リッチボロー
Richborough



現在でもイギリス中に多くの遺跡を残すローマ人ですが、ローマ人によるイギリス支配は約5万人の兵士たちがイギリスに上陸した紀元後43年から約350年間のことをいいます。その間に、イングランドやウェールズで文化や生活様式に様々な変化をもたらしたローマ人ですが、イングランド南東部にあるケント州は、ドーバー海峡を挟んでガリア地方に最も近い場所にあったため、早くからローマ帝国の影響を受けてきました。
リッチボローの砦は、ローマ人がイギリスに築いた最も古い砦のうちの一つです。ローマ人がイギリスにやってきたのと同じ紀元43年、補給基地兼防衛基地として築かれました。当時はルトピエという名で呼ばれ、ローズマリ・サトクリフの小説「ともしびをかかげて」でも、主人公が所属する騎兵隊の駐屯地としてルトピエが描かれています。85年、それまで木製だった砦は石造りにかえられ、25メートルもの高さのある凱旋門が建てられたのだそうです。この凱旋門の名残は現在でも見られるそうです。3世紀末、凱旋門は取り壊されましたが、砦周辺は8メートルもの高さの防壁に守られ、堀やローマ風の風呂や神殿を備えたローマ人街へと繁栄していたのだそうです。
現在のリッチボローを訪れると、かつての建物の基礎の部分と、四方を囲むぼろぼろに崩れかけた防壁を見ることができます。荒涼とした廃墟の中にいると、活き活きと活動していた町が本当に存在したのか?と思わずにはいられませんでした。リッチボローは、現在ではイングリッシュ・ヘリテッジの管理にあります。




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