Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル おまけ

    “別のお話”お星様キ〜ラキラ☆
            *進さんBD記念作品(DLF…?)
 

あのあのえっと、こんにちはです、おねいさん。
ボクは、こばやかわ セナってゆいますvv
○○○小学校の2年生です。

あのね? 知ってますか? 明日の晩は“七夕”です。
折り紙で作った わっかの鎖とか、半紙を切ったあみあみを飾った笹を立てて、
天の川で1年に一回だけ逢える織姫様と彦星様をおーえんしてあげるとね?
短冊に書いたお願いが叶うかもしれないんだってvv
すごいよねーっ o(><)ovv////////
だからまずは“雨が降りませんように”って
朝から“なむなむ…”ってお祈りするんだけれど、
ひゆ魔くんに訊いたらネ? 今年はなんか“びみょー”なんだって。
う〜〜〜。今年は絶対に、晴れてほしいのにな。
………え? なんで“今年は絶対に”なの?
だって、あのね?/////// えと、あのね?///////
進さんのお誕生日のすぐ前でしょう?
だからね、何をプレゼントしたらいいのか、ずっとずっと考えてたの。
でもでもなかなか決まらないの。
だって進さんは、甘いものもあんまり食べないし、
ムシキングの鉛筆も、ぷりきゅあシールも集めてないし。
一番好きなのはアメフトだって知ってるけれど、
でもそれって、セナには小さすぎて、練習のお手伝いさえ出来ないことで。
何をあげれば喜んでくれるのかなぁって、
7月になる前からずっとずっと考えてるのに、全然決まらないの。

そいでね? 困ったときは、ひゆ魔くんに訊くのが一番だからね?
(おいおい)
うん、そう。ひゆ魔くんも“おいおい”ってゆってたよvv
そいでね、一緒に考えてくれたの。
まずはセナが好きなものを聞いてね?
“それをそのまま進にやればいい”なんて言うの。
え〜〜〜? だって。
シュークリームにショートケーキに、
駅前の『らふちー』のチョコパフェにプリンvv
どれもセナは大好きだけれど、進さんはセナの分しか買わないもの。
進さんはコーヒーだけで、セナが“あ〜んvv”ってしたのだけ食べてくれるけど、
あとはセナが“美味しいですぅvv”って食べるの見てるだけだよ?
え? うんvv すごい やさし〜お顔なのvv
眸が合うと、あのね?
にこーって笑って、頭、撫で撫でしてくれるの〜〜〜vv
あ、ホントだもんっ! 笑ってくれるもんっ!
でもやっぱり…進さんは1個だって食べ切れないから もらっても困ると思うよ?
それにね? セナはセナの時、大っきなペンギンさんをもらったでしょ?
凄っごい嬉しかったし、
毎日“進さ〜んvv”って、ぎゅ〜〜〜って出来るでしょ?
うんvv いっつもしてるの〜〜〜vv
そしたらママがね? そのペンギンさんのお名前、進さんにしたの?って。
そんなのって変だよねぇ?///////
…えとえと、だから。
食べるものより、そーゆうのが良いの。
でもね? 進さんのお部屋には、ぬいぐるみとか一個もないし。
?な〜に? あったら怖いの?
………進さんのお部屋、ぬいぐるみのお化けとか出るの?
ねえねえ、ひゆ魔くんってば、ねえ。





