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グラ
天晴!あっぱれ! 2003.9.15
  日本の景勝地の中でここ以上のものがあるのだろうか。
  と、考えてしまうようなすばらしい景色に出会ってしまった。 日本アルプスの上高地である。
  東京ではまだ残暑が厳しい中、松本から松本電鉄とバスを乗り継いで 標高約1600mの上高地へ。バスを降りた瞬間、 ひんやりと高原の美味しい空気に包まれた。 運良く天気は快晴で木漏れ日がキラキラと眩しい。
Kamikouchi   上高地を象徴する河童橋から穂高連峰を望むと、 その美しい光景に圧倒される。 誇張されているはずだと疑っていた上高地の旅行パンフレットの美しい写真と、 目の前の現実風景が違わぬ鮮やかさを展開していることに感動し、 すっかり上高地に魅せられてしまった。
  梓川の紛れも無い透明な流れと、奥穂高、焼岳の樹木と岩肌の斑模様、 そして突き抜けるように晴れた空。 この3つの美しい要素が視界を占有する贅沢さ・・・。 人を魅了するのに充分すぎる、文句を言わせない完全さをも感じてしまう。
  賛辞ばかりを並べすぎて、本質が伝わっていないかもしれないが、 とにかく天晴!自分自身で体感してもらわなければこの魅力すべてをわかって もらえないと思う。
  上高地のすばらしい眺望のなかに、ひとつ短所を挙げるなら、 人が多いことだ。このすばらしい景色のせいで 観光客の数が多いのだ。やはりこんなすばらしい景色を ほっておくはずは無いってことか・・・。
  「日本三景」もうかうかしてられないのではないだろうか。 私個人としては、上高地が「日本一景」でもいいとさえ思う。


ほんとの空 2003.9.4
       智恵子は東京に空が無いといふ、
       ほんとの空が見たいといふ。
           <中略>
       智恵子は遠くを見ながら言ふ。
       阿多多羅山の山の上に
       毎日出てゐる青い空が
       智恵子のほんとの空だといふ。
            (高村光太郎「あどけない話」より抜粋)

  東京には無い、ほんとの空を見てきた。
  仕事が少し落ち着いたので、長期休暇をとって、福島へ旅にでた。 福島県二本松市に、高村光太郎の妻である智恵子の実家がある。 古本屋で購入した「智恵子抄」の文庫本を片手に 私は列車を乗り継いで二本松へ向かった。
  安達太良山(あだたらやま)の麓に広がる静かな住宅街の中に 智恵子の実家はあった。 古く趣きのある木造家屋で、かつては造り酒屋だったそうだ。 現在は記念館を併設して開放されている。 心地よい夏の風が開放された家屋を過ぎていく中で 智恵子の生涯を偲んでみる・・・ 空を見上げると少し鋭い夏の日差しがまぶしい。 西の方角に目を移すと安達太良山の稜線とともに、 たしかに空がある。あれが「ほんとの空」なのか。
Mt.Adatara   「ほんとの空」をちゃんと確認するために、 私は安達太良山に登ることにした。
  ゴンドラに乗って安達太良山の8合目まで行き、 「ほんとの空」を求めてもう少し登った。 日照不足が深刻だったこの夏だが、 幸運なことにこの日は6月初旬以来の晴れ間だったそうだ。 薬師岳という展望のいい場所に来たとき、 親切にも右の写真にあるように、標が立っていた。 標には、
「この上がほんとの空です 二本松市」
と記されていた。
  しかし、私の頭上に展開する「ほんとの空」に、 「ほんと」らしさをあまり感じなかった。 見慣れた東京の空と同じ透明度、同じ色相・・・。 私は、智恵子が嘆くほどの「ほんと」という言葉の中に 「ほんと」以上の「夢のようなすばらしい」という意味を 期待していたのかもしれない。 たしかに東京の空とは違って、ビルも突き刺さっていないし、 電線も絡まっていない。 遮りや縛りのない解放された「本来の」という意味での 「ほんとの空」なのかもしれない・・・。
  そして、ほんとの空の真下で、改めて私は「智恵子抄」を開き、 「あどけない話」をもう一度読んでみた。


グラ

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