望むもの
ワクワクするおもしれェ冒険と、其の戦利品の宝と、
最終的には海賊王の称号と・・・
其れから・・・・・
今日は少しだけ、何時もと違うG・M号の船長だった 先程までは機嫌良く特等席に座って居た彼だったが、突然何を思ったのか、ピョンと飛び降りて勢いよく走り出した
「船長さん?」
中甲板に居たロビンの横をビュンと通過したルフィ、到着したキッチンを見渡した後、ご機嫌斜めな表情で言う
「むう! 此処には居ねェか!!」
途端にクルリと背を向け、後ろ手で扉を閉めてパタパタと去る
「解り易っ!!」
其の行動を見た仕込み途中のサンジが吹き出し、
「つまりは此処に居ないヤツを捜してるってェ事だな・・・」
ウソップはニューバージョンの釣り竿の調整をしながら笑って言い、
「ロビンは甲板で読書中・・・ って事はやっぱりゾロを探してるんだ 今、確かトレーニング中だよな?」
ランブルボールを作成中のチョッパーが、正面に座っているナミに訊けば、
「今はどうでも良いわ、そんな事・・・」
と、海図を記している為に顔を上げずに声だけで返した部屋の中
現在何故ルフィがゾロを探しているかまでは解らなかった皆であるが、此だけは等しく思う事である
「ゾロが居なければ、此の船は大変な事になる・・・」
「あ、居たっ!!」
「あ?」
キッチンから後甲板に直行し、其処に居るゾロを見付けたルフィ、満面の笑みで駆け寄った
「どうした?」
ゾロは直ぐ様手を止めて、流れる汗を拭いつつ、自分の胸に飛び込んで来るルフィを窺う
「にししっ!! 見付けた♪ ・・あ、ごめん・・・」
嬉しくて声を踊らせたが、途中、ゾロが毎日欠かさず行っている事を止めてしまったと、ハタと気付いて離れようとする だが、ゾロの両腕は其の存在を拘束した
「ルフィ・・・」
其れ程広くない此の船上で、捜し物が見付からない事の方が珍しいとは思うものの、現在の想いが途轍もなく大きいものだと解り、現在(いま)の心を閉じ込めたくなっての行動である
「ん・・、ゾロ・・・」
ゾロからの口吻を受けて想い、伝える言葉
「ししっ、やっぱゾロだ♪」
カラカラと笑い、胴に両腕をガシリと回す
「お前らしい・・・」
ゾロがくつくつと笑ってぎゅうと抱き締め低い声で告げると、ほんの少し、もぞもぞと身動ぎながら悪びれる
「邪魔してごめん・・・ でも、現在(いま)のゾロに逢っておきたかったんだ・・・」
そして、今度は大好きな人の大好きな匂いが流れ込んで来る事を喜び、大好きな人の感触に浸って嬉しそうな声を出す
「ん!! おれのゾロだ♪」
数秒間其の体勢で過ごしてから、此の場に来る前の表情に戻って問うルフィ
「見ててイイか?」
返事を待たずに腰を下ろし、壁に凭れる 少しでもゾロの傍に居たいという想いを表現する為・・・
自分が決心している事に対して誰かが何かを言ったとしても、よっぽどの事がない限り意見は変えないルフィである ゾロは其れを何時もの事で当然の事だと思っているし、ルフィが言葉にしない気持ちもしっかり解っている
「良いも悪いも、既に決めてんだろうが・・・ 止めたって聞きゃしねェ癖に今更何を言っている・・・?」
苦笑いし、そう返したゾロ 自然なままに、好きな様に振る舞えば良いと伝える為・・・ 言葉を尽くさなくとも、ルフィは必ず意味を解ってくれると考えて・・・
「にっししし♪ ゾロっ!! 大好きだぞ!!!」
勿論其の応えもゾロが想像したもの通りであり、またくつくつと笑ってしまう 声や表情だけでなく、全身で「しやわせ」を告げてくれる彼だから・・・
「おれもだ・・・ ルフィ・・・」
両手を左右に広げるルフィの行動が、自分の心を顕す言葉と行動を待っているのが解るゾロだったから、ゆっくり告げて近寄って、ゆっくり口唇を重ねた後、少し意味深な顔で笑んで見せた
「もう少しだけ、此処で待っててくれるか?」
ゾロは最後にそう訊いて、ルフィにだけ見せる顔になる
「おう、待ってんぞ!!」
にんまりと笑って返すルフィである
ゾロのトレーニングが終わった後、二人にどんな時間が待っているか・・・
其れは、彼らだけが知っている事であります故、此処では伏せておきましょう・・・・・
強く望むもの・・・
海賊王の称号と、ずっとおれの傍に居てくれる大剣豪のゾロ・・・・・
Fin.
*何時もクソヴォケダアホとのお付き合い、大変に有り難う御座います
感謝の意を込め、押し付けクソ駄文をお送り致す
(うあーっ!! 何て失礼な事をををををぅっ!!!)
此のクソ駄文、貰ってやって下さる??(ならば飛び跳ねて喜びますワvv)
いや、勿論脅している訳では御座いませぬιιι
直立不動→ひれ伏しっ!!!
20030628 SAT PM byヒロ
*いつもお世話になっておりますヒロ様から、
こんな珠玉の作品を頂きました。
このところ特に公私共に大変だったというのに、
御気遣いも細やかで、本当に頭が上がりませんです。
こちらからこそ、これからもどうかよろしくです。
大切に読ませていただきますね? ありがとうございました。

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