29 杉林の手入れ

冬の間は地面が凍てついてほとんど小屋造りの作業が出来ないので、この際以前からやろうと思いながら先延ばしになっていた杉林の手入れをすることにしました。 雑木はその年輪から杉の植林とほぼ同時期に自生したと思われるますが、これまでに一度も手入れをされたことがないらしく、いろいろな色や木肌をしたさまざまな雑木がびっしりと生い茂っています。 林の中の日当たりと風通しを良くするために少し雑木を整理し、ついでに杉の枯れた下枝も落としてやることにします。

生えている杉の成長度合いは長い間雑木がはびこり陽の光を遮ってきたせいかかなり差が生じています。 樹高の高い木は枝を広げられるのでますます成長し、生育の遅れた木は樹高が低いので枝が広げられずに成長が遅れギャップはますます広まるばかりです。 普通ならここで間伐を行い、ずば抜けて太い木と細い木を間引いて中間の木に揃えるのでしょうが、コスト削減のためなのかどうも最初から植林された木の本数が少なかった様で、間伐を行うとスカスカになってしまいそうです。 まあ将来材木の出荷をするつもりもないので、生育の遅れた木も曲がった木もこのまま自然の成り行きにまかせておきましょう。

伐採された雑木は林内を歩きやすくかつ冬場の暖房用のマキに活用するために外へ運び出します。 搬出時の作業性を考えると枝が引っ掛かって引き下ろしの邪魔にならないように根元を斜面の下側になるように倒します。規模は違いますが諏訪大社の御柱祭の「木落とし」の要領で斜面を滑らせて引き出します。また成長し過ぎた雑木が倒れる時に他を傷つけないようにするためにはしっかりと倒す方向をコントロールしなければなりません。


最初に倒す方向を見定めて他の木とワイヤーで繋ぎます。
次にレバーブロック(ウインチ)で可能なところまで引き寄せてからチェンソーを入れます。

引いているのはミズメの木です。

今は冬で雑木は全て葉を落としていますので比較的明るく見えますが、夏場はさながら密林の様です。

切断したら根元部分にロープを掛け、再び滑車やレバーブロックを使って斜面の下方へ牽引します。 いったん木が傾き始めれば地面が傾斜しているので自重で根元が滑り出し、やがて完全に横倒しとなります。ただ中には張り出している枝が周りの木々にからまって完全に横倒しになるまえに宙ぶらりんの姿勢で止まってしまうことがあります。 そんな時は引っ掛かった枝をチェンソーで切り離しながら徐々に地面に横たえていくのですが、引っ掛かっていた枝が解放される時に突然飛び跳ねることがありますので注意が必要です。

実はこのためにまた怪我をしてしまいました。(^_^;
横殴りに跳ねた枝に右目を直撃されました。しばらくジンジンと沁みるような痛みがありましたが少し我慢していると徐々に痛みも和らぎ、やがて目にゴミが入った程度にまで治まってきたのでとりあえずそのまま作業を続行し、しばらく様子を見る事にしました。
翌朝起きるとまだ少し異物感がします。そこで念の為近所の眼科医院へ行くことにしました。




「あら!まずい位置に刺さっているわね」

(ほんとうです。若くて綺麗な女医さんなんです。)

エッエッ!そんなにハッキリ言わなくても…。いきなり「ドッキリ」ですか?

瞳の真正面に木片が刺さっているそうです。ほっておくと白濁する恐れが有ると言うのですぐに取ることになりました。 これまでに眼の治療なんて経験がないので治療中痛いのを我慢して目を開いていることが出来るのか不安になってきます。 看護師さんが麻酔薬を点眼しながら「何か一点を見つめているといいですよ」とアドバイスしてくれましたが、負傷している箇所が瞳の真正面なので処置中は他に視線をそらす訳にはいきません。いやでも迫ってくる鋭いピンセットの先を見続けなければいけないのです。 「これはもう覚悟を決めるしかないな」と緊張しながら待っていると、幸いにもピンセットの先端は途中からピントがぼけて(焦点距離より中に入ってくるので当然ですが)白くぼやけた影(ゴム手袋をはめた先生の手)に紛れて見分けがつかなくなりました。

破片は「一皮剥いで取りだした」そうです。痛みは麻酔のせいで全くありません。それよりも苦労したのは眼球を動かさないようにすることでした。 何度か「ハイ、動かないで」と言われたのですが、焦点を合わせることが出来ないのでひたすら目の筋肉に意識を集中して出来るだけ動かさないように努力するしかありません。必死に目が動かないように頑張っているうちに処置は終わっていました。

普段金属カッターを扱うときには必ず防護メガネを着用しているのですが、今回ばかりは正直全く油断していました。正面からの突きで無かったのが不幸中の幸い。この後はとにかく安全第一にヘルメットに防護メガネを着用しての作業となりました。

冬の間に全ての雑木を整理しようと思っていたのですがこれが思いのほか手間のかかる作業で、おまけに途中で次に予定していた石畳用の石の採取をすることになり(別途レポートします)、 結局作業したのが1月と4月の2ヶ月間だけでおおよそ全体の20%程度の範囲しか終えることが出来ませんでした。残りは時間が出来た時に少しずつ手掛ける事にしますが長期戦になりそうです。

一番上の写真と見比べて下さい。
雑木が取り除かれてかなり見通しが良くなりました。
ちょうど下の地図の右の方向から見た景色です。

これで地面にも太陽光が届き下草も生えるようになることでしょう。

撮影:平成24年4月29日




緑色にハッチングをかけた部分が今冬作業を終えた範囲です。

物置小屋周辺も出来るだけ早くキレイにしたいと思いますが、全部を終えるまでにはかなり時間が掛りそうです。