グラストンブリー
Glastonbury




イギリス南西部、かつてのウェセックス王国があったサマーセット州にグラストンブリー修道院跡はあります。

7世紀に、ウェセックス国王によってこの地に修道院が建てられたのが、グラストンブリー修道院の始まりです。その後時代と共に修道院は拡張されて行き、一度は火事で焼失してしまいますが(1184年)、間もなく栄華を取り戻し繁栄を続けます。ドゥームズデイ・ブックが作成された1086年当時、グラストンブリーはイングランドで一番裕福な修道院だと記録されているそうですし、14世紀にはロンドンにあるウェストミンスター寺院に続いて2番目に裕福な修道院にまでなっていたそうです。

16世紀半ば、ヘンリー8世が行った修道院解散のせいで、現在のグラストンブリーは廃墟になってしまっていますが、敷地内のあちこちにそびえ立つかつての修道院の石壁や門や窓のアーチの跡などを見ていると、いかにグラストンブリー修道院が大きかったのか、想像することができます。ヘンリー8世は修道院を解散させたおかげで、グラストンブリーの莫大な財産を没収できて幸せだったかもしれませんが、実際に解体をさせられた人たちにしてみれば、こんな大きな修道院を解体するのは時間と労力がかかって本当に大変だったろうな、と思います。

ほとんど全ての建物が16世紀半ばに破壊されてしまいましたが、修道士たちの台所だけは破壊を免れて、中世時代と変わらぬ姿を私たちに見せてくれます。中に入ってみると、床にはわらが敷き詰められており、テーブルの上には当時の修道士たちが食べていた物やハーブなどが展示されていて、「こういうものを食べて生活していたんだなぁ」と想像することができました。

そういえば、グラストンブリーには騎士の鑑と称えられる伝説のアーサー王が眠っていた、という伝説があります。アーサー王のものと伝えられる骨と髪を納めた棺がグラストンブリーには安置されていたそうなのですが、ヘンリー8世による修道院解体後、棺は行方不明になってしまったのだそうです。現在では、アーサー王が眠っていたといわれている場所に、目印の立て看板が立てられています。でも、アーサー王って実在の王様じゃないのでは…。




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