記念日4





 特等席で考えながら海を見てた
 ―――どんな祝い方をすれば、ゾロを感動させられっかな…






「ルフィ!!」
 不意に背後で呼ばれ、振り返る
「何だ?」
「何だじゃねェ!!  一体何度呼んだと思ってる!!!」
「んあ?」
 前甲板で腕組みし、眉と目を吊り上げ立っているゾロである  考え事に没頭していた為に気配さえ感じていなかった・・・
「あ、ごめん・・・」
 やっと其れに気付き、後悔する
「お前、今日変じゃねェか?  サンジのメシコールにもボーっとしやがって・・・」
 どんなに周囲が五月蝿かろうと、どんな小さな声で言おうとも、「メシ」の一言を聞き逃す事など無かったのに、今日はなかなか気付かなかったのだ
「別に・・・」
「具合でも悪ィのか!?」
視線を静かに外して俯いてしまうから、まさかとは思いつつメリーの上に駆け上がって額に手を当てるが、其れを両手で握り返して遮った後、ふるふると頭を振る
「ルフィ?」
「何処も悪くねェぞ・・・  唯・・・」
「唯?」
「あんな?  ゾロ・・・」
続きの言葉を探すが見付からない
「メシ、食いに行くぞ!!  ハラ減ってるとまともな事ァ考えられねェだろうが!!  ホラ!!」
困り顔になったルフィにそう言って手を差し伸べると、普段のルフィの顔になる
「おうっ!!」



「食った〜ァ!!」
 散々食べて満足したルフィに突然切り出すナミ
「ねぇ、ルフィ  サンジ君が言うには、今の食事で食材を使い切ったんですって  だから今向かっている島で調達もするつもりなの  夕食を皆で摂った後は朝まで自由行動って事にしようと思うんだけど?」
「ん、良いぞ!!  にししっ!  其れが終わったら朝まで冒険だ〜っ♪」
機嫌良く返すルフィである
「決まりね  此があんた達の担当分と予算よ」
ゾロにメモとお金を渡してから続けるナミ
「くれぐれも迷子にだけはならない様にしてよ?  明朝には此処に戻る事  大きな島じゃないし買い物の量だって一番少ないんだから大丈夫だとは思うけど・・・」
少し不安そうな口調になったナミに不機嫌そうにゾロが返す
「人が何時も迷ってるみてェに言うんじゃねェよ!!」
「いんや!!  ゾロは何時も迷ってるぞ!!」
「お前が言うな!!!」
カラカラと笑って茶々を入れたルフィの頭にゾロの拳が振り下ろされた
「効かんっ!!  なっはっは!!」
「楽しそうだな・・  海賊だからか?」
やや後ろで其の様子を見ていたチョッパーが興味津々に訊くと、
「否、ルフィだからだ・・・」
と、呆れ顔をして手を振り振り答えるウソップ

「おっほ〜♪♪♪  見ろ、ゾロ!!  すっげェ!!  メシ屋が一杯だぞ!!」
「解ったからちっとァ大人しくしてろよ・・・」
碇を降ろそうとするゾロが興奮しているルフィを宥める
「さっさと買い物済ませて冒険すんだ!!」
「大人しくしろっつって聞くタマじゃァ、ねェよな・・・」
苦笑いして呟くが、本当はそういう彼の姿を見る事は嫌ではない  日頃は忘れがちだが、彼は未だ17歳の少年なのだ  そして、自分も彼とは2つしか違わない  なのに、仲間から勝手に制止役にされている  そう考えると少々の溜息が自然と出る



 其の日の夕食は、珍しく何の問題も起こらずに摂る事が出来た  其の後別行動を取っての買い出しになった時初めて、渡されたメモを見たゾロだった
『朝までどうぞご自由に  此はあたし達からの誕生日プレゼント  と言いたいトコだけど貸しにしとくわ』
「あの女ァ・・・っ!!!」
「どしたんだ?」
ルフィが不思議に思い、ゾロの手にあるメモを見ようとする
「見なくて良い・・・」
直ぐにグシャリと握り潰し、ルフィを促す
「戻るぞ!!」
「んあ?」
「買い出しの必要がなくなった!!」
「よく解らんけど、戻るんならこっちだぞ!?」
「バカ・・・  こっちだ!!」
「いんや、こっちだって!!  来た道戻れば良いだけだぞ、ゾロ」
「来た道だったらこっちだっつってんだよ!!」
 実際はどちらの方向でもない事も、何時もの事である・・・





「違ってたみてェだな  あっはっは!!」
「笑い事じゃねェっての!!!」
 結局迷ってしまうが、例えそういう状況であっても二人きりには違いなく・・・、思い切ってゾロに告げたルフィ
「ゾロ、誕生日おめでとうな」
「・・・・・  ありがとう・・・  しかし唐突だな、お前は何時も・・・」
自分にだけ見せてくれる笑顔になって、そして、少々照れ臭そうな顔になるから、昼間は言えなかった言葉を声に出そうと思うルフィ
「あんな?  ゾロ・・・  メリーの上で考えてた事だ  おれ、今はハラ減ってねェから、まともな事を考えられるだろ?」
「あ?  あァ・・・」
「今日という日をどうやって祝ったら良いんか考えてたんだ  ゾロが此の世に産まれた今日という日を、どうやって祝ったらゾロが喜んでくれるかってずっと考えてたんだ・・・」
「ルフィ、お前はバカか?」
「むう!  おれバカじゃねェよ!!  真剣に考えてたんだぞ!?」
呆れ顔になったゾロに突っ掛かると、今度はくつくつ笑う
「だからバカだって言うんだ・・・  感動なんて意志とは別モンだ  自然に感動しちまうんだ  例えば、今の様にな?」
「・・・?」
 ゾロの両腕がふわりと回され、クイと引き寄せられる
「ゾロ??」
何をしたいのかが解らず問い掛けるが、其の口唇は数秒塞がれた
「おれの誕生日を覚えててくれた・・・  どうやって祝おうって悩んでくれたじゃねェか・・・  其の心に感動した、ありがとう・・・・・」
アップのゾロが囁き声でそう言って、再度口唇を重ねて来る
「うん・・・・・」
ルフィもゾロの身体へ腕を回し、ぎゅうっと抱き締めた





 ―――今日は、おれの一番大切な人が産まれた大切な日



 ―――毎年やって来る日だが、今日の感動は過去最高だ





 そう、今日という日は大切な記念日に追加された訳だ
 だが、意識から除外しているある事に気付いた二人、ふと我に返って苦笑い
「けど、おれ達迷子なんだよな・・、ししっ!!」
「あァ・・  だが、朝までに帰りゃァ良い  島中回ってもそう時間は掛からねェだろうからな」
「おうっ!!」





結果、メリー号に辿り着いたのは昼になってしまい、ナミに大目玉を喰らってしまったが・・・
何故そういう事態になってしまったという説明は、また別の話(多分;;;)






相変わらず余裕のない状態ですが、ゾロ誕は外せないでしょう!!
っつー事で(は?)、恒例の(笑)「記念日」です
クソ駄文という事は、重々百々千々(以下続く・・・)承知しておりますが、またも恥ずかし気もなくアップしちゃったナリヨ(デヘ★)
12月12日までDLFと致しますので、お構いのない方はどうぞです<m(_ _)m>

20031111 TUE PM UP   byヒロ


*とゆことで、頂いてまいりましたともvv
 相変わらずにいつもラブラブなお二人さんで、あてられたこっちが赤くなってしまいますvv
 記念日シリーズ、ずっと続けてくださいましねvv
 ありがとうございましたvv



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