彼氏と彼氏の事情 〜10000打突破御礼DLF



「…で、実際のところ、いつからなのよ?」
「あん?」
「アンタ達の事よ」
「へ?」

昼食が済んだばかりの昼下がりのキッチン。
居残ったルフィ・サンジ・ナミ・ロビンが他愛も無い会話を交わしていたのだが、どこでどう挿げ変わったのか、ナミがふとルフィに訊いた。

「私、ずっと気になってたのよね…アンタとゾロの事」
「俺とゾロの事…?」

どうやらナミは、ルフィとゾロの関係について訊きたい事があるらしい。
そうと分かれば、嬉々と参戦してくるのがサンジとロビンで。

「ナミさん、何が気になってるんです?」
「あら、面白そう…ぜひ聞きたいわ」
「なんだよ…お前らまで…」

ちょうど都合が良い事に、ここにいるのは迂闊なルフィだけ。
口の堅いゾロは甲板で昼寝中。
そりゃもう、こんなチャンスを逃すワケにはいかないというもので。

「アンタ達って…いつから出来上がってたの?」
「出来上がるって…」
「私と出逢った頃には、既に出来上がってたわよね?」
「お前、どんな根拠だよ、それ?」

迂闊なルフィにしては珍しく、すぐに口を割りそうにない。
何やら神妙な顔をして、口篭るばかりで。

「あ〜…俺と出逢った頃には、絶対出来上がってたよな、うん」
「サンジまで…何言ってんだ、お前ら?」

どうやらあまり話したくないらしく、サンジとも目を合わそうとしない。

「しらばっくれても無駄よ。 アンタ達、あからさますぎるもの、バレバレよ」
「そうだぞ。 …で、どっちから“好き”って言ったんだ? やっぱ、ゾロか?」
「…………。」
「船長さんは、何か言いたくない理由があるみたいね?」
「む〜…。」

ロビンに確信を突かれて、ルフィはちょっと躊躇するように口を開いた。

「なぁ、普通えっちする前に“好き”って言うもんだよな?」
「「「はぁ?」」」

突拍子もない事を言われて、今度はナミ・サンジ・ロビンが口篭ってしまった。





一度仕切り直し、サンジがお茶とお菓子を用意すると、万全の態勢で話を再開した。

「今のって、どういう意味?」
「うん…あのな? ゾロな、最初“好きだ”って言ってくれなかったんだ」
「言われないうちから…ヤッたのか?」
「うん…ゾロが…」
「あらあら、もしかして無理矢理?」
「ん…無理矢理って事じゃないんだけど…」

話し始めると、ルフィもずっと誰かに訊きたかった事らしく…自分達の恋愛事情について語り出した。

「俺な? ゾロを最初に見た時から好きだったんだ」
「あら…」
「磔になってたんだけどな? 何て言うか…ギラギラした目しててさ、カッコよかったんだよな」
「ほぉ〜…」
「だから、ゾロを無理矢理仲間にしたんだ」
「ふふふ…可愛いこと」

と、いう事は―――

「やっぱり、私と出逢った頃には既に―――」
「ううん。 違うよ」
「あら、そう…」

てっきりそうだと思ったのに…。

「な〜んか知らねぇけど、俺ん事、何も言わなくても分かってるみたいでさ…一緒にいると気持ち良いの」
「ふ〜ん」
「“二度と負けねぇ”って、誓ってくれた時は嬉しかったんだぞ」
「あぁ…あの時な」
「あの言葉を聞いて、“あぁ、ゾロはずっと俺といてくれるんだ”と思ったんだ」
「健気ねぇ…」

と、いう事は―――

「やっぱり、俺と出逢った頃には既に―――」
「ううん。 違うよ」
「おや、そう…」

てっきりそうだと思ったのに…。

「んっとな? そんな事になったのは、ローグタウンを出てからだ」
「あら、意外」
「俺が死んじゃうかと思って、ゾロ、焦ったんだって」
「あぁ、確かにあの慌て方は尋常じゃなかったな」
「んで、その夜…」
「あら、剣士さんったら、素早い…」

やっぱり何か引っかかる事があるらしく、むぐむぐと言い難そうに口篭って…それからようやく言葉を吐き出したのが―――

「いきなりチューされてな? ワケが分かんないうちに、そういう事に…」
「いきなりか!?」
「ちょっと乱暴ねぇ」
「あら、情熱的なのね」

ルフィの告白に三人三様な反応を示し、それぞれに表で寝こけている剣士の姿を想像した。

「アイツめ…いきなりとは、どんな了見だ」
「ん…でも、嬉しかったんだぞ」
「アンタ、そんな知識あったの? ビックリするでしょ、普通」
「ビックリしたけどな…でも、気持ち良かったし…別に良いかな〜と思って…」
「で、ウッカリ受け入れちゃったのね」
「うん…」

