記念日3

 きっと、今後も変わらないと想うから・・・・・





「ルフィ!!」
 剣豪が船長を呼ぶ
「んあ?」
「今日、時間取れるか?」
 特等席メリーの上で振り返ると腕組みをしているゾロが立っていた  今更何を改まっているのかと不思議になりながら笑って返す
「ゾロの為の時間なら何時でも取れるぞ!!」
「ばーか・・・  今日はお前の為だけの時間だ・・・」
 半ば呆れ状態でゾロは言う
「何でだ?」
「オイ・・・」
 更に呆れた声の後少しだけ間が空いて、大きく息を吸い込み告げられた言葉はとても嬉しいものであった
「誕生日おめでとう、ルフィ!!」
「おう、そうだった!!」
 忘れていた訳ではないけれど、毎日がとても楽しいから其れ程気にはしていなかったのにと言う
 照れ臭そうに、でも心を込めての言葉をくれたゾロ目掛けて飛び付いたら、組んでいた腕は既に外れて、ちゃ〜んと自分を包み込んでくれていた
「しししっ!!」
 嬉しいと告げる為の笑い声と、大好きな人を放さないと言わんばかりに巻き付けた四肢で表現して見上げる
「何が欲しい?」
 微かに笑んだ顔に見下ろされた直後応える
「ゾロが欲しい」
「ソリャ何時もやってるだろ?  おれの全て・・・」
「だからおれが何時も一番欲しいのはゾロだって言ってるんだ!  ゾロが欲しい!!」
 例え誕生日でなくとも常に欲しいと言いたくて少し睨み付けたのに、相変わらず優しい笑みでゾロは訊いて来る
「其れは船長命令か?」
「いんや・・・  おれ命令だ・・・」
 多くの意味を含んで静かに言うと、優しい笑みが嬉しそうな笑みに変わって近付いて来た
「了解・・・」
 瞳を閉じて求められるまま受け入れたゾロの口唇にドキドキさせられ、ゾクゾクさせられる
「“特別記念日”だから特別なおれって事で良いか?」
「おうっ!!  “特別ゾロ”っ、サイッコーだなっ!!  にししっ♪♪」
 口吻の後に問われた言葉の意味が直ぐに理解出来て嬉しくなる  巻き付けていた四肢にもっと力を込めた
 毎日が記念日の様だから、今日は“特別記念日”だと言ってくれていると気付いて・・・





「野郎ども、飯だ!!!」
 キッチンからサンジの声がした途端、何時ものルフィに戻る
「メシっ!!  行くぞ、ゾロっ!!」
 そう言って懐から飛び出し駆けて行く様を見て苦笑いになるゾロ  後から行ったキッチンで驚いた
「ゾロっ、見ろ!!  んまほーだろっ!?」
 早く座れと椅子をペシペシ叩いて急かすルフィの態度は当然だろう
 彼の誕生日を祝う為だというのが解る料理は肉三昧  一応副菜も並んでいたが、其れよりもっと目に付く大きな皿の数々である
 こんもりと盛られたハンバーグ  大量の骨付き肉  山積みされた唐揚げ  肉が芋洗いの様に入っているシチュー  大きなステーキ  エトセトラ、エトセトラ・・・  メインディッシュは一体どれだろうと思う程テーブル一杯に並べられている
「ぞ〜ろ!!」
 クイクイとシャツを引っ張る彼に従い席に着いた途端、ルフィは
「いただきます!!」
 の声と共にガツガツと食べ始める
「オイ!」
 サンジがナミとロビンにワインを注ぎながら止めるが既に手遅れである
「無駄だって・・・  コイツが食い始めたら其れを平らげるか満腹になるまで止まる訳ねェ!!」
 ウソップが片手を振り振り諦めろと言う
「ったく!!」
 今まで何度も今日と同じ事があったにしても、今日という日だけは皆に取っても特別な日だと言いたかったサンジだった
 最初から最後まで一番勢いよく食べ続け、全ての皿を平らげてやっと落ち着いたルフィにナミが言う
「ねえ、ルフィ・・・  あたし達、もうすぐ着く島で物資調達するんだけど・・・」
 ルフィにだけでなく、ゾロにも目配せするナミである
「食材もね、船長さんが今食べた分でもう無いんですって  私も航海士さんやコックさんに付き合おうと思ってるの」
 クスクスと笑いながらロビンが付け加える
「おれも薬買い足してェから行くぞ!」
「あ、おれも新たな武器を思案しててだな・・・  材料が足りねェ事に今気付いた!」
 チョッパーが言った後、ウソップも取って付けた様に続けた
「じゃァ、決まりだな  お前はゾロと一緒に留守番だ!!」
 サンジに決定事項だと宣言されるが、問題はないと言うルフィ
「おう、解った  留守番すりゃ良いんだな?」
「ルフィ、留守番の意味解ってる?」
「任せろ!!」
 ナミに詰め寄られても笑っている  其の後ろでボソリと呟いたサンジの声にトナカイであるチョッパーだけが気付いた事は今は未だ誰も知らない
「                       ・・・」





