管外視察概要報告 |
■佐久市 まず第1に感じたことは、長野県は県の遣の施策として福祉の充実をあげていますが、佐久市長のあいさつからも「福祉」の考え方の根本が違うことを痛感しました。 少子化対策、人口減少対策については、単に部分的な子育ての支援とか道路、施設の整備だけでなく、いかにいたら市民がより暮らしやすくなるかを基本に「福祉」全般について対策を考え、そのことによって高齢者も安心して暮らせて、全国でも先駆的な子育て支援の取り組みと相まって今どき大都市圏でもない地方都市では考えられない「若者」 を呼び込むことまでできたのだろうとつくづく感じました。 若者が定着すれば子どもが生まれ、子育ての環境が整えば「合計特殊出生率」を意識する必要もないという実感も感じることができました。 そういう意味で、福祉のあり方について一つの方向性を見出せたようで非常に参考になりました。また、子育て支援の109の事業メニューと併せて、地域の子育て、親育ての支援拠点である「児童館」の多機能な活動と運営はもう少し知りたい部分でありました。 ■佐久総合病院 佐久総合病院は昔からゆきぐに大和病院と交流があり、地域医療の先進病院でありますが、従来から研修医を受け入れ、その研修医が佐久総合病院の医療に対する「理念」[実践]に惹かれて、決して大都市周辺に比べれば環境も良いとは言えない地方都市の佐久総合病院に居つくという今尚従来からのスタイルで医師確保ができているという病院の「実力」に感動しました。 このことは今後の医師確保の参考になりますが、決して簡単なことではなく平素の実践を研修生が体験し、その体験を通してこの病院を選んだものであり、私たちも医師確保の手法として見習わなければならないことではあるが、これほど医師にとって魅力ある病院にすることは容易ではないことも現実です。 更にドクターヘリの運行開始などますます先進的な医療に取り組んでいますが、その基本理念は、その昔馬に引かれて回った僻地診療にあるという担当医師の認識は、地域医療に対する意識の高さを感じました。 また、佐久市長は「在宅介護の限界性」から介護施設の充実を強調していましたが、佐久総合病院では在宅医療、在宅福祉の必要性を従来から重点にしています。このことは一見矛盾するようでありますが、それぞれ実態は正に両面の充実が求められているものであり、それぞれ充実した中で各人の状況によって選択できるようにすることが、介護に関する福祉については重要であると痛感しました。 ■茅野市 佐久市同様、茅野市においても福祉の充実を痛感しました。今回の茅野市の視察は子育て支援が重点であり、この部分だけしか見ることができませんでしたが、児童福祉の一面を見ても「福祉」の充実が想像できるほどの考えられた子育ての施策(児童福祉)でありました。 市民提案による「こども・家庭支援」これを基とした「どんぐりプラン」を動かす市民ネットワーク「どんぐりネット茅野」の活動と運営。それを受け入れて少しでも実現しようとするところに「市民・民間主導、行政支援による『パートナーシップのまちづくり』をめざす」茅野市の意欲が感じられました。 茅野駅に隣接するデパートの撤退後のワンフロアを活用した「子供館」の運営は0歳カら3歳児を対象としたほぼ無料の子育て支援ですが、ワンフロアに機能的に遊具等を配置しながら、子ども、保護者が集まって、遊んで、話もできたりすれば、いま少子化ゆえに一番問題になっている子どもの「社会性欠如」もこういう場所では、その時々の社会性が自然に養われるものと思う。更に進む少子化に歯止めをかける対策そのものも必要であるが、併せて今の少子化社会の中での現実問題にも対応しなければならず、そういう中ではもっとも求められる必要な施設であると感じました。 保護者にとっても育児の不安等の相談に乗ってもらえる場であり、お互いの悩みを話し合える場でもあり、そういう面でも有効であると感じました。 これに類似の施設、取り組みは南魚沼市でもやっていますが、基本的な考え方が違うように感じました。したがって、同じような取り組みをしてもその効果に大きな違いが出てくるような気もしました。 |