涙


ごめんなさい
許して
お願い
だから
ねェ
ゾロを返して
ゾロを返して
オレが悪かったから



嵐の中に悲鳴を聞いた。
オレはキッチンで煮込みをしていたところだった。
それは許しを請うような、求めるような声だった。
風、だろうか。
窓から覗いて見ると、ひどい雨の中に立っている少年がひとり。
赤いシャツに膝までのジーパン。
ルフィだ。
「ルフィ!!!!なにやってんだ!!!!!!」
豪雨に自分の声がかき消された。
心臓が並みの動きではない。
ルフィが、荒れ狂う海に身をのりだしていた。
「ルフィ!!!!!!」
異変に気付き、部屋からウソップやナミさんも出てきた。
ルフィは相変わらず狂った波を睨みつけていた。
「ルフィ…どうしたのよ」
ナミさんが整った眉をゆがめながらルフィに近づいた。
オレンジ色の髪が肌にはりついている。
雨が、痛かった。
「ゾロが…ゾロ、が」
ルフィはやっと口を開いた。
まだ波を睨んでいる。
「ゾロが、海に」
やっとこっちを向いたルフィは、弱々しかった。
違和感はあったんだ。
ルフィになにがあれば一番に飛んでくる奴が、その時はいなかった。
ゾロが、いなかった。



すげー嵐だな、ゾロ!!!!!!!!
ルフィ…早く戻れ
えーなんで??
危ないだろ、海とかに落ちたら
大丈夫だって…あっ! 帽子がっ…!!!!!
く…そっ!!!
ゾロ!? ゾロォッ!!!!!!



いくらあいつでも、あんな嵐の中じゃ…。
オレは頭を振り、そんなバカげた考えを消し去る。
あいつだから、あんな嵐の中でも大丈夫なんじゃねェか。
毛布に包まっているルフィはぴくりとも動かない。
寝ているらしい。
嵐の中では判らなかったが、ルフィは多分泣いていたと思う。
弱く、誰よりもゾロがそこにいることを望んでいた。
オレは、もっとひどく泣きじゃくるかと思った。
もっと弱い部分をさらけ出すかと思った。
けれど、ルフィは静かに、ゾロを待っていた。
オレも深く願った。
ゾロが、生きて帰ることを。
このままではルフィが壊れていってしまうのではないかと思った。
初めて、ルフィの隣にあいつがいることを深く、願った。



ゾロの
おっきな手が恋しい
あったかい胸が恋しい
強い腕が恋しい
優しい唇が
大好きな笑顔が
恋しい

ゾロ
ゾロ
ゾロ
ゾロが恋しい
ゾロが、恋しい



朝は、昨夜のことが嘘のように静かだった。
ルフィは昨夜と同じように毛布に包まって、いた。
オレはタバコに火をつける。
あれは夢だったんだ。
オレはそう思いたかった。
「お前は強いんだな」
そこにいないようでいる、ルフィにそう呟いてみた。
「…生きててくれよ…」
そこにいるようでいない、ゾロにそう呟いてみた。
タバコはいつの間にか、きれていた。
「――――ロッ!!!!」
外からナミさんの慌てた声が聞こえてくる。
「……?」
オレにはよく聞き取れなかった。
「…ゾロ?」
「!!」
寝ていたはずのルフィが正確にドアの向こう側を見ていた。
今まで自分を包んでいた毛布を放り投げ、外へ出る。
オレもそれに続いた。
「………よお」
そこにいたのは、全身びしょ濡れで息を荒げている、大剣豪を目指してる男がいた。
オレには、ゾロ、に見えた。
「マジで?」
思わず口に出してしまった言葉にちゃんと反応する、ゾロ。
「マジだ」
人間じゃねェ。
オレは半ば呆れたようにゾロを見た。
皆には判らないどこかでホッとしているオレもいた。
「ゾ…ロッ!!!!!」
ルフィはゾロに駆け寄り、胸にすがりついた。
そして、泣いた。
濡れたゾロのシャツを引きちぎるような勢いだった。
「ごめん…ごめんなさっ…!!!」
ゾロはそんなルフィを愛しそうに頭を撫でながら「ッたくだ」と言った。
「ほら、帽子。もう飛ばすなよ」
ルフィは泣きっぱなしだった。
「安心したわ」
「ルフィさん、死んじゃいそうな顔してましたもんね」
「全くだ。見てるこっちが参っちまいそうだったよ」
「すごいなぁ、ゾロ」
「そういや朝飯まだだったな。豪勢にいこうかね」
はたと、ルフィの泣き声が消えた。
ルフィはゾロの腕の中で穏やかな顔で、寝息を立てていた。
「あれ…あいつ…」
毛布に包まって寝てた……いや、寝てなかったのか??
ゾロもルフィにしっかりと腕を回し、寝始めた。

2人とも、いつも以上に幸せそうな、そんな寝顔。



  〜Fine〜





キャ――――――――――― !!!!!!!!!
どうすればいいんだっ!!!!!
どうすれば許してもらえるんだろう!!!!!!!
リクが"ゾロの胸で泣き疲れて眠るルフィ"だったんですが…っ!!!!!!!!!!
ギャ――――――――――― !!!!!!!!
泣き疲れてな…っ!!!!!!
寝不足じゃん、ただの!!!!!
なんていったらよいのか…すいません
リクにそぐわない物を差し上げるなんて…打ち首じゃすまない…(汗)


Morlin様へ
リク…ありがとうございました
上にあるように、泣き疲れてません…すいません(汗)
寝不足ですね、船長さん…(汗汗)
って言うか、長すぎです
前回のは短すぎで、今回のは長すぎで…どうにかしろって感じですね
ほんとに、謝っても謝りきれないです、これ
捨てちゃってください!!!!!
ポイッ!とやっちゃってください
いつもお世話になっているのに、恩をあだで返すようなこと…ほんとに申し訳ないッス


キャ――――――――――― !!!!!!!!!
どうすればいいんだっ!!!!!
…じゃなくって。
でも、どうしようどうしようとおろおろ焦ってしまったのは本当です、ええ。
こんな…ドラマチックにもほどがあるぞ、な、素晴らしい作品を、どうしましょうと。
(↑動揺のあまり、日本語が変です。ご容赦くださいませ。)
どこか甘甘な1シーンのSSとか、って思っていたんです。
だってリクエストの内容からして甘そうでしたもの。
だのに、この、畳み掛けるような展開。
一体どうなるの? ルフィと共に祈ってしまったくらいです。
ああ、まだ興奮が冷めやらないみたいです。

ハラハラの後は、これをいただけるなんて〜vvとニマニマしてしまった正直者。
如月サマ、
我儘なリクをこんなステキに仕上げていただいて、本当にどうもありがとうございました。
ダメダメの我儘な年寄りですが、これからもどうかよろしくお願い致しますね?


如月弥生サマのサイト『SEA SKY』へGO!**


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