篩(ふるい) *ゾロルですvv


此の身体がゴムじゃなかったら?
此の精神こころが弱かったら?
夢を持っていなかったら?
全くの別人みてェになったら?
仲間は側に居てくれるだろうか・・・
今までみてェに笑いかけてくれるだろうか・・・
いや、一つずつ、現在いまのおれからおれらしさを除けて行ったら、仲間はおれから離れて行くかも知れねェ
おれは我が儘だけど、自分勝手だけど、仲間の事が大好きだ
皆の事を信頼しているからこそ、おれらしく居られた
おれが現在いまのおれでなくなっていったら、最後に誰が残るだろう
最後には誰が側に居てくれるだろう

そう考えて空を仰いだ
月や星を見るつもりだった、其の時は・・・
それらを遮っておれの眼に映ったのは・・・
そう、何時も傍らに就いていてくれるお前だったんだ
「何つまらねェ事考えてやがる!」
そうやって叱ってくれるお前だったんだ、ゾロ・・・
おれが何を考えているかも言わない内に先に理解してくれたんだ
「ゾロ、おれが変わってしまってもおれの傍に居られるか?」
見上げたまま、一番の不安を静かに問い掛けた
「じゃァ、おれが現在いまのおれじゃなくなったらお前はおれから離れて行くか?」
おれの両頬を押さえ付けて睨んで訊いてきたゾロは、今までで一番怒っている様に見えた
「現在いまのゾロでなくなってもゾロがゾロでいる限り離れたりしねェよ・・・ だってそうだろう? 良い変化も悪い変化も両方ありながら人は生きていくんだ・・・ 誰もが変わりながら生きているんだから・・・」
真っ直ぐにゾロを見て応えたら、ゾロの眼にはおれがはっきり映ってた
強い眼光を放ち、おれをしっかり見詰めてくれた
安心して力が抜けてしまった背中をそっと支えてくれた広い胸に凭れてもっかい上を見たら、優しく回された力強い両腕におれの身体は抱き締められた
「同じなんだよ、おれも・・・」
ふっと軽く笑んでくれた
「現在のルフィでなくなってもルフィがルフィである限り、おれは此処に居る!! どんな風に変わってしまっても、其れがおれの惚れているルフィだから・・・」
おれはずっと自分なりに足掻いて生きて来た
決して順風満帆な船旅ではなかった
あんまり表に出したりしないけど、時々不安になっていた
其れを言わなくても理解してくれるゾロが大好きだと過去最高に感じて、身体を反転させて抱き付いた
「きっと皆同じ考えだとおれは思う 皆お前ェが好きで集つどった仲間だ 誰も離れていったりしねェさ」
大好きな大きな手がおれの頭の上で帽子越しに優しくポムポム跳ねてから、大好きな人の大好きな暖かい口唇が近付いてきた


おれ自身を篩にかけても最後に傍に居てくれるのは、きっと、きっと・・・・・




「少しずつ粗い目の篩にかけて、周りの人が好きと言ってくれる部分を除いて行ったら、最後に自分の側に誰か居てくれるかな・・・。」
そんな考え事をして、ふいに空を見上げたらオレンジ色だったんです。 月が・・・。
とっても暖かいオレンジでした。
初めて見た色の月でした。

ですが・・・、出来上がったSSはこんなモノで申し訳なく・・・(汗)。
「月の話は何処へ???」というツッコミはどうかナシで・・・(苦笑)。


*まずは“ゾロル”ということでvv
 ヒロ様の書かれるゾロとルフィは、あっけらかんとするばかりの男前で。
 あ、いや。これでは日本語としておかしいか。
 えっとえっと。
 何でも腹蔵なく語り合うし、
 相手への指摘もまた包み隠さずというストレートなところが、いっそ小気味良いほどで。
 いかにも“判り合ってる男の子同士”という感じがして爽やかなんですよね。
 これが恋愛モードになると、物凄い熱愛モードになるのもまた不思議ですが。(嬉vv)
 美味しいお話、ありがとうございましたvv


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