繋いだ手の意味
 


「祭り〜??」

隣の席のウソップがうちわをパタパタさせながら
今日祭りがあると言った。
ウソップとは小学校ん時からずっと一緒の大親友だ。
高校もめでたく一緒で、今も隣に座ってたりする。

「知らなかったのかルフィ〜!あいつは言ってなかったのか?」

あいつって言うのはゾロの事。
おれがガキん時から世話になってる近所の兄ちゃん。
って言っても、今は一緒に住んでて…。
しかも、コ、コイビトだったりする…。

「おう…ゾロ最近忙しいから…」

「そうかぁ〜じゃあ知るわけねぇか…」

「…うん」

ゾロとおれのことはウソップも知ってるから
なにかといろいろ心配してくれる。
今日も多分、気をつかって祭りのことを教えてくれたんだろう。
ゾロとおれは8歳も年が違うから…。
ウソップとカヤみたいに、祭りなんかも行かない。
ってか、行かなくなった…。
ガキん時はいっぱい連れてってもらったけど
今はおれも高校生だし、ゾロも忙しくてそんな暇がない…。
高校生にもなって、ひとりで祭りで行く気にもなれない。
祭りは好きだけど…。

「行かねぇのか?」

「…行けねぇよ」

「オレたちと…」

「久しぶりのデートだろ?」

「おぅ…すまねぇな」

優しいウソップの言葉は嬉しいけど、
おれなんかがウソップをひとり占めしたら、カヤ可哀想だし。
おれだって、そんなことされたら嫌だし…。

「楽しんでこいよ?」

おれは大丈夫だし。
ゾロとはガキん時いっぱい行ったし。
なにより、心配してくれたウソップが嬉しかったから。
ししししっ!といつものように言って笑った。





「お祭りかぁ〜」

帰り道。
今日はよく浴衣の子供達とすれ違う。
祭りだから当たり前なんだけど…。

「おそ〜い!!」

「ごめんごめん、よし、行こっか?」

「うんvv」

カップルなんかも多かったり…。
ここらの祭りは結構規模がでかいから
大人から子供まで、みんなが祭りを楽しむ。
しかも、祭りの最後には結構本格的な花火もやっていて
それを目当てで行く人も多い。
小学ん時までは、ゾロの手引っ張って
嫌がるゾロを無理やり祭りに連れだしたっけ。
それからは友達とばっかいたから
ゾロとは自然に行かなくなったんだよな〜。
だから、今更誘えないし…。
でもよ〜。

「…ホントはおれも行きて〜よ」

祭りが始まる花火の音が後ろから聞こえた。







「ただいま〜」

いつのも習慣。
誰もいなくても挨拶は必ず。
靴を脱いでると、なにか気配を感じた。

「??」

ゾロが帰ってきてんのか?
まさか、今日は早く帰れるなんて行ってなかったし…。

「おかえりなさぁ〜いvv」

「ナミ…」

振り向くとそこには、にっこり笑ったナミ。
来るなんて聞いてねぇし…鍵かかってたはず…。

「鍵なら開けさせてもらったわvvそれより…」

「…ドロボウじゃんか」

「うっさいわね!それよりルフィ…お祭り行きたくない?」

「え?」

「お・ま・つ・りvv」

ナミの笑顔が怖いと思ったり…。
そんなこと口がさけても言えねぇけど…。





「ただいま…」

「……」

ゾロが帰ってきたんだけどさ…。
なんってか…出られねぇよ…。
ナミの奴ぅ〜!!!

「ルフィ?帰ってるんだろ?」

「……」

「ルフィ?」

リビングのソファの上で、シーツに包まってるおれ。
それを不思議そうに見るゾロ…。
別に怪しいもん着てるわけじゃねぇけど…。
こんなん着て待ってるなんて、恥ずかしいって!

「ルフィ?」

「お、おかえり」

「なに包まってんだ?」

「う…」

いや、こんなん着て待ってたら
行こうって言ってるようなもんじゃん!
いや、行きてぇけどさ…。

「こら、ルフィ〜!」

「うわっ!」

「……」

「いや、これはさ…」

「浴衣?」





+++++


「浴衣〜??」

「そうっvv浴衣vv」

ジャジャーン!なんて効果音つきでナミが出したのは
紺色の浴衣。
浴衣なんてガキの頃のしか持ってなかったおれは
ちょっとびっくりしてしまった。

「どうしたんだ?それ?」

「うん?これ??」

「おう…」

「ゾロのもあるわよ〜vv」

「……」

おれが聞いたのはそうじゃないんだけど…。
しかもゾロの浴衣まであるし…。
ゾロのは深い緑色の浴衣。
おれのよりなんだか大きい感じ…。
…じゃなくって!!!

