、親しみやすいというか。

  ――― ほっこりと心安らいで安心できるというか。

 胸の裡にてそんな描写を爪繰りつつも、
“…どっちにしたって。”
 怪しくも禍々しき“物の怪”の頭目、おどろおどろしい存在な筈の邪妖の総帥が、嬉しがって冠されていい形容詞じゃあないよなと。やっぱり人のいい奴だとの認識も新たにしつつ、
『まあいいさ。母御が戻るまでの子守だというなら、此処で世話をすりゃあいい。』
 そうと言って、年齢も近かろうからとセナを呼びつけ、唐渡りの図録なんぞを眺めさせたり、竹細工の玩具を広げて遊ばせたりしていたのだが。宵になったのでと寝かしつけようとしたところが、さすがは邪妖の子で、ちっとも眠くないと言い張るので。ならばと寝やすいような御伽話でもしてやるはずが、何せ語り部が蛭魔であったせいで、

  「怪談もどきになってどうする。」
  「それをまた、怖がる邪妖もどうかと思うが。」

 総帥と同じ気性になるのが彼ら一門の特性なのか。妙に人間臭いというのか、稚くって何とも可愛く、セナとも気が合っており。やっとのことで母御が迎えにやって来たので、つい先程、帰っていったのだけれども。
「柳が怖いよ〜ってのは よかったの。」
 白磁の盃を口許へ寄せ、くつくつと笑った術師だったのは。さっきの怪談話のせいで、すっかり怖い怖いと怯えてしまった和子だったのを思い出したからだろう。小さい者が怯えたのはやっぱり痛々しいと思うのか、こちらさんは少々眉根を寄せて、
「しょうがねぇだろが。」
 彼の代わりのように憤然として見せる葉柱だったが、
「だってよ、邪妖が物の怪やら悪霊やらを“得体が知れぬ”と怖がってどうするよ。」
 それでは本末転倒ではないかと、その点が可笑しいのだと言う蛭魔であり、
「そうか? 人間だって、人気のない道、何も化け物だけが怖いから用心するのではなかろうよ。」
「…? まあ、そうだが?」
 追い剥ぎに野伏せり。そういった物騒な輩が襲いかかって来はせぬか。まだ時代は早いかもしれないが、刀の試し切りがしたい“辻斬り”なんぞという殺人鬼にでも鉢合わせたら?
「こちらも同じじゃ。魔力の大きな邪妖の中には、小さいのをいたぶる悪趣味なのもおるのでな。」
 誰ぞに仇をなす存在じゃあない。出会わなければ関わることもないままに、安寧平和なそれぞれの一生を送るだけという、人にも何にも害なぞ齎さぬ、小さな小さな邪妖の方が、絶対数では断然多いのだけれども。大きな邪妖はそれだけ強いし、見下げる癖が性分まで曲げるのか、周囲に害を振り撒かねば生きてる実感が沸かぬと思ってるような、性
タチの悪い奴が多すぎて。
「ましてやあのチビさんは、昨年あのような目に遭ってもおるしの。」
「…まあ、そうだろな。」
 そうだった。蛭魔の側からすれば、俺様の侍従を勝手に独占しやがってとか、お前もそんな面倒な地位なんてとっとと誰ぞに譲っちまえとか、そんな風に感じただけの騒動だったが。あの子にしてみりゃ、今より小さかったのに、とんでもないほど恐ろしい目に遭ってた訳で。それをからかって笑うとは、やっぱ大人げなかったには違いないかと。
「〜〜〜〜〜。」
 口許を尖らせたものの、すぐにも肩を落として見せたは反省のつもりか。だとすれば、結構素直な陰陽師殿でもあって。
「…。」
 蒸し暑いからと早々に火を退けて蓋をした、炭櫃の跡を挟んでの差し向かい。セナも進もとうに下がらせての二人きり。春の場末の夜更けは、通る牛車の気配もないから、そりゃあ静かで…罰が悪いとなかなか落ち着けなくって。そんな彼だと見越してのことか。だったらやっぱり過保護な総帥、
「………まあ、宥めてやってくれたから助かったけどな。」
 怖いのや大きいのがそこここにひょいひょい居るものか。居たら居たで、そこの鈍臭い親方様が退治してくれるのだろうがよと。だから怖がるこたぁねぇぞと、話を上手くくくってくれた蛭魔だったので。小さな坊やも何とか落ち着き、迎えの母御に手を引かれ、土産の餅の包みを大事そうに抱えて、帰っていったのだけれども。
「……………。」
 悪気はなかったって判ってるからと。そういう意図は通じたろうに、やっぱり微妙に黙りこくっている術師殿。ふいと逸らした視線が俯き、そのまま伏し目がちになったりすると。月光にその輪郭を縁取られたまぶたの縁に、淡色の睫毛の陰が落ち、玲瓏な表情に何とも言えぬ艶を添える。肉薄なのに表情豊かな口許が、仄かに濡れて息づいていて。蠱惑に満ちた美貌へと見とれながら、
「……あのな?」
「くっだらねぇことは訊くなよ。」
 いかにも繊細な物思いに沈んでいるように見えたのに、口だけは達者で気丈なままで。今日のずっと、葉柱へとまとわりついてた小さな坊や。何ぞ判りやすい文句を言った訳ではなかったが、もしかして…ちょっとは嫉妬したか? 訊いてみたかったけれど、その前にすっぱり先んじられてしまっては。
“…うう。”
 やっぱ手ごわいな〜と苦笑が洩れる。それって単なる予測の範囲内だったの? もしかして図星を指されるのが嫌で。そんな疚しさが攻撃的な反射を見せて。訊いたって答えねぇとついつい言っちゃったんじゃないの? 問わず語らずのそういうところを含んでもいるからこその、甘くて楽しいやり取りだのに。案外と当事者は切羽詰っているがゆえ“そうなんだ”ってことに気づいてなかったりし。
「………お。」
 まだまだ夜には強い風も吹きゆく、青嵐の盛りな頃合い。隙間の多いあばら家屋敷だ。どこかの隙間へ飛び込んだ風の悪戯か、ろうろうと唸るような、低い笛の音のような声が遠くで鳴っており、
「坊主が怖がってやおらぬかの。」
 女所帯だ、行ってみてやろうかなどと。わざとらしくも呟きながら、立てた膝頭に手をついて、よいせと腰を上げたれば。
「………
。」
 途端に。はっとして顔を上げた気配がありあり届くのが、ややこしい奴だのに他愛なくって。葉柱としては、腹の底や胸の奥あたりが擽ったくもなる。
「まあ、奴には母ちゃんがいるか。」
 そのまま立ち上がり、だが、向かったのはほんのお向かいへ。やっぱりそっぽを向いている、意地っ張りな誰かさん。そんなしてるから、ほっそりした肩がつんと尖って見えて。それから…何とも寒そうだったので。すぐ傍らへと腰を下ろして。

