「ゾロのバカー!!!!」

  「なっ!!」

ケンカのあとには****







この船には静かな時というのはめったにない。

原因は大概、この船の船長とその相棒の剣士だったりする。

そして今日も静かな時は訪れることがないのだ。

「で?」

新聞から目を離さず優秀な航海士は言った。

で?それだけで会話は成立してしまう。

そう、いつものことなのだ。

さっきの一言には「今日は何であいつと喧嘩したの?」という意味がある。

毎度のことで、もう誰も相手にしていない。

だが、この船のクルー達は船長にはとても甘い。

すべて砂糖で作った人形のように、それはそれは甘いのだ。

だからこうして今日も助け舟を出してやるのだ。

「あのな、ゾロが…」

今にも泣いてしまいそうな顔で話し始める船長に

心がとっても優しい船医は自分も泣き出してしまいそうな勢いで

うん、うん!と何度も頷きながら耳を傾けていた。

「なんだ?また寝ぼけてキスでもしてきやがったのか?」

今日のおやつを作っていたコックが、煙草を咥えたまま溜め息をついた。


以前の喧嘩の原因は船長が気持ちよく、剣豪殿のお隣でお昼寝をしていた時。

ふと目が覚めたら、いきなり剣豪殿がキスを求めてきたとかで…。

それがなぜ喧嘩になったのか、理由を聞いた者の誰もが呆れかえってしまう。

(だって…目開けたらゾロの顔あって…すっげぇカッコイイんだもん///)

頬をピンクに染めて、照れながら言われてしまうと、言い返す言葉もなくなってしまう。

喧嘩をしているのか、見せ付けているのか…。

それでも、船長には甘いこの方達…ツッコミを入れることもしないで

はいはい。と呆れながらにも話を聞いてやる。


「ううん…そうじゃない」

先ほどの質問に力なく首を振った。

「じゃあ今度は何なんだ?はやく仲直りしちまえよ…お前ら」

鼻の長い狙撃手は新しい発明だかなんだかで、手元をカチャカチャさせながら

はやくみんなを解放してくれ…。と心の中で思った。

「だって…」

そう言って俯く彼に、そこにいた全員がだって?っと聞き返した。

すると、前回と同じように頬を染めて、照れながら喧嘩(?)の原因とやらを話し始めた。

「だってな、ゾロがおれのこと好きだって言うんだ!!」

「…………はい?!?」

声を合わせて…というか合ってしまった声に船長は驚いて、どうしたんだ?と首を傾げた。

コックと狙撃手は、またか。と呆れてそれぞれの作業にかかり、

船医は意味がさっぱり分かっておらず、ぐったりとしている航海士に

どういうことなんだ?オレわかんないよ!!と、必死に聞いていた。

航海士は必死になっている船医に、後で分かるわよ。とだけ言って困り果てている船長の肩に手を置いた。

「だってさ!おれもゾロのこと大好きなのに、くやしいじゃん!!!」

呆れられていることに気づいた船長は顔を赤くして、思っていることを口にした。

しばらく動かなかった航海士は、彼をちょいちょいと手招きをし

耳を貸せと、顔を近付けゴニョゴニョと何かを伝えると、ドンッと背中を押した。

背中を押された船長は、少し不満そうな顔をしていたが

大丈夫だから…。と言われると少し笑顔になって「ありがとう!」と言ってキッチンを後にした。

ぐったりとした航海士に、少し苦めのコーヒーを手渡し、

「今回は、あのバカになんて言ったんですか?」

とたずねた。ありがと…。とカップを受け取ってさっきの言葉をもう一度言った。



「ゾロ〜?」

頼りになる航海士に助け舟を出してもらい、それを試してみようとその姿を探した。

いないなぁ。と上を見上げると、航海士ご自慢の蜜柑の木の下から

探していたその男の見なれた足が、ひょっこりと顔を出していた。

寝ているのかと思い、ゆっくりと音を立てずにその男の隣にしゃがんだ。

「…ん?」

人の気配がして、彼はゆっくりと瞼を開けた。

「……ルフィ」

隣でしゃがんでいる人物が自分の愛しい恋人だということが分かり、その名を呼んだ。

名前を呼ばれても、俯いたままの彼にどうしたものかと身体を起こした。

すると同時に、起き上がった身体の上にまたがるように座ってきたかと思うと

どうしていいのか分かっていない男の頬に、チュッと可愛らしいキスをした。

「!?ルフィ?」

少し前に、いきなりバカと言われ、少なからずもショックを受けていたというのに…。

これは一体どうしたことだ?としばらく固まっていると、彼は何度も何度も

可愛いついばむようなキスを繰り返し、やがて逞しいその首に細い腕を回して、ギュゥ!と抱き付いた。

目を見開いて、何が起こったのか分かっていない男の顔を見て

しししっvv、と白い歯を見せて悪戯っ子のように笑うと、耳元で嬉しそうに笑った。


「おれの方がゾロんこと好きなんだからな!!!」




そしてキッチンの上からは二人の笑い声が聞こえて、無事に仲直りしたことを知らせた。




END


うわ〜!!!???(叫)
なんだこの、甘さは〜!!!!!!(泣)
3333hitのMorlin.サマ…。
これがリクしていただいた
「ちょっとしたつまらないことで喧嘩しちゃって、でもやっぱり仲直りしていまう」
の小説でございます(涙)
これはヤバイですね…つまらないことで喧嘩……してないじゃん!!!(爆)
遅くなった上にこんなものしか書けない恋蘭をどうか、どうか許してやってください!!!
本当に申しわけありませんでした!!!(泣)


*可愛いですぅ〜〜〜っ!
 ああ、何だか取り乱してしまいましたわ。
  もうもう、単なるおノロケを越えていますね。
 好きだと告げて“ばかっ”と罵られた恋人さんもお気の毒ではございますが、
 そのノロケに付き合わされる“部外者”に比べたら。
 脱力しながらもちゃんとアドバイスするナミさんが妙にツボでした。
  恋蘭サマ、どうもありがとうございましたvv



恋蘭様サイト『Flower Robot』へGO!⇒***


back.gif