「どうするんだ?それ!」

「着るのvv」

「ナミが?」

「アンタが!」

「え〜!?」

「え〜!!じゃない!!」

とか何とか言ってるうちに、服脱がされてるし…。
もうなにやっても、ナミには勝てないから
そのまま動かないで突っ立っていた。
動いたらすげぇパンチが飛んでくるだろうから…。

「はいvv終了vv」

ふーっvvとかって汗ふいてるけどよ…。
これ、おわり?

「なぁ〜ナミ?これで終わりか?帯は??」

「うふふvv…それはゾロにやってもらって〜vv」

「え!ちょ、ちょっと!!」

「じゃ〜ねぇvv」

「ナミ〜!!!!」



+++++



「んで?」

「……」

脱いでも良かったんだけど…。
ゾロと祭り行きて〜なぁ。
とか考えたりしてたらゾロ帰ってくるし…。
どうしよ…。

「行くか?」

「え…?」

「祭り…久しぶりに…」

「……」

「行きたくねぇのか?」

「…行く!!」

まさか、ゾロがお祭りあるって事知ってるとは思わなかった。
こんなカッコしてたから、かな?
ちょっとナミに感謝だったり?

「これ、どうしたんだ?」

「ナミに貰った」

「……アイツ…」

「??」

「いや、感謝だなってよ」

「?????」

ゾロに帯を締めてもらって。
ゾロも浴衣を着て。
同じ男なのに、どうしてこんなに浴衣が似合うんだ?
とか思いながら、家をでた。


祭りをやってる神社に行くと、まだ人がいっぱいいてすごかった。
みんなそれぞれ好きな屋台のとこに行って楽しんでる。
ゾロの後をゆっくりくっついて歩いていると
ふと、ゾロが立ち止まった。

「??ゾロ?」

「久しぶりだなって」

「あぁ〜」

ゾロと祭りに来るのは、5年ぶりくらい?
ゾロ仕事で忙しかったりだったからなぁ〜。

「覚えてっか?」

「ん?」

「お前、小学生ん時まで俺引っ張ってきたよな?」

「あ、あれは!ガキだったから…」

「あれ、結構嬉しかったんだ」

「へ?」

「一緒に祭り行こうってよ」

「え?」

「最近気付いたんだ…」

「何をだ?」

「どっか行こうってお前が俺を誘わなくなったのに」

え?え?
だってさ、ゾロ仕事あるしよ。
おれ我侭だから言ったら諦めないし。
ゾロ、祭り誘うと嫌な顔してたし。
おれとさ、どっか行くの嫌なんだなぁ〜ってさ。

「少しよぉ、淋しかったな」

「ゾロがか?」

「俺だからだよ」

「……」

「だからよ、今は最高だ」

「……」

「お前は楽しくねぇか?」



お互い淋しいとか思って。
お互い遠慮して。
いつもそばにいたのにさ。
なんだか、おかしいよな?
でも、これって結構…。


「楽しいに決まってんじゃん!!!」




嬉しかったりするよなぁ〜。






「お前、浴衣似合うな」

「ゾロん方が似合うじゃん!」

「いや、お前だな」

「なんでだよ?」

「脱がしたくなる」

「…はぁ?」

「したくなるって事だ」

「何を?」

「こういう事だ」

「え?…んっ!…んっ」

「な?」

「…///バカゾロ!!!」





ガキん時引っ張ってった時に繋いだ手と。

今、しっかり繋いでいる手。

同じ奴と繋いでる手なのに。

どうして今こんなに嬉しいんだろう?

どうして今こんなに熱いんだろう?




まぁ、いいか。





おわり

  夏祭り…。
  帰る途中、近所の神社から音楽が…。
  お祭りって好きですわ〜vv

  ってことで。(はい?)
  なんとサイト10000hit突破!!!!
  すごい嬉しかったり…(笑)
  ってことで、(また?)
  お祝い(??)にこの小説お持ち帰りOKとか言っちゃって…。
  いないかもしれませんが、万が一欲しいと言う方がいらっしゃいましたら
  掲示板に一言よろしくお願いしますvv


  DLFです。しかも恋蘭サマのところの“lonely”シリーズの二人です。
  これはもう、頂いて帰らなくては嘘でしょう。
  相変わらずに言葉の足りない、おいおいなゾロですが、
  案外とこれくらいで当たり前なのかもしれませんね。
  こっそりと“誘ってくれなくなったのが淋しかった”と白状している可愛げに免じて、
  オバちゃん、またまた勘弁してあげましょう。
こらこら
  ありがとうございましたvv 大切に読みますね?

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