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11月1日 (木)
2月下旬、西穂高岳の頂上を踏んで下山途中少し空腹を覚えた。
この日は風が強く地吹雪が舞い、冷えた身体の体温をどんどん奪っていく。
携帯スコップで雪洞を掘り身体を滑り込ませ、甘納豆とチョコレートをかじ
っていた時、地吹雪の中遠くからサクサクと小さな音を耳にした。
この山は熊が出るはずもない、何だろう?と思っている内に何かが駆け寄って来
た。恐怖のあまり振り返る事も出来ない。じっと身をひそめていると突然黒い
鼻先が目の前に!
そして私の顔を舐めて来るではないか!息が止まりそうになる!
何とそれは真っ黒い犬だった。犬はなつっこく私にじゃれついて来た。
こんな冬山に犬がいるなんて思ってもみなかった事だ。
恐怖心は何時の間にか失せ、喜びへと変っていった。
犬と少し戯れた後、歩き始めると犬は先に立ち、テント場まで案内してくれ
た。そしてテント場に着くと犬は去って行った。
遠くに去って行く彼を見ていると山小屋の主人らしき人が手を振っていた。
思わず私も手を大きく振りかえした。ありがとう!
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