  ――― なあ。
       んん?

 肩を引き寄せ、ホントに全然、妬いてねぇ? 性懲りもなく訊いてみたら。
「………ほんの ちょっとだけな。」
「おや。」
 総帥様だもん、しょうがあんめぇ。こちらの懐ろへ顔を埋めるどさくさに紛れて。そんな言いようをする彼で。それは愛らしくも小さかった邪妖の坊や。非力で怖がりで、泣き虫で。
“あんな和子に頼られたら誰だって頑張るよな。”
 言われずとも守ってやろうって思うよな。そういう立場が羨ましい訳じゃあないけれど。毅然と強くて雄々しいままに。たった一人で生きて来れた身、誇りに思って高笑いだってしちゃうけど。守ってくれるのがこのこいつなら、ちょっとは“いいなぁ”とか思いもする。それを世間一般では嫉妬とか岡焼きとか呼ぶのだが…。
「護ってなんかほしくねぇんだろ?」
 思ってたことを丁度なぞられて。居心地悪そうに身じろぎをすれば、大きな手のひらがそれをやんわりと押さえ込み、

  「支えるのもダメか?」

 きゅうと懐ろの深みへと抱き込んで。ぴんぴんと跳ねてる金の髪の中へと口許を埋めての、小さな呟きが…胸の奥へとじんと広がる。
「なあって。」
 愚図るようにせっつかれ、それで我に返って、あのね?
「…たまにならいい。」
「そか。」
 照れ隠しか、それとも嬉しいからか。ますますと腕の環を狭める彼なのへ、だーもうっ、鬱陶しいと。ささやかに暴れながらも力は入れず。やがては…甘い囁きの声がするだけの夜陰へと。二人、静かにすべり込む。



   ――― 月だけが見ていた、静かな皐月の晩のお話。




  〜Fine〜  06.5.06.〜5.12.


  *水洗い出来ないものを空気で洗浄っていう
   某洗濯機のCMがあるじゃないですか。
   あれで、玩具を取り上げられた小さな女の子が、
   パパさんだろう男の人の長い脚へとしがみつく構図が、
   何とも好きでたまらなく。
   それでと書いてみたお話でございます。
   どこが?って出来ですが、
   まま、こういうものは得てして自己マンですんで。
(笑)

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