みずぼうそう日記 ある水疱瘡患者の2週間の記録

 

水疱瘡といえば、子供の頃だれもが罹る病気・・・のハズですが、風疹・おたふくかぜ・はしか(予防接種)は経験済みなのに、なぜか「水疱瘡」だけ罹ったことがありませんでした。それがこの喜劇(?)を生むことになったのです。

ある日、家族が水疱瘡になりました。家族が罹るとほぼ間違いなく感染するということを知り、2週間の潜伏期間を情報収集にあて、発症に備え身辺整理を始めました。もっとはやく気がつけば予防接種をうつことで約80%は発病を防止できたらしいのですが、お医者さんに相談すると、随分時間がたっており効果がないだろうと言われました。「大人の水疱瘡は重症化することが多く、約半数の人が入院する」とか、「跡が全部消えるまで3ヵ月かかった」などという情報が多い上、私はアトピー性皮膚炎もちなので、肌は弱く、かゆみを感じやすいということが「私が罹ったらどうなっちゃうんだろう???」という不安をつのらせていました。

そして・・・家族の発症からちょうど14日たった頃、ささやかな異変が起きました。ここから日記はスタートします。

○月×日(金)

ここ2日ぐらいなんとなく体がだるい。
「なんといっても早期発見です」とネットに書いてあったことを思い出し、体にぶつぶつはないか調べてみる。が、ただの湿疹か水疱瘡か良く分からない。うむ。それならちょっとお医者さんに診ていただこう!と総合病院の皮膚科へ行く。結果「水疱瘡ではないねぇ」とのこと。念のため抗体がわかる血液検査をした。ただし、結果は一週間後・・・。


夜になったら、さらにだるさが増す。とてもしんどい。普通に歩いているだけなのに体が重い。「重力ってこんなにあったっけ?」と思うくらいめちゃめちゃ重い。熱はない。ただ、おなかに縦に4つ並んで発疹ができていた。家族にみせると「子供の水疱瘡の発疹にそっくり!」ということだったので、ひとまず救急の診療所に行く。

診療所に行き、受付で「もしかすると水疱瘡かもしれない」と話すと別室に案内される。そこでまず看護婦さんにみてもらうと「あら。やっぱり水疱瘡っぽいわね。ちょっと待っててね」とそのまま待たされた。なんだか頭がふらふらする。まるで酔っ払ったようなカンジだ。ふと、隣の部屋を見ると「小児科」の文字・・・。ここには皮膚科の先生はいない。でも、もともとは子供の病気なんだから間違いではない。だけど、なんか複雑な心境。ちょっと笑ってしまった。

診察で詳しく現在の症状を話す。すると、「水疱瘡でしょう。薬は一日分しか出せませんので、土曜日の午前中に診療している専門医へ行って薬をもらってください」とのこと。ついに罹ってしまったか・・・。


家に帰ると熱が37度まであがっていた。まだまだ微熱だが、あわてて薬(ゾビラックス)を飲む。
軽くシャワーを浴びると背中がピリピリと猛烈にかゆい。ハラホロヒレハレなカンジ(?)。とにかくかゆいのだ。

○月×日(土)

早朝、激しい頭痛で目が覚める。
熱は36度5分。さっそく皮膚科に行く。すると・・・

医者「これはどうみても水疱瘡じゃないね」
私 「夜、シャワーを浴びたら背中がピリピリかゆかったんですけど・・・」
医者「水疱瘡はね、かゆくないの。痛いんだよ。これは湿疹だよ」
私 「でも、きのう診療所で水疱瘡っていわれてこのお薬をいただいたんですが・・・」
医者「君が“水疱瘡だ”って言ったからくれただけじゃないの?」
私 「昨日の夜、微熱があったんですけど・・・」
医者「風邪でもひいたんじゃないの?」
私 「とてもだるいんですけど・・・」
医者「季節の変わり目はだるいからね。とにかくこの薬は飲まなくていいです。かゆみ止めをだしますから」

と、こんなわけで、皮膚科ではかゆみ止めの塗り薬と飲み薬を処方される。ふりだしに戻ってしまった。とにかく様子を見るしかないらしい。そういえば、きのうあったはずの発疹が小さくなって消えている。このまま何事もなければいいけれど、妙なだるさだけは今もまだ消えない。


夜。熱が37度7分まであがる。胸・肩・背中・頭皮に発疹がでる。昨日より大きいものもある。「やっぱり熱は38度まで上がらないと病人じゃないよねぇ」と家族に言うと、「救急の診療所に行って来なさい!」と言われる。水疱瘡の発熱だった場合アスピリンを飲んではいけないという情報を見たことがあったので、もし水疱瘡じゃなくても解熱剤をもらえればいいかな、という気持ちで診療所にむかう。熱のせいなんだろうか?なんだか腰が痛くなってきた。