 誰も居ない男部屋で過ごす2人だけの時間
「な〜、ゾロ〜〜・・・」
 ソファに立て掛けてあるゾロの愛刀に麦わらを被せ、ゾロと向かい合わせに膝に乗って呼び掛ける
「あ?」
「何であんな不自然な事すっかなー、皆・・・」
 2人きりにして貰えたのはとても嬉しいけれど、あからさまだったと訴える
「気付いてたか?」
 くつくつと笑って触れるだけの口吻をするゾロ
「むう!!  おれ、其処までバカじゃねェぞ!!」
「そんな事言ってねェだろ!!  あいつらなりの気遣いって事なんじゃねェのか?  “おめでとう”と素直には言えねェんだろうよ、多分な・・・」
 少しだけ怒りを顕わにした表情の後、直ぐに優しい笑みになったゾロを抱き締めてルフィが告げる
「ありがとうな、ゾロ・・・」
「何だ?  突然・・・」
 両手でゆっくり包み込みながら小さく笑う  本当は何を言いたいのかは知っていても、ルフィの口から聞きたい事だったから
「ゾロはおれに“おめでとう”を言ってくれたろ?  だから、“ありがとう”だ・・・」
 頬を擦り寄せ「にしし!」と笑って照れ臭そうに言うルフィを拘束する  此が“特別記念日”最大の行為だと言わんばかりにゆっくりと其の時間を満喫するぞと告げてから・・・





 後程皆と一緒に帰って来たチョッパーが男部屋へとおずおずと訊きに来た
「今、良い?」
「おう、良いぞ!!」
 既に普段通りに戻っている2人だったが、もう少し時間を置いてからにした方が良かったと思いつつ質問をするチョッパーだった
「2人は・・・、お互いの事が一番なんだよ・・な・・・?」
「んあ?」
「あァ!?  何だ突然・・・」
 チョッパーは2人を見比べながら続けた
「サンジが呟いてたから疑問になったんだけど・・・  多分おれ以外は聞こえてねェと思う  凄く小さな声だったから余計に気になって・・・」
 段々俯いて言い難そうにしている事から何やら問題発言だったと想像したゾロである
「エロコックは何て言ってたんだァ??」
「えっと・・・  『一体クソ剣士の何処が良いのかね・・・』って・・・
「斬るっ!!!」
 立ち上がったゾロを追い掛ける前に、帽子を被りながらチョッパーに告げるルフィ
「おうっ!!  おれの野望(ゆめ)はゾロと一緒に叶えるかんな!!  すっげェすっげェ大切だぞ!!!  ゾロもおんなじだからおれ達は一緒に居るんだ!!!」

「失敗したかなァ・・・」
 ルフィを見送って呟き、そして言葉通り直ぐ後悔する事になったチョッパーである

「ラブラブエロコック!!!」
「何だと!?  ムッツリクソ剣士!!!」
「やれェーーーっ!!!  ゾロォ〜〜〜!!!」
「あんた達、好い加減にしなさいっ!!!  ロビン、お願いっ!!」
「三十輪咲き(トレインタフルール)!!!」
 そしてナミの拳骨が振り下ろされる
「あんたも止めてよ!!!」
「無茶言うなよ!!  おれに止められる訳ねェだろう!!」
「其れでも止めろって言ってんのよっ!!!」
 近くに居たのに止めなかったという理由で巻き添えを食ってしまったウソップを含めた4人の手当てをしながら思うチョッパーであった
『やっぱり失敗した・・・』





 其の後、後甲板に移動した2人を観察したチョッパーは、男部屋で聞いたルフィの言葉に納得する
 酒を呑みながらもルフィの話を真面目に聞くゾロの眼は、ルフィにだけに向けられる視線を送っており、ルフィもゾロに対してだけの瞳を見せて、ゾロにだけの気持ちを告げている事が解ったから・・・
『2人とも、お互いを必要とし合ってるから一緒に居るんだ・・・』





 きっとじゃなくて、絶対ェ変わらねェ!!!
 今日は、お互いの居場所は変わらないと強く感じて大切な人と過ごした大切な“特別記念日”
 勿論、ゾロに取っての“特別記念日”に加えられた事も言うまでもなく・・・・・








またもや「プレゼントはおれ自身」ネタですね(苦笑)
どう〜〜〜っしても今年こそはルフィ誕するんだと、我が儘一杯+勢いで書き殴りました(殴っとけ、コイツ!!!)
余裕全くナッスィングでも此は外せません!!!  例え意味不明文であろうとも!!!(←言い訳すんな!!!)
相変わらずクソヴォケダアホなワシで申し訳御座いませんでした(土下座!!!)
5月一杯DLFに致します故、お持ち帰り下さる方はどうぞです<m(_ _)m>

20030429 TUE PM UP   byヒロ


 *今年の船長BD企画、最初のDLFゲット作品は、
  ヒロ様の“記念日”シリーズとなりましたvv
  いつもいつも頑張り屋さんなヒロ様、
  今年もラブラブな二人の作品を、どうもありがとうございますvv
  大切に飾らせていただきますね?


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