散文
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ナカメグロ
◇
2004.5.15
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3月に引越しをして東急東横線をよく利用するようになった。
渋谷へ行くときに、この東横線を利用する場合、私にはささやかな楽しみがある。
その楽しみとは車内アナウンスである。急行または特急の渋谷行きに乗車した場合、
中目黒駅の直前で流れる、車掌の生放送ではない既に録音されている
女性の声のアナウンスが楽しみなのだ。
中目黒駅に近づくと「中目黒を出ますと次は終点渋谷に停車いたします」
という放送があり、その直後に同じ内容で英語に訳されたものが放送される。
私が楽しみにしているのは、その英語版のアナウンスの中の「ナカメグロ」という単語を
発している女性の声なのだ。
その内容の放送のとき「ナカメグロ」の語尾のアクセントが半上がりの音になる。
その語尾半上がりの「ナカメグロ」がたまらなく可憐な響きなのだ。
他でもなく、前述の「中目黒を出ますと次は終点渋谷に停車いたします」という
内容の英語版の放送のときであって、「次の停車駅は中目黒」という内容のときは
語尾下げになってしまい可憐な響きではないのだ。
語尾下げではなく、また疑問形の語尾上げでもない、
微妙なこの半上がりの音の響きが私を虜にしているのだ。
この半上がりの音、他の駅名でも同じく可憐な響きかと思われるかもしれないが、
それは違ったのだ。
例えば「自由が丘を出ますと次は学芸大学に停車いたします」という内容の英語放送では、
たしかに「ジユウガオカ」の語尾が半上がりになっていたが、
「ナカメグロ」ほど私に訴えかけるものはなかった。
やはり「ナカメグロ」の半上がりの響きが最高に可憐で愛しいのだ。
この可憐な響きが私のどのような感情を刺激しているのか自己分析してみようと
なんども試みたが明確な解答は出てこない。アナウンスしている女性にたいする
性的な感情なのか、それとも私のセンスに適う音楽的なメロディなのか・・・。
まだまだ自分でもなぜこんなに虜になってしまっているのかわからない。
これを読んでくれている読者はきっと、なにワケわかんねぇこと言ってんだ!
と思われているかもしれないが、百聞は一聴に如かず、東横線で実際に聴いてみてほしい。
何人かは共感してくれると信じている。
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