          ◇



 相変わらずのでこぼこコンビが、それでも仲良く小さなおでこを寄せ合うようにして、ちまちまと作業を続けていたのは、蛭魔さんチのリビングルーム。
「………よっし。じゃあ、まず一つは決まったな。」
 小さなお手々を手芸用のボントでベトベトにしながらも、二人のおチビさん、目的のものは一応完成。
「わ〜いvv」
 やたやった♪と満面の笑みを浮かべて、そりゃあ嬉しそうなセナくんの前。お膝をついてすぐ傍についてたテーブルの上にあるのは、あのね? 小さなセナくんのてのひらにすっぽり隠せそうなほど小さな小さな、焦げ茶色に白いラインが2本入った、レモンの形のフエルト・マスコット。これでも綿をちゃんと挟んである、立体的なマスコットで、針は危ないからってボンドで縁をぐるりと止めてある。そこへストラップなんかを吊るす玉ビーズの小さいチェーンを通したら、カバンとかに提げられるマスコットの完成です。
「ねえねえ、これってキレイに出来たの? なんかボンドの白いのが隙間から ちびっと見えてるけど。」
 嬉しい興奮が少ぉし収まると、次には色々と心配になって来るのが“ヲトメ心”というもので。失敗してないか、心配で心配でしょうがないセナくんらしいです。
“…ヲトメって言うんじゃねぇ。///////
 あらあら、まだ前の話が後を引いてんでしょうか、この坊っちゃんたらvv
(笑) ………判ったから、紐通しの穴を空ける“ハトメ”をこっちへ突きつけるのは、とっても危ないからやめたまい。
「ひゆ魔くん?」
 お返事がなかったからと、大きな琥珀色の瞳をパチパチと瞬かせて見上げて来たお友達へ、
「いや…言った通り、あんまり表へベタベタ触ってねぇから大丈夫だ。フエルトも毛羽立ってねぇし、このボンドは乾くと透明になるから目立たなくなるし。」
 柔らかな金の髪に、細い指。お人形さんのような繊細で綺羅らかな風貌に反して、銃の手入れから簡単なICチップ搭載のミニロボ作成までを楽勝でこなせる、それはそれは器用な蛭魔さんチの妖一くんにしてみれば。こんなマスコットくらい、針と糸とを使ってザクザクって、あっと言う間に作れてしまうのではあるが。初心者セナくんへ教えながらの製作になったので、結構な時間が掛かってしまい、
「あ〜〜〜、そろそろルイが来るな。」
 壁に掛かってた時計を見上げ、金髪の小悪魔くんが“う〜ん”とちょっぴり唸って見せる。
「葉柱のお兄さん、ここに来るの?」
「ああ。ルイんチの庭に生えてた笹をな? 枝振りのいいトコ、1本、持って来てもらうことになってるんだ。」
 例年だと、大工さんだからコネがあってムサシのおじさんが持って来てくれるのだが、今年は間が悪くも遠出のお仕事が入ってて、今日明日にはこっちまで戻って来られないのだとか。まあ、そろそろ卒業しても良いしななんて言ってたら、葉柱のお兄さんがウチのを持って来てやるって言い出して。
“短冊に願い事書いて待ってろだとサ。”
 人を幾つの幼稚園児だと思ってやがるかなと、口に出して腐そうとしたところが、
「わぁ〜〜〜vv じゃあじゃあ、セナの短冊も提げてい〜い?」
 出すか? こんなタイミング良く。…つか、
「何でそんなもん持ってるんだ、お前。」
 お前んチじゃあ何か? このシーズンはチャンスを逃さないようにって、いつでも携帯しとるのか? 信じらんねぇと言いたげに妖一くんが訊いたところが、
「違うもん。さっきの手芸屋さんで買ったんだもん。」
 ふわふかな頬を真ん丸く膨らませるセナくんだったりし。フエルトやボンドを買い揃えた、手芸のムトウヤさん。画材も揃えておいでの“ホビーのお店”なので、この時期は折り紙や、色紙を切った短冊、幾枚もの薄紙を重ねてあって、広げると立体的な人形だの行灯だのになる飾りのセットや、笹の枝までが店頭に並んでおり、それを目ざとく見つけてご購入なさってたおチビさんであるらしい。
