青空と太陽


今日は朝から間の抜けるような青い空。
雲ひとつなく、すべてのものに降り注ぐ太陽と心地よい風。
ナミの植えたミカン畑からは熟したミカンの甘い匂い。
穏やかな海はルフィ達の船を快く運んでいた。


「今日こそはその貯まりに貯まった洗濯物を全部洗ってもらうからねっっ!」

ナミのこめかみにはくっきりと青い筋が浮かんでいる。
幸い今日は天気が良い。
目の前に積み上げられた洗濯物の山、山、山、山・・・
男4人分の小汚い、いや、ど汚い服。
しかも血みどろだったりするところもチラホラ見え隠れしている。
随分と洗濯のしがいがあるというもの。
ナミは青筋を浮かべたままにっこり微笑んだ。
はっきり言ってかなり怖い。

「終わるまでご飯ぬきだからね」

そう言い残すと、部屋の中へ入っていった。
男どもは、は〜〜っと安堵のため息をつく。

「でもまぁ、よくもこんなに貯めたもんだよな」

早速洗濯を始めたサンジ。
すでに水が赤いのは・・・気のせいにしておこう。

「でもよ、サンジがいなきゃメシ作れねぇんじゃねぇか?」

今頃つっこむウソップの水は・・・黄色い。
た、たまご?
てか、生臭っっ
もともと器用な二人は次々と洗濯物を減らし、水を汚していった。
海に流したその水が、周辺の魚に悪影響を及ぼしたかどうかは・・・知らないが。
残りの二人はというとさっきから一向に洗濯物の数が減っていない。
ご飯ぬきと聞いて急いで洗い始めたルフィだが、飽きっぽい性格が災いして既に洗うことを放棄していた。

「な〜ゾロ〜ひ〜ま〜〜〜」

だったら洗濯しろ、洗濯を。
と言うはずのゾロは何故か再起不可能な状態に陥っていた。
もちろん洗濯物も減っていない。
な〜な〜、と目をキラキラ輝かせるルフィ。

(頼むから・・・その格好で近づかんでくれっっ)

ゾロの心の叫びがルフィに伝わるはずもなく、反応を返さないゾロに更にじゃれつくルフィ。
朝ご飯のときにジュースをこぼしたルフィは結局すべての服を洗うことになって、上半身素っ裸。
ゾロにとっては目の毒としか言い様がない。
サンジとウソップはとっくの昔に洗濯を終了して各々の持ち場に戻っていた。
目の前でいちゃつかれても気分が悪いだけということか・・・
すっかり綺麗になった服が吊るされた紐に掛けられて、風にはためく。
パタパタと、どこか懐かしく心の和む音。
子供時代を思い出すせいだろうか。

「な〜ってば!!」

ルフィはまだ遊ぶ気でいるらしく、ゾロと背中合わせにくっ付いて体重を掛けている。
いくらゾロが頑丈でも心臓が働きすぎて身体に悪そうだ。
顔が赤い。

「ルフィ・・・いい加減に洗濯しねぇとメシ抜きだぞ」

もっとも効果があるであろうセリフを何とかしぼり出すと、ルフィは観念したように「う〜〜」と唸った。
渋々と洗濯物を洗い始める。
ゾロは自分で言っておきながら、少し惜しかったかな・・・などと心の中で思う。
横目でチラリと見ると、真剣に洗い物をするルフィの姿。
なんだか微笑ましくてゾロの頬が緩む。
力を入れすぎるのか、シャボンの泡があっちこっちへ飛んでいる。
跳ねる水しぶきが太陽の光を受けて輝く。
ゾロは思わず目を細めてその光景を見た。
穏やかに流れる時間。
カモメの声。
ナミからお許しを頂いて、サンジがハートを乱舞させながら作っているであろうお昼ご飯の匂い。
後尾の方ではウソップがまた何かを実験しているのか、怪しげな色の煙。

ルフィはやっと洗濯が終わったのか、一息つくと手の甲で額を拭った。

「ゾロっっ!終わったぞ!!」

特上の笑顔が向けられる。
これが自分だけに向けられればいいのに、とゾロは思う。
いつも
いつまでも・・・
ゾロはルフィのほっぺに付いた泡をそっと指ですくい上げる。
あんまり優しい動作だったので、ルフィは猫のように擦り寄った。

青空と太陽とシャボンの香。
たまには洗濯も良いかもしれない。
どちらともなくそう思った
ある日のこと



  〜Fine〜


★POPPYCOCK★
88hitをゲットなさったMorlin様へ
UPが遅くなってしまいまして申し訳ありませんですι
ほのぼのした日常的なゾロルということで・・・リクエストに適っているでしょうか(汗)
受け取って頂ければ幸いです(涙)


うひゃあ〜! ありがとうございます〜vv
景サマにしてみれば、ひょんな出会い頭にあったようなものでしょうに、(それって不幸な事故扱い?)
こんな小さなゾロ番でも引き受けて下って、こ〜んな我儘なリクを聞いてくださってvv
とっても嬉しいです♪ ああ、なんていい年の瀬でしょうか!
ほのぼのとお洗濯しつつもさりげなくいちゃいちゃしているゾロルがツボですvv
本当にありがとうございましたっ!

景サマのサイト『POLESTAR』へ⇒**


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