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袴 岳=はかまだけ(1136メートル)

長野 2005.06.01 単独 マイカー 三等三角点
コース 万坂峠(7.00)−−−袴湿原(7.15)−−−藪をさまよいロス40分−−−袴岳(8.25-8.30)−−−登山口(9.00)−−−袴湿原(9.05)−−−万坂峠(9.20)
新緑のブナ美林がすばしらい

少し事情があって山らしい山へ出かけにくくなっている。
午前中短時間に登れそうな山を探してみた。地図を広げて見ていると、飯山市の二つの山(黒岩山・袴岳)が目に止まった。いずれも登山対象としては無名、ガイドブックやネットなどにも役立つ情報は見当たらない。しかし登ってみると2座ともブナの美林が広がる良い山だった。

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早朝、黒岩山へ登ってから次に予定していた袴岳へ移動。
飯山市内まで戻り、R282、503、97号と走って斑尾高原の万坂峠へ。万坂峠は袴岳と斑尾山の鞍部に位置し、斑尾山への登山口にもなっている。

万坂峠へ車を止めて北へ向かう登山道へ入る。入口には「袴湿原・沼原湿原」の道標があるが、肝心な『袴岳』という表示はない。とりあえず袴湿原ヘ向かって歩きだす。

2万5千図には袴岳への登山道は載っていない。整備されたぱかりの道を15分ほど登るとごく小規模の袴湿原となる。ここから北池へと誘導する道標はあるが袴岳の表示はない。湿原手前の潅木の藪に、獣道かあるいは昔の踏跡とおぼしきものがうかがえる。藪を分けてその踏跡を追って見ることにした。

【註】 正しいコースは袴湿原を木道で横切り、そのまま歩道を5分ほど進むと袴岳への分岐道標が立っている。

最初のうちは何とか踏跡を追うことができたが、次第に痕跡はわかりにくくなってきた。脱色した赤テープがときどき目に入るが、ついにテープも踏跡もまったく分からなくなってしまった。
漕ぐのに苦労する密生藪が広がっている。藪の薄いところを選ぼうとするが、そんなところはほとんどない。平坦に近い緩やかな地形のために、どちらが高みかわからなくなってきた。見とおしもほとんど利かず方向がつかめない。こんなことをしていると帰れなくなってしまうかもしれない。とても山頂へはたどり着けそうもない。結局袴湿原から40分ほどを藪の中をさまよったあげく、登頂は諦めて袴湿原に戻ることにした。藪の中の40分というのは2時間もさまよったほどに感じる。

コンパスといくつか残してきた赤布を頼りに、おおよその見当をつけて藪の中を戻って行く途中、踏跡らしい痕跡が目についた。山頂へ通じているのではないか、そう期待して2、3分登って行くと、何と立派な登山道へつきあたった。いったいどこから来ている道だろうか。とにかくこれで山頂まで登れそうだ。

直登に近い古い登山道とは別に、じぐざぐに切った新しい道が出来ている。それもごく最近工事を終ったばかりだのほやほやの新道だ。(信越トレイルの整備として最近工事をしたようだ)

万坂峠付近はカラマツで始まった樹相が、やがてブナの美林へと変わり、さらに登ると大きなダケカンバが混ざるようになり、素晴らしい落葉樹林が広がる。山は初夏を迎えたばかり、みずみずしい新緑、野鳥の囀り、実に気持ちいい。予期しなかった美林に気持ちは大満足。
そして樹林を抜け出ると袴岳の山頂だった。西側の展望が開けて正面には山襞に雪を残した妙高山が大きく目に飛び込んでくる。これも信越トレイル整備の一環として展望を得るために大きく伐採したようだ。三角点は三等、そして袴岳と記された信越トレイルの道標。山頂一帯もブナの新緑がまぶしい。
妙高の左には黒姫、飯縄、高妻、乙妻、堂津の北信の山々。火打から大毛無山方面はまだ白一色の山並みがつづく。

さて、整備されたこの登山道が万坂峠へのコースだろうか。確信はないが、とにかくこの道を下ることにする。下りきったところに袴岳登山口の道標があり、200メートル先が袴湿原であることを示す表示もある。つまり袴湿原から水平道を進むとこの登山口があるというわけだ。袴湿原はミジバショウが花期の最後を迎え、日陰にはサンカヨウの花、そしてショウジョウバカマの群生などが見られた。

登山道整備により、手軽に登れる山としてこれからは訪れるハイカーも増えることだろう。

『信越トレイル』についてはhttp://www.shinshu-tabi.com/
 
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