どうにも生々しい告白に、それぞれ胸中で“聞くんじゃなかった”と零し、“このままでは、今までの事を順番に洗い浚い話しかねない”と思ったナミは、手早く確信に迫る質問をした。


「で、結局…いつ“好きだ”って言ってもらったの?」
「んと…5回目のえっちが終わった後」
「「「遅っ!!!」」」
「だろ? 普通、最初に言うよな?」

ルフィも、これが一番言いたかったらしく、同意を求めるように問う。

「そりゃ…まず甘い囁きからだよな…俺的に」
「そもそも“好き”とも言わない人と、そんな事にはならないわ…」
「そうね…ちょっと順番がオカシイわね」
「だろぉ!? 俺、ゾロは俺の事好きじゃないのかなって悩んだんだぞ」

改めて思い出してもムカつくらしく、ルフィは口を尖らせて憤慨し始めた。

「ところで…アンタはいつ、ゾロに“好き”って言ったの?」
「あ〜…と、5回目のえっちが終わった後…」
「お互い様じゃねぇか…」
「う゛〜ん…」
「…それって、どっちが先に言ったの?」

ロビンの一言に、ルフィは恥ずかしそうに俯くと、ぼそっと答えた。

「……俺」
「おいおいおい…」
「でも…俺が“ゾロの事、好きだ”って言ったら、すぐに“俺も好きだ”って言ってくれたんだぞ? ゾロもな、俺が“好き”って言わないから、不安だったんだって」
「はぁ〜そーですかー…」

3人は“お前らヤる事ヤっといて、それはないんじゃないの?”と思ったが、言うとこれ以上の惚気話を聞かされそうで、その意見は心の中に仕舞っておく事にした。

「さてと…俺、ムカつくからゾロに遊んでもらおっと」
「どんな理屈よ」
「ああ、行け行け…戻ってくんな」
「むっ、サンジ冷たいぞ」
「剣士さんにオヤツ持っていってあげたら?」
「んじゃ、貰っていこっと」

ムカつくとか言いながら…ご機嫌に鼻歌なんか歌ったりして、ルフィはキッチンを出て行った。

「しかし、意外だったわ…私と出逢った頃には、すごい以心伝心ぶりだったのよ」
「俺だって驚きです…あの“誓い”は、ある意味プロポーズでしたからね〜…」
「気付いてなかったのは、本人達だけだったんじゃなくて?」

誰の目にも分かるくらい相手を想っているのに、お互いだけがお互いの気持ちに気付かない。

「そういうもんかしらねぇ…」
「あんなにあからさまで…普通、分かりそうなもんですけど」
「ほんと鈍感なのよね〜…」
「あのニブさ…化石並みですよね〜…」


“あなた達2人もね…”


ロビンは、首を捻るナミとサンジを見てくすんと小さく笑うと、優雅にひと口お茶を飲んだ。





「ゾロ〜!! 退屈だ、遊べ!!」
「うっさい…俺は寝る」
「なぁっ!! 起きろよっ!! 俺は退屈なんだぁ〜…」
「じゃあ、寝ろ」
「ヤだ!! なぁなぁ、ゾロぉ〜」
「だぁ〜っ…引っ張んな」
「じゃあ、起きろよ〜。 でないと、腹巻伸ばすぞ!!」
「ヤメろよ、てめっ」


いつもの場所で、いつもの怒鳴り声。

それがゴーイングメリー号に於ける『彼氏と彼氏の事情』―――





拙サイトが、とうとう10000打突破してしまいました…;;;
「どうもすいません(汗)」という言葉しか見つかりません…。
これも全て、呆れずにお付き合いくださる皆様のお蔭です。
皆様、ありがとうございます!!!(感涙)

感謝の意味も込めまして、DLFといたします(こんな微妙なものでごめんなさい・涙)
宜しければ、お持ち帰りくださいませです(要りませんか?・汗)

2004.07.12up


*大好きお友達、kinako様のサイト『heart to heart』さんが、
 おめでたいことに10,000hitoを突破なさり、
 その記念にとUPなさってらしたのがこの作品vv
 さっそく、幸せのご相伴に預かって、ちゃっかりと頂いてきてしまいましたvv
 惚気に帰着しちゃったお話を聞かされたお3人さんも何だか可愛い、
 そんなホットなお話が一杯の、ステキなサイトさんで、
 あっと言う間に大台に乗せちゃったのも当然ですってvv
 あらためまして、10,000hitおめでとうございます、
 それとこんな可愛いお話をありがとうございますvv
 大切に読ませていただきますね?
 ではではvv

kinako様のサイト『heart to heart』さんはこちら→**


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