第7章(最終章?!) その後の展開

前章では、CXに「頼むよ!」と言われた男であったが、実の話仕事が忙しくなりCXの心臓部は放置プレー状態にあった。

時間の取れたときに思った事は、まずはガスケットの手配とベアリング探しをしなければいけないのと井上ボーリングさ んにクランクはお任せしよう、ということだった。
井上ボーリングの営業のTさんにクランクをピックアップに来てもらう。

数日後にTさんから電話が!?
Tさん:「あ〜M.Eさん。やはり部品は調達出来そうも無いですよ〜。」
私:「え〜〜〜〜〜!(もうだめか?)」
Tさん:「あとは似た物を加工して取り付けるしかないみたいですね」
私:「あ、それでお願いします。(ほっ、出来るんだ良かった)」
Tさん:「じゃ、それで現場に指示出しますんで、終わったら持って行きます」
私:「お願いします!」

数日後・・・クランクは完全な物となって帰ってきた!井上ボーリングさんいつもわがままを言ってすいません。
というわけで、井上ボーリングさんはCXのクランクを分解組み立て、大端ニードルベアリング、サイドワッシャー、小端ニードルベアリングの調達が出来ると 判明しました。

しかしそれ以外にもほんの少しのトラップが有ったりしたのだ!


・ヘッドガ スケット
ヘッドは外さなければ良かった・・・・しかし結構頑丈にシリンダー側にへばりついていたので、液体パッキンを併用する事で密閉性は確保できそうであった


・ベース パッキン
「どうせ0.5mm位だろう」とたかをくくっていたのだが、マイクロメータで測定してみると0.6mm。。。。雲行きが怪しくなってきた。
「パーツリストがほしいなぁ・・・。ある訳無いだろうけど」
こんな時はググってみる。日本語と英語での検索をかける。当然なかなかHITしない。
が!英語のサイトで検索ランキングTOPを取っているサイトを発見!!Go!Go!
そこはCronoがメインで書かれているサイトなのだけど、『manual』と書いてあるリンクボタンがある。ぽちっとなぁ〜・・・(ノ゜ο゜)ノ  おぉぉぉおぉ!!
ぬわんとパーツリスト(エンジン部のみ)が公開されているではないか!
ありがとう!!!!!(ToT)/~ なんて素晴らしい人なんだ〜。おっと、感動している場合ではない。
ベースパッキン、ベースパッキン・・・なぬ?何種類も有るぞ?0.4〜0.8mm位まで・・・
これはセッティング用なのか?それとも?!
ググってみると、ジレラのスクーターを修理している所をアップしているサイトを発見。そこには、「ピストンの運動量を量って、メーカーの基準値を引いた数 値のガスケットを使う」と書いてある。ん〜?基準値なんて知らん。ここはひとまず組む時に数値を量ってから考えよう。

組んでる途中・・・(自分の考えが正しければ、しかしこれを信じないように!)シリンダー(ベースパッキンは無で)もヘッドも組みつ けておく。ローター側 のクランクケースに刻線が切ってある。そこにローターの刻線マークをあわせてマイクロメータで上死点までのピストントップの運動量を測定する。ちなみにこ のCXは2.04mmだった。しかしここでメーカーの基準数値がわからない。ついていたベースパッキンが0.6mm・・・・元の厚みで行くか!メーカーの 基準数値を1.4mmと勝手に推測。2.04mm-1.4mm=0.64mm≒0.6mmで行きましょ。いいのか?わからん・・・・
ひとまずデイトナの0.3mmのベースパッキンを2枚重ねで作った。
結果は?!エンジンを掛けてみないとわからないですね。
何でこんなめんどくさい事やるんでしょうね?うわさでは、それほどクランク等に精度が出ていないからつじつま合わせをここでやるんじゃないか?との事でし た。


・クランクケースガスケット
これが悩まされた物のひとつでした。
なんといってもガスケットの厚みが0.1mm!!!!!まるで油紙のような物です。ほら、昔接骨院に行くと茶色い紙に薬を塗って患部に当ててくれたじゃな いですか?あんな感じの物。
そしてその油紙を探して買ってきたけどなんか違う・・・・
んじゃ!Threebond 製のガスケットなら有るんじゃないか?と思い探したらありました。下関パッキングという会社で扱っていました。
でもなぁ・・・・・

・・・・

・・・・

破れてないからなぁ・・・・

・・・

再利用!!!心配なので液体パッキンを合わせ目両側に塗って組み付けました。

なんで発注しないの?と思う方もいるでしょう?だって〜○ロンに行くの結構抵抗あるんですよ〜。(w


・クランクサイドのオイルシール
探しました。。。。。国内の2STのOILシールの寸法や形状等を分かる限り捜索しました。

が、しかし・・・・無い・・・無い・・・無い・・・
これだけは頼みに行かんとダメだ〜!仕方ない、○ロンに休みの日に行くか。

私:「すいませ〜ん、CXの部品を頼みたいんですけど・・・」
店員:「うちで買われた物ですか?」
私:「いえ、個人の方から譲って頂いて、私で何人目の持ち主か不明なので・・・(しどろもどろ・・・)とりあえず値段を教えてください。」
店員:「どこの部品でしょうか?」
私:「あ、クランクのサイドのOILシール左右なんです」
店員:「?お客様御自分で組まれるのですか?特殊工具が必要なはずですけど?」
私:「あ、持ってるんで大丈夫です!」(この時点でバレバレデスヨネ?)

