First&Last

 
「ん…ゾロ…ふっ…」

「ルフィ…」

仲間達が寝静まった夜更けの甲板で2つの影が重なっていた…

「ゾロ…好き…」

キスの合間に零れるルフィの告白に答えるように
更にキスの雨を降らす…



「なんかズルイよな〜」

甘い時を過ごしゾロの胸に抱きしめられたままルフィが呟く…

「あ?…なにがズルイんだ…?」

突然のルフィからの不服の声に訳がわからず問い掛ける。

「だって…いっつも俺ばっかり夢中でさ…1人で訳分からなくなって…。
 全然余裕なんかないのに…ゾロばっかリ余裕でさ…」

今まで何度となくゾロとキスを交わしてきたがルフィはいつまでも慣れる事はなく
毎回ゾロに翻弄されるばかり。
余裕のゾロを見ているとなんだか無性に腹立たしくも虚しくなる…

「俺にとってはキスとか…他の事もみんなはじめての事ばっかりなのに…
 ゾロはそうじゃないんだろう…?なんか…ズルイじゃん…」

そんなルフィの可愛らしい訴えにゾロは初めてルフィとキスした日の事を思い出す…




『ゾロ…最近俺の事避けてるだろ…?』

自分の中にあるルフィに対する気持ちに気付き
その気持ちをルフィに悟られぬよう取ったゾロの態度はあまりにも素っ気無く
今まであれほど一緒にいる時間が多かった分
鈍感なルフィにすらゾロの態度の変化に気付いてしまうほどだった…

『なぁ…俺の事嫌いになった?この航海が嫌になった?』

なおも言い募るルフィ…その顔は寂しそうに。悲しそうに。
今にもルフィの大きな瞳からは大粒の涙が流れ出さんばかりである…

『ちがっ…違うんだルフィ…別にお前が嫌いなった訳でもないし…
 この航海が嫌になった訳でもない………ただ…』

自分の気持ちを素直にルフィに伝えるべきかゾロは悩む。
そんなゾロの苦悩など知らずルフィは更に大きく見開いた瞳でゾロを見つめて詰め寄る…

『ただ…?』

『ただ…俺はルフィ…お前が好きなんだよ!!』

まるで意を決したよう叫ぶように告白したゾロ。
そんな告白にこれ以上はもう開かないと言うくらい見開かれたルフィの瞳は
次の瞬間ニッコリ笑顔で…

『なんだ…俺もゾロのこと好きだぞ!!』

と、答える。
それはゾロが欲しかった答え。
しかし、ゾロの言った『好き』の重みとはまるで違う『好き』…
まるで家族…兄を慕うような『好き』…
ゾロが言っている『好き』は恋人…世界中でただ一人のためにある『好き』…

ルフィの答えはある程度予想していたものの実際にそれが返って来ると
さすがに虚しくも腹立たしくなった来る。
そしてゾロは思わず………………

『ゾロ…?………わっ!?…ん…んふ…』

『ルフィ…俺の言ってる“好き”って言うのはこう言う好きだ…。』

突然のゾロからの口付けにまるで魂を抜かれたように立ち竦んでしまったルフィ。
そんな顔を見つめて自嘲的に笑うゾロ。

『なっ…?ルフィ…だから俺の事は気にするな…
 お前が気持ち悪いって言うなら…船を降りるから…』

そう言って立ち去ろうとルフィに背を向け歩き出そうとしたゾロ…
ルフィは今までいろんな事を考えて。頭の中が混乱していたがゾロの背中を見た瞬間
頭より体のほうが動いていた…。

『ゾロ!!』

ルフィの声に振り向いたゾロの唇に何かが微かに触れる…

『確かに俺…ゾロの言う“好き”の意味ちゃんと分かって無いかもしれない…
 でも、ゾロから離れるのは嫌だ。…それに…その…ゾロとしたキスは嫌じゃなかったし…
 ドキドキしてよく分からないけど…こんな気持ちは初めてだから分からないけど…
 多分俺の“好き”はゾロの言ってる“好き”と同じだと思う…。』

少し俯いて。まだ纏まらない考えをそれでも一生懸命にゾロに伝える…
それはゾロが望んでいた答えではないかもしれない…
そんな不安を抱えながら、それでもルフィの本心からの気持ちを伝えた。

ルフィからのキスで固まってしまったゾロはそれでも一生懸命に自分に答えようとしている
ルフィを真っ直ぐに見つめ、たどたどしいその答えに
きっと今まで誰にも見せていない極上の笑顔で答え
もう一度ルフィを引き寄せ最愛の情を込め触れるだけのキスを降らせた………………




「ゾロ?さっきから何考えてるんだよ…」

しばしの間ゾロの思考が自分から離れていた事に目聡く気付いたルフィが
今一度自分の方にゾロを向かせるために少し拗ねたように呼びかける。

「あぁ…ルフィ…俺の事好きか?」

ぞんな恥ずかしくなるようなゾロの問いに顔を真っ赤にしながらも今では

「大好きだv」

満面の笑みを浮かべて答えてくれるルフィに

「俺も余裕なんかねぇよ…?毎日お前に翻弄されっぱなしだ。
 こんなに好きになった奴はお前が始めてだぜ?ルフィ…」

最初にルフィが拗ねていた事に答えるように囁きながら
もう何回目ともつかないキスを交わした。

初めて交わしたキスのように…
いつまでも新鮮で。いつまでも変わらない気持ちで。
心が震えているような、余裕など無くなってしまう口付け…


―――きっとこの気持ちは最後の時まで消える事はないだろう―――

     *end*



5000HITゲットを取っていただきましたMorlin様リクエスト
『ゾロとルフィのファーストキス』のお話ですv
リクエストに答えられていますでしょうか…?(不安)
私の書くお話ではすでに『チュッチュ』しまくっている2人なので
ファーストキスとなるとなかなか難しかったですが
書いていてとても楽しかったですv

少しでも気に入ってもらえたなら光栄です…
本当にリクエストありがとうございましたvvv


既に『チュッチュ』しまくっている2人…。
あ、失礼しました。あまりの羨ましさにちょっとと呆然と彼岸を漂ってしまいまして。
珠サマのところの二人は、どんなにいちゃいちゃしていてもいやらしくはなく、
ただひたすらに“甘いっ!”んですよね♪
だからこそ、その始まりをちょっとばかし覗かせていただきたくって
リクエストしてしまいました。
勿論、パーペキに素晴らしい作品でございます♪
うう、可愛いぞ♪
こちらこそ、本当にありがとうございました♪

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