「あのね? 明日晴れたら、織姫様と彦星様が逢えるでしょ? そいでね、それをちゃんとおーえんしてたら、願いごとを叶えてもらえるってママが言ってたのvv
 無邪気に笑うセナくんには、
「…応援するとってトコは、今風なんだろな。」
 お庭に向いてた大きな窓から入って来かかってた葉柱のお兄さんが、ちょっと感心してのお言葉を下さったのであった。…てか、こんな静かにいらっしゃるとは、それもまた意外なんですが、
「………ルイ、バイクは?」
「ああ? こんなデカくて長いもん担いで飛ばせっかよ。」
 それで肩にひょいと担いで散歩がてら歩いて来たのだそうで。こんなデカくて…と仰有っただけはある、かなり見事な枝振りの笹が、まだ明るい暮色の立ち込め始めたお庭を背景に、何とも涼やかな青い香を振り撒きながら揺れている。そんな瑞々しい緑を背景にしていると、がっつりと屈強な肢体を包む白いシャツがまた良く映えて。
「…どした。」
「デカい手だな。」
 比較になっちまって笹が小さく見えんぞと、耳の先を赤くした坊ちゃんに言われて、頬を人差し指の先でコリコリと掻いた総長さん。
“…もしかして、照れてやんのかな?”
 さぁあ?
(笑) そんな総長さんの大柄な体の横、自分用の庭履きを突っかけて通り抜け、軒端のどこに立てるかを検分し始めた妖一くんであり、そんな坊やの小さな背中を、肩越しに見るともなく見やってた葉柱のお兄さんの、オーバーシャツの裾をくいくい…と引く手がある。
「お?」
「あのねあのね、葉柱のお兄さんは、ヒユ魔くんから何もらいましたか?」
「は?」
 掠れるほどに小さな小さな声で、稚
(いとけな)いお顔を目一杯真摯なそれにして。小さなお手々を衝立のようにして口元を隠し、そんなことを訊いて来るセナくんで。
「あのね? お誕生日のプレゼント、葉柱のお兄さんは、ヒユ魔くんから何もらいましたか?」
「………ああ。」
 そういうことかと、彼が思い出したのは。先日たまたま見た坊やのスケジュール帳にあった花丸のこと。
“進の誕生日、か。”
 それにちなんで訊いているのかと合点がいって、
「何てんだろ。オーブントースターで焼いたら固まる粘土で作ったっていう、ストラップだったぞ?」
 ほれ、と。自分の携帯電話を出して見せ、そこに提げられた小さなお人形をセナの目線まで持ち上げてくれる。でもそれって、
「………ヒユ魔くんに似てる。」
「まあな。」
 頭に乗っかっている髪は黄色だし、こういうのはデフォルメするものだと言ったって、いかにも子供っぽい顔立ちのそのお人形はどう見ても…総長さんというよりも、妖一くんの方に似ているみたい。
「俺も最初は、こういうのって俺に似せたの作らないかって思ったが。」
「思ったが?」
「………………。いや、えっと…。」
 こそこそと小声で話していたそのすぐ傍らへ、ご本人がそぉっと身を寄せていた。そらまあなぁ。大きなお兄さんが身を屈めてる格好は、あまりにも分かりやすい“内緒話”のポーズ。
「話しちゃ不味かったか?」
「べ・つ・にっ。////////
 不味かったみたいですね、お耳が真っ赤だし。
(苦笑) そんな可愛らしいものをあげただなんて、あんまり広められたくはなかったらしい妖一くんらしかったが、はあ…と肩から力を抜くと、
「だから。自分が手元に置くとして、だ。自分にそっくりに作られたもんよりも、俺だったら“くれた相手に似てるもの”の方が分かりやすくて嬉しいかなって思ったからさ。」
 だって母の日や父の日の似顔絵じゃないんだしと、彼には珍しくも含羞みのお顔と口調になったりするから…しおらしくもこんな素直なことを吐露するようになっちゃうなんて、恋って素敵vv


