Whiff of ZORO




「あれ? ゾロ・・・?」
夜中、不意に目覚めて傍らにゾロが居ない事を知る
昨日、夕食後に一緒に盗み酒をしに入った格納庫で其のまま眠りに就いてしまったらしい
一緒にくるまっていたケットに残された香り・・・
「ゾロ・・・・・」
頭まですっぽりとケットにくるまり浸る

大好きな人の匂い・・・・


          + + +


「アクセル? これか? 踏めばいいんだな これを」
ウェイバーに乗り、ルフィは教えられた通り好奇心一杯にアクセルを踏み込んだ
「うぅわわあ おお!!? 走ったぞ!!!」
乗れた!!!
皆がそう思ったのは一瞬だった
早々にバランスを散々崩し、健闘虚しく揺れに揺れて転倒してしまう
「ああ」
ウェイバーとルフィはそれぞれ反対側にぐるぐると宙を舞い、そして、海に叩き付けられた
「―― そういや能力者にこの海はどうなんだろうな……」
悪魔の実の能力者はその人間離れの力を身に着ける代わりに海に嫌われてしまう
つまりは水の海では溺れてしまうがこの雲で出来た海なら、ひょっとしたら……との期待を込めてサンジは言うのだった
「そうか 普通の海とは違うからなァ もしかして浮くかもしれねェ」
ゾロもまた、そうあって欲しいと淡い期待を抱く
が、「あぷ…」と波に飲み込まれて行くルフィ
「沈んだ」
「ダメか」
との言はサンジとゾロのもの

「チッ!」
小さな舌打ちをして海に飛び込む
少し距離がある為に辿り着くまで時間が掛かりそうだ
どんどん沈んで行くルフィ・・・
初めての波の感覚が掴み難く、何時も程速くは泳げない・・・
解っていた筈なのに、ひょっとしたらという淡い期待をしたが為に行動が遅れてしまったと後悔する

――― 居たっ!! 頼む、間に合ってくれ!!!

 今までに危機一髪という事を何度経験しただろう
ルフィと一緒にいると常に付いて回る事
だが、例えどんな事があっても必ず救う!!

 漸く辿り着き、ルフィの手首を掴んでグイと引き寄せたゾロである
後少しでも遅れていたならルフィは地上へと真っ逆さまだった・・・
力無くぐったりとなっているルフィを抱き締め、急いで海上を目指す

「危ねェな!! 下へ突き抜ける寸前だったじゃねェか!!」
ルフィの麦わら帽子を手にして海から上がったサンジがゾロを指差しながら怒鳴る
「おめェがアホな事言ってるから出遅れたんだろ!!!」
ルフィの足首を掴み、引きずりながら其れに負けじと怒鳴り返すゾロ
「足が… 片ホー雲を抜けた…」
助けられたルフィは全身脱力状態

其の脇でもウソップが怒っている
「何でおめェまで飛び込むんだよ!!!」
おそらくルフィが溺れた事で思わず助けようと飛び込んだのだろうが、自分も能力者である事をすっかり忘れていたのだ
「空島コワイ 空島コワイ」
暫くそう言い続けた

「ホレ! 帽子・・・」
サンジがポスンとルフィの頭に宝物を被せた後、向こうへと歩いて行く
「おう・・・、さんきう・・・」
力無く返事をしてサンジの背中を見送り、宝物の感触を確かめ安堵する
「ゾロ・・・、死ぬかと思った・・・・・」
瞳を閉じて、静かに告げてぎゅうと抱き締める
「アホな事言ってんじゃねェよ! 絶対に死なせやしねェ!!!」
――― そうだ! どんな事があっても・・・!!!
心の中で強く念じながら優しく背中に手を回す
そして、やっと緊張が解けるルフィ
想いを伝える為にゆっくりと口唇を近付けて来るゾロを待つ
「ん・・・、ゾロ・・・・・」


          + + +


 そう、あの時のゾロの想いは一番嬉しい想い
何時も自分だけが独占出来る、何時も自分だけに与えられる想い
此からもずっとずっと自分だけに向けられるゾロの想い・・・
四六時中一緒に居られなくとも、こうして大好きな大好きなゾロの想いに包まれる事が出来ると感じる

――― ゾロ・・・ おれって、しやわせ・・・・・

だが、本当は常にゾロの傍に居る事を望んでいると強く思う

――― 此の時間、ゾロが居るとすればあそこしかねェよな・・・

「よっ!」
側に置かれている帽子を被り、元気に起き上がって格納庫を後にする
滑って落ちたケットがルフィを見送る
目指すは後甲板
きっと其処にゾロは居る

――― やっぱり居た・・・

嬉しくなって駆け出したい気持ちをぐっと堪えてペタリペタリと鳴る草履の音を控えめに歩み寄る
「あ? 起きたのか・・・」
トレーニングの手を止め、振り向いたゾロの顔が微かに笑んでいる
「おう! 起きた!」
そう返してゾロの胸に飛び込み、ぎゅうと抱き締めて顔を埋める
「ルフィ!?」
「ん・・・ ゾロの匂いだ・・・ やっぱ本物が一番だなっ!」
「ルフィ・・・」
一人納得しているルフィの事を直ぐに理解するが、照れ隠しに低い声でわざと言う
「汗臭ェだろうが・・・ 離れろよ・・・」
「イヤだ! 絶対に離れねェ!!!」
更に腕の力を込めるルフィを力強い手が優しく優しく抱き締める
「仕方ねェなァ・・・ ウチの我儘船長は・・・・・」
今度は溜息混じりの言葉が降る
見上げるとくつくつと笑っていたから、嬉しくなって笑い返す
「にっしっし! そうだ! おれは船長だ!! おれはゾロの事が大好きだかんなっ!!! 此の気持ちだけは絶対に譲らねェ!!!」
「・・・悪くねェ・・・・・」
波の音に掻き消される程に小さく囁き、口唇を重ねて来る



 大好きな大好きな香りを感じながら、
 一番大切で一番自分の心を占めている存在である人からの心を受け取った・・・・・





あ、、、見事に玉砕(タイトルまんまだし・・・冷や汗)
お題クリア出来ていない様な・・・(泣)
ずっと妄想して何時か書くぞと思った原作ベース
かなり妄想した 「第240話 ダイアル・エネルギー」 で書きました(苦笑)
WJ読んでいないと解り難いですよね・・・スミマセン
こんなんで宜しければ貰ってやって下さいませ<m(_ _)m>
NGの場合はお叱りメールを頂きたく・・・(件名は「舐めとんかっ!」でヨロシク・笑)

20020901 SUN AM   byヒロ



踏んだカウンターは7776というややこしい数字だったのに、
あんまり悔しがるものだからと、こんなお素敵なお話を書いて下さいましたvv
しかも速攻。
ヒロさまっておやさしい…。
本当にありがとうございますvv
凄っごい頑張り屋さんで、お仕事一杯抱えてらっしゃるのに、
いつもいつも掲示板へ伺っては、好き勝手な事ばかり騒いでおります私めへ、
きっちりお相手くださるとてもとてもマメなお方です。
でもでも、お体にはご自愛くださいませね?
また遊びに伺いますね? ではではvv



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