green firld

ある島に寄ることになった。
サンジは食材を買いに、ウソップも装備を揃えに、チョッパーは薬草を買い足しに、ナミも服などを買いにそれぞれが街へと出かけた。
残されたのはゾロとルフィ。
「どうする?」
「う〜ん…あそこ行こう!!」
ルフィが指差すのは街の左側にある丘。
「うしっ!行くか」
「おう!」
二人はサンジの特製弁当を持って船を降りた。
街の中を通り、適当なところで左へ曲がって丘を目指す。その間も周りをキョロキョロ見て回るルフィを逸れないように手を繋いで、自分の側へと居させる。
手を繋いだ時、ルフィは嬉しそうに繋いだ手を見ていた。

程なく街から抜けて丘の上へ続く道へと出た。丘には一面緑色の草原が広がっていて、その草は太陽の光を浴びてより色を綺麗に見せて、風が吹けばさぁぁ……と気持ちの良い音を立てていた。
街を背にどんどん歩いて行く。
普段はちょっと狭い船の上。こんなに歩く事は無いし、一面に広がる草原も久しぶりだったりしてのんびりとした風景の中を歩くのは気分が良かった。
何でも無いような会話をしながら歩き、丘の頂上に辿り着く。
「わぁ……」
ルフィは自分の歩いてきた道を振り返って声を上げた。
視界には草原と小さく街が見え、その向こうに真っ青な海が見えた。
「キレーだな、ゾロ」
「そうだな」
「よし、ココで飯食うぞ」
ルフィは言うなり座ってお弁当を広げる。ゾロも座ってお弁当を広げた。
パクパクとルフィは食べていき、お弁当の中身は直ぐに無くなった。(それでも結構な量が入っていた…)
「オレの少し食うか?」
「いいのか?」
「食いたいんだろ」
「うん。ありがとなゾロ」
ゾロのお弁当からルフィはヒョイヒョイとおかずを食べていく。ゾロは嬉しそうに食べるルフィをじっと眺めていた。

食事を終えたルフィは草の上に寝っ転がってゴロゴロと転がってみる。
そして適当な所で止まって、空を見上げた。
回りは一面緑に囲まれて『ゾロみたいだ』と思うのだった。
 『ゾロと同じ緑色だ…』
そっと目を閉じてみる。
ルフィを抱きしめる温かく逞しい身体、もう覚えてしまったゾロの匂いを思い出してルフィは顔を赤らめる。
そしてお気に入りの…と、そこへ近付いてくる足音がしてきて、ルフィの上に影ができた。
「何してんだ?」
お気に入りの低い声。
「何でもない」
ルフィはそう言うとゾロの首へ腕を文字通り伸ばして掴まえると、自分の方へと引き寄せる。
ドサッ…と音がしてゾロはルフィの上へ倒れた。
「何すんだよ」
「別に。こうしたいんだ」
ぎゅっとルフィはゾロを抱きしめた。
触れ合う部分からゾロの温もりが伝わってきて、ますますルフィは力を入れた。
顔を胸に押し付けるようにグリグリすると、ゾロの…落ち着く匂いをもっと感じる。
「ルフィ?」
「ん〜?」
「何がしたいんだ?」
「別に何も?…それよりもっと名前呼んでよ」
「ルフィ」
「もっと何度も」
「ルフィ ルフィ ルフィ ルフィ」
頭の上から聞こえてくる低めの囁くような声が心地よい。ゾロは律儀にも言われた通り何度も何度も名前を呼んだ。
「ルフィ…?」
何度目かもうわからないくらい呼んだ時、ゾロは異変に気付いた。
自分を包み込むゾロの全てを感じていたルフィはその心地よさに寝入ってしまっていた。
ゾロは苦笑いすると、そっと抱き起こして自分の背中にルフィをおんぶすると丘を降りていった。

ゾロにしては珍しく、そんなに迷子にならずに日が暮れる頃には港のすぐ近くまで来ていた。
そこで背中から声がした。
「ん…?ぞろぉ?」
「何だ?日が暮れちまうから降りてきたぞ」
「んー…」
まだ寝惚けてるらしいルフィはまたゾロの肩に顔を埋めた。
「ゾロ温かいな」
「そうか?」
「うん。温かいし、ゾロの匂いは安心すんだ」
「……それはどうも」
いきなりのルフィの言葉にゾロは顔を真っ赤にした。耳まで真っ赤なので後ろに居たルフィにも分かってしまう。
「あ、赤くなった」
「うるせぇな!」
照れ隠しのように言い放つゾロにルフィはクスクス笑う。
「ゾーロ…」
「んだよ」
「ゾロ好き」
「…知ってるよ」
「うん。ゾロは?」
「ココで言うのか?」
「うん」
立ち止まって、ゾロはしばらく考えると後ろへ顔を向けてルフィと唇が重なりそうな距離で「好きだ」と呟いた。
「へへへ…」
ルフィは嬉しそうに笑ってぎゅぅとゾロの首に抱きつく。
「オレ、ゾロの声も好きだぞ」
「わかったから、首!首絞まる!!」
「あぁ、悪りぃ」
手を緩めるとゾロは再び歩き出した。

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Morlin様…ごめんなさい。リクエストにお答えできてないですねコレ。
相変わらずオチがついてないです;
因みにリク内容は「優しい温み、大好きな声、温かい匂い」でした。
優しい…といって何故か草原とかが思いつき、
のどかな雰囲気でいいかなと思ったので草原書きました。
こ、こんなのでよろしければ貰って下さいませ。


DORA様のサイトの番人・ハーボットのMIDORIちゃんに
500番目のキリ番をお祝いしてもらって
DORA様に素早いこと書いていただいた作品です。
草原へとハイキングに行ってしまうとは、なんて健全な二人でしょうか。
見習わなくてはなりません。(おいおい、どういう意味だね/笑)
DORA様、爽やかなお話をどうもありがとうございましたvv

   
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