   ………そうして、そして。





 セナくん、頑張ってもう1っこ、マスコットを作りました。丸いお顔にモヘアの毛糸でふわふかの髪の毛を貼って。大きなお眸々はバランスが難しいから、敢えてビーズのちょこりとしたお眸々。胴は筒だけなので指人形にもなる、そんなお人形さんを作って、あのね? それを笹の枝に、短冊と一緒に提げたの。
『もしも明日の晩が晴れたら、この人形の応援も届いたことになっからよ。御利益があるマスコットってことで、進には“お守りだ”って言って、やっちまえばいい。』
『………もしも雨になったら?』
『そん時はそん時だ。他所の二人を応援するほどの余裕はないってことだろからよ。よそ見なんかしてないで、お前が一生懸命になって進のこと応援してやるんだな。』
『うんっ!』
 真剣なお顔で頷いたセナくんであり、葉柱のお兄さんに提げてもらった短冊とマスコット、じ〜っていつまでも見上げてた。それから…セナくんのことお家まで送ってってあげての帰り道。
「何だか“おみくじ”みたいなもんになっちまったな。あのマスコット。」
「しょーがねぇよ。セナが選んだもんなら何やったって進なら喜ぶってのに、そこんとこがどう言っても飲み込めねぇんだもん。」
 こうなりゃ運を天に任せた結果にしちまう他はない。
「でもな〜。それって“神頼み”っぽくね?」
 そういうのこそ、あの進は認めてねぇんじゃねぇのかと言いたげな総長さんだったが、
「何言ってんだ。それこそ“セナの大好きな赤えぼし”ってので、関係なくなる。」
 それも言うなら“亭主の好きな…”だろうがと思ったものの、判っていての言い換えらしいと気がついて。さっきまで一緒だった、それはそれは無邪気で天使な坊やと、同い年で同じガッコの、いつも一緒なお友達同士なんだのにね。何でこうも違うのか、そして何でまた………。


  “俺はこっちの小悪魔の方が好きなんだろうな。”


 んん?と。タイムリーにも肩越しに見上げて来たお顔が、ちょっぴり真顔で…やっぱり可愛い。だのに、それへとうっすら滲ませるように笑いかければ、
「…っ、なんだよっ!///////
 何が何処へと引っ掛かったか、尖んがり顔になってプイっとそっぽを向く、なかなか難しいお子様で。
“おうおう、耳の付け根まで赤くしてよ。”
 でもね、何でそうまで赤くなったやらが、判らなかったお兄さんだったりするところが相変わらずのとっぽさで。
(苦笑) 大小二つの影法師、初夏の舗道に色濃く伸びて。それを追いつつのんびりと、家路についてる二人でありました。









  
aniaqua.gif おまけ aniaqua.gif


「…あ、メグさん? うん、オレ。………うんうん。そいでさ、あのストラップ、やっぱ、ちゃんとつけてたよ? ルイ。」
【でっしょ? だから言ったじゃないか。坊やがくれるもんなら、しかも手作りなら、何だって宝物なんだよ。】
「えと…。/////// でもさ、あんな女子供みたいなのつけてたら舐められないの?」
【今更そんなのが理由で腐されるほど、中途半端な強さの奴じゃないよ。それに、いかにも彼女が作りましたっていう感じの、キルティングの体操着入れとかシューズバッグよりかはマシだって。あと、握れば隠れるプリクラ貼るより、いっそ堂々としてるしね。】
「それは…そうだろけども。」
【それにサ、ルイに似せるとか、ベロリンにするとかしてないところがね。微妙に“誰のそっくりさん?”って感じになってて、女たちに一線引かせてるし。】
「あははvv それはワザと狙いましたvv」
【こ〜の知能犯が。】


   ………恐ろしいとこは相変わらずだったみたいです、小悪魔くん。





  〜Fine〜  05.7.6.


  *どの辺が“進さんBD作品”なのか、
   良く判らない代物になってしまいましたです。
   原作拡張Ver.で仕切り直しさせて下さい。
(涙)

  *こんなおかしな話になったのも、アニシー見ながら書いてたからでvv
   エンディングが新しいのに変わってましたねぇvv
   蛭魔さんと桜庭くんが“どこの少女漫画ですか?”という美形になっていて、
   原作に真っ当に寄り添えば、
   ちょっち無理のある解釈なような気も…。
(こらこら)
   さすがに“乾燥剤の悪用”をレクチャーしちゃ不味いのか、
   今週は“作業中”の場面がはしょられてた葉柱さんでしたが、
   来週は出番もあるようですし。(オリジナルストーリーらしいですが。)
   今から、ワクワクと楽しみですvv 
(笑)

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