受付で一応「水疱瘡かもしれないので・・・」と声をかけると、また別室で看護婦さんにみてもらうことになった。「子供の水疱瘡はこんなカンジだけど、大人はもっと大きいわよね・・・。待合室で待っていて大丈夫です」と言われる。今度は、内科の部屋の前で待つことになった。具合の悪そうな人が多く、なかなか順番がまわってこない。

診察で今までのいきさつを話す。そして、「水疱瘡のようにもみえますが、小児科の先生に診てもらいましょう」ということになる。しばらく待っていると小児科の先生登場。だるくて腰が痛いこと、熱があること、発疹があること、かゆいこと、家族が約2週間前に水疱瘡に罹っていることをふまえて「水疱瘡の初期の段階です」とのこと。またまた抗ウイルス剤のゾビラックスを2日分処方される。なんとなくホッとした。


深夜。腰が痛くて眠れない。布団の上でジタバタするほど腰が痛い。とにかくじっとしていられないのだ。すると、みるみるうちに熱が38度5分まであがる。冷やさなくちゃ。アイスノンの枕をまず用意。おでこ用のアイスノンは20分もすると生あたたかくなる。こまめに変えて、熱もチェック。そんな状態が4時間位続いた。

○月×日(日)

知らないうちに眠ってしまったらしい。熱は37度まで下がっている。頭痛がある。
発熱すると発疹が増えるという情報を思い出し、体中をチェックする。すると、なぜか手のひらだけに白にきびのようなものが15個位できていた。日中は熱も36度8分となり、また熱が上がった時のことを考えて、よく食べ、よく眠る。夜になると手のひらに出ていたはずの白にきびのようなものは、しぼんで茶色くなっていた。

○月×日(月)

朝、熱は36度2分だった。
土曜日の夜から昨日までのいきさつがあるので、以前に血液検査をした総合病院に行く。すると、全身をくまなくみた後に「どこにも水疱瘡らしいものはないです」とのこと。手のひらの白にきびの件についても「口の中にも出ていないし、違うんじゃないかしら」。さらに、「以前の血液検査で白血球の数が正常値なのでウイルス感染は考えにくいです。今回はお薬は出しません。ゾビラックスはやめてください」・・・これだけ日によって見解が分かれるという事はどういうことなんだろう?もしかしてとんでもない難病に罹ってしまったのでは、という余計な不安まで生まれてしまう。

○月×日(火)

朝、熱は36度。
午後からなんだかだるくなってきた。このだるさは先週感じたものと同じ。また熱がでるのだろうか。頭痛がする。

○月×日(水)

熱は35度8分。
相変わらずちょっとだるい。昨日より良くなってもいないし、悪くなってもいない。

○月×日(木)

熱は36度3分。
まだ、だるい。いいかげん変化がほしくなってくる。明日は総合病院へ行かなければ。一週間前に行った水疱瘡の抗体を調べる血液検査の結果がわかる。何か進展があればいいのだが・・・。

○月×日(金)

熱は36度2分。
総合病院へ血液検査の結果を聞きに行く。やはり、水疱瘡の抗体はなかった。この間の一件が水疱瘡でなければ、私にはいつか感染する可能性がある、ということ。予防接種を受けるべきなんだろうか・・・?「まだ今もだるいんです」とお医者さんに言うと「じゃ、もう一回血液検査してみようか」ということになる。この検査でもし抗体ができていたら、ここ一週間の出来事が「水疱瘡」であったことが証明されるというわけだ。なぜか私はこの時、心の中で「水疱瘡であってほしい」と思っていた。

○月×日(土)

とりあえず、毎朝熱をはかるのをやめる。血液検査の結果がでるまで、水疱瘡のことは考えるのをやめようと思う。
だから、日記もしばらくお休みしたいと思う。

 そして結果は・・・

○月×日(金)

総合病院に行く。いつのまにかあの妙なだるさは消え、私の中で「水疱瘡騒動」はすっかり終わっていた。でも、やっぱり結果は知りたい。

医者「水疱瘡に罹ってたよ。おめでとう。祝杯をあげてください」
私 「!!!」

水疱瘡の抗体はできていた。

というわけで、一連の症状は水疱瘡だったことが判明。それにしても、私の水疱瘡体験は「大人の水疱瘡は重症になる」という常識を覆すほどの軽い症状で、また、早期発見がいかに重要かということの証明になりそうです。な〜んて偉そうなこと書いてしまうけど、きっと特殊な例なんでしょうね。子供並みに軽い症状って何なんでしょう??やっぱり私は体の中まで子供なのかしら。頭だけじゃないのね。きっと。