というバレバレな会話をしつつ発注をしたら10日ほどで入荷しました。左右で¥4,210(税込)
クランクサイドOILシール左:316309
    〃         右:316438
という品番で、上述のサイトでの品番と一致しました。
はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・


・クランクサイドベアリング
これは規格物でした!Lucky!!!
右:6305C4
左:6305C5
しかし左右で隙間が違うのを使うとは。C5ではがたが大きいし、左右で違うと良くないのでは?潤滑性能がC5では良いかもしれないけど、OILを良いのを (柔らかめの)を入れて対応しよう。という訳で左右ともに「NTNの6305C4」にした。
発注先はいつもの慨EKI


・各ベアリング、OILシール類
左クランクケースのメインシャフトが入る所のベアリングの動きが悪い。これも規格品。HONDAの91001-KA3-711で対応。
シフトシャフトのOILシール、これは91203-KK3-830で対応。1〜2mm厚いけど問題ない。

フロントスプロケットの奥のOILシール、これはSUZUKIの09283-28020で対応。1mm薄いけど問題ない。

ピストンピンクリップ、これはYAMAHA系のエンジンに共通しているのでYAMAHAで探してみるとすぐに見つかった。93450 -17129で対応。


ここまで読んでくれた皆さん。本当にありがとうございます。
不思議に思いませんか?画像が出てこない事を。。。。
そうです!またもやこれを書いている男は憑依されてしまったのです!!!(ガクガクブルブル・・・)

そして既に元の状態に・・・・・あぁ。。。

元に戻ったCX

注 入OILは信頼性の高い「YAMAHA Super RS」+「ZOIL」
ガソリンはハイオク指定

さてさて、火を入れてやるか。
「キュルキュル・・・、ポンポンポン!」
あっけなくエンジンは掛かる。
冷却水が漏れてきていないか?OILが漏れてきていないか?圧縮に抜けは無いか?異音は無いか?
各事項を確実にチェックしながら暖機運転をする。
ん〜、全くだいじょぶのようだ。
水温が上がってきたので少しづつ回転を上げていく。排気バルブは開かせないように・・・そして水温計の針が2つ目のポッチを指したところでエンジンを止め る。
「今日はこんなもんだな・・・・」そう。クランクを慣らしてやるために、3回はしっかりと暖め、冷やしを繰り返すのだ。
憑依されていた男はやっと正気に戻った。

「は!!!またまた画像を撮るのを忘れてた〜〜〜!」

そして3回の暖気が終了して男は試乗へと向かった。



結果: ベアリングの選定 を変更したので、クランクの回り方はスムーズになっている。パワーの出方も4〜5000rpmからスタートしないと発進が辛いのは前から。しかし、排気バ ルブが開くあたりの感じが手にとるように分かるようになった。まるで昔のランタボのような感じでドカンとパワーが変わる。それに、8000rpmあたりの もたつきが無くなった。
直った理由としてはこれはおそらく、クランクに古いOILが付着していた為にそれが抵抗となりもたつきを生じていた。そのせいでクランクの大端部のベアリ ングとサイドワッシャーが正常に動かずに破損に繋がったと考えられる。

皆さんのお持ちのOILの中で、かれこれ数年以上前の開封後のOILは何処かに眠っていないだろうか?もしあるならば、その蓋を開け てみて欲しい。そし て、何かにそれを垂らして最近のOILと粘度を比較して欲しい。きっと古いOILはかなり粘度が増していることでしょう。

交換部品一覧

最後になりましたが、参考までに今回交換した主要部品を載せておきます。

@クランク大端部のサイドワッシャー(破損)
Aクランク大端部のニードルベアリング
Bクランク大端部のサイドワッシャー
Cクランクサイドベアリング(ローター側) 6305C5
D      〃        (クラッチ側) 6305C4
EクランクサイドOILシール(クラッチ側) 32×45×7
F小端ニードルベアリング
GクランクサイドOILシール(ローター側) 22×35×7/7.5
Hピストンピンクリップ 16φ
IシフトシャフトOILシール 14×22×4
Jフロントスプロケット部のOILシール 28×38×7
Kメインシャフトベアリング(左右どっちだったかなぁ・・・) 6204C3

おしま い





・・・

・・・

・・・

んなわけないでしょ!!

試乗したら直した所のカウルが割れてきたんですよ!!

あ〜そうですよ・・・・もう一度直しますよ・・・はぁ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・
やっぱりまだまだ終わらない。。。。

つづく