ペンブルック城
Pembroke


ペンブルック城

ウェールズの南西部、ペンブルックシャーのペンブルックに、大きなお城があります。日本人にはあまり知られていませんが(と思う)、ペンブルック城は実はチューダー朝の初代国王ヘンリー7世(6人の妻を娶ったことで有名なヘンリー8世の父親であり、エリザベス1世の祖父でもある)が生まれたところでもあります。私がこの城を訪れた目的は、この目でその地を見るためでした。何を隠そう、私の卒業論文は彼についてだったのです…。

ゲートハウス

ペンブルック城の起源は、11世紀にさかのぼります。ノルマン人貴族のロジャー・ド・モンゴメリーが、1093年にこの地に木造の城を築いたのが始まりです。その後13世紀に、ウィリアム・マーシャルが石造りの城を築き、その後時代とともに増築され、結果12世紀から17世紀の様式が見られる城となりました。

先にも書いたように、この城はヘンリー7世の出生地でもあります。彼は1457年1月28日に、この城で生まれました。今もこの城には「ヘンリー7世の塔」と言う名の塔があります。本当にこの塔で彼が生まれたのかどうか、真偽は謎らしいのですが、とりあえず「ここであろう」ということでその名が付けられたのだそうです。

彼が生まれた時代は、まさにばら戦争(1455-1487)の真っ最中。その最中に、彼の父親は彼が生まれる3ヶ月前に、幽閉中にかかった疫病が元で死亡してしまいます。まだ13歳と幼かった母親のマーガレット・ボーフォートは、夫の弟でありペンブルック伯でもあったジャスパー・チューダーの保護のもと、この城でヘンリーを出産しました。その後ヘンリーは、玉座につくまでに波乱万丈の人生を歩んで行くことになるのですが、その話はまた別の機会に。

ヘンリー7世の塔

塔内部

ペンブルック城は、市民戦争の時代に(1642-1649)、クロムウェルに率いられた議会軍の手によって破壊され、その後長い間修復されること無く放置されていましたが、1928年に始まった修復運動のおかげで、今日の姿を見ることができるようになりました。城壁と川で防御されたお城の姿は、本当に圧巻です。また、この城独特のものとして、Northern Hallの地下には天然の洞窟があります。川に面したこの洞窟は、当時はボート置き場として使われていたのだそうです。便利ですね。現在では、川の水深はすっかり浅くなってしまい大きな船の航行は無理なのだそうです。

ペンブルック城を訪れるなら、同時に南ウェールズにある城をいくつか巡ることをお勧めします。いったんロンドンからウェールズ南西部のペンブルックまで行き、ロンドンへ戻るルートを途中下車しながら行くと便利です。ペンブルック城は、電車の駅から歩くと大体2キロほど行ったところにあります

キープ


ペンブルック城の一般公開 4/1-9/30まで 9:30am-6:00pm
3月-10月まで 10:00am-5:00pm
11月-2月まで 10:30am-4:30pm
1/1だけ 12:30pm-4:30pm
12/24,25,26のみ 公開無し
(上記いずれも1999年現在)

ペンブルック城の入場料:大人3ポンド、小人&学生2ポンド(1999年現在)

*ペンブルックのインフォメーションセンターは、お城がある丘を下って、徒歩5分ほどの所にある。



イングランド スコットランド ウェールズ