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伏見岳=ふしみだけ(1792m)・ピパイロ岳=ぴぱいろだけ(1917m))
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北海道 | 2005.07.04 | 単独 | マイカー | ピパイロ岳 三等三角点 | |||||
コース | 登山口(3.45)−−−3合目(4.15)−−−5合目(4.45)−−−7合目(5.15)−−−伏見岳(5.45-5.55)−−−最初のコル(6.30)−−−ピパイロ岳(8.10-8.35)−−−伏見岳(10.30-10.45)−−−登山口(12.15) | ||||||||
≪ピパイロ岳・・・北海道百名山・日本の山1000≫ ピパイロは今回の北海道山旅のメイン山行。 昨日北見市似頃山へ登ったあとR242を南下、池田町で道東自動車道へ入り芽室ICまでは高速道利用、さらに芽室市街を抜けて中美生へ向かう。4年前に伏見岳へ登ったときに通った道で記憶に残っている。 あのときは伏見岳登山口へ誘導する道標は一切なかったのに、今回は要所に道標が出ていた。 国民宿舎新嵐山荘からさらに5キロほど南へ走り、上美生で道標の指示にしたがって走れば、自然に伏見岳避難小屋のある登山口へと到着する。美生ダム手前で林道に入ってからがけっこう長い。 日曜日とあって車が7、8台止まっている。伏見岳だけの登山者はすでに下山して、残っている車はピパイロ岳の人達と推測される。 降りてきた登山者に様子を聞く。雪渓はあるがアイゼンがなくてもいいらしい。伏見〜ピパイロ間のコースも分かりやすいという。ほとんどの人がほぼ11時間ほどかけているようだ。74歳の単独老人、50才台の単独婦人など、それを見て安心する。若者は一人のみ、この若者だけは8時間で往復していたが「私の時間は参考になりませんから」と言われてしまった。つまり健脚でペースが普通の人より早いという意味である。 前回は雨天という悪条件に伏見岳のみで引き返してしまった。明日の好天を願うのみ。4時に出れば14時には下山出来るだろう。 薄明るくなって目ざめる。霧雨が降っているのにがっかり。とにかくピパイロを目ざしてみることにする。長い行程を考えて水は多めの2リットル持つ。 3時45分、登山届に記帳して伏見岳までの標高差1060メートルの大きな登りに気合を入れて出発。伏見岳までは前回歩いた道、雨の中を2時間5分で登った。今回は30分余分にかけるつもりでペースを少し落とし加減にして足を運ぶ。案じた天気だったが次第に上空は明るさを増し、青空ものぞいてきた。大いに期待できそうだ。この山旅も今日で5日目、足もだいぶ慣れてきて登りの厳しさもあまり感じないし、流れ落ちるような汗もかかない。ダケカンバなどの素晴らしい樹林帯を坦々として登って行く。7合目付近でシラネアオイを目にする。 意外に早く記憶に残る森林限界上の雰囲気になってくると9合目、伏見岳山頂はもうすぐだ。 所要時間は2時間ちょうど、我ながらびっくりするほど快調なペースで登りきった。ほとんど晴れ上がった空の下には残雪の日高山脈が一望できる。何回か日高の山へ登ってようやく手に入れた展望だった。日高は相性が悪い山と決めていたが、今日ばかりは文句ない展望に思わず笑みがこぼれる。目指すピパイロ岳は遥か彼方、尻ごみしたいほど遠くに見える。間にはいくつかのコブも横たわっている。 一服してピパイロへの縦走路にとりかかる。標高差250mの大きな下りは、思っていたよりずっと歩きよいコースに安心感が広がる。足も軽くスムーズに前に出る。ダケカンバがみごとな樹林を形成している。まさにルンルンという気分になってくる。 最初のコル(多分1546mのコル)に降り立つ。何となくこれでピパイロへの吊り尾根の半分ほどは来たような気になるが、これからが遠かった。小さなコブを二つほど過ぎた先が1542mの最低コルの感じだが、コブを越えたりしているうちに、現在地点がわからなくなってきた。 これから370メートルの大きな登り返しが待っている。相変らずつづくダケカンバ林を一歩一歩高度を稼いで行く。背後には形のいい伏見岳の姿が遠くなっていく。
(註・・・最後から二つ目の雪渓は雪堤状になっている。この雪堤は上端まで登りきらずに、その少し手前で右寄りの残雪の縁へ降りて、そのまま縁を進むと夏道にうまく合流する。上端まで登ってしまうと藪の中へ入ってしまう) 森林限界を超えて一気に展望が広がり、登山道沿いにはお花畑が広がる。ピパイロのピークはもう目の前だ。ミヤマシオガマ、イワヒゲ、イワウメ、エゾキンバイ、コケモモ、ハクサンイチゲ、ミヤマダイコンソウ、チシマキンレイカ、ムラトキモメンヅルなどが遠来の登山者を歓迎してくれているようだった。 2度目の挑戦で登頂を果たしたピバイロ岳山頂は大きな岩の重なったピークだった。おおむね標高1300〜1400メートルくらいから下は雲海が埋め尽くしている。見える山々はそれ以上の標高の山々。 展望はすこぶる良好。目の前には懐かしい幌尻岳や三角錐の戸蔦別岳、そこから南へ連なる山脈にはカムエク、ペテガリ、神威岳などの名峰がずらりと蟠居、実に見ごたえのある山岳美の展望だった。振り返れば伏見岳からの長い縦走路が延々と長い。よくぞ歩いてきた。芽室岳・剣山、そしてはるかにうかがえば十勝・大雪や芦別・夕張山地と思われる山影までもが見とおせた。 登山口から4時間25分、快調のペースだった。しばしピパイロの頂きを踏んだ感激と、見飽きぬ展望に見とれてひとときを過ごした。 帰りはさすがにコブをいくつも越える脚に、いくらか疲労を感じるようになり、最後の伏見岳への250mの登り返しはスピードが出ない。まだかまだかの思いで伏見岳に登りつけば、あとはもう登りはない。もう一度ピパイロや日高山脈の大展望を目に焼きつけてから下山の途についた。標高が下がってくると霧の世界へと変りやがて霧雨となった。下界はこんな天気が続いていたようだ。 そう言えば以前ニペソツへ登ったとき、地元の人が「北海道は下は天気が悪くても山の上は好天ということがけっこうある。登って見るのも手ですよ」と教えてくたれことを思い出した。 結局全行程は休憩も含んで8時間半、文句のない快調登山に大満足。 昨日とはうってかわって、今日は私以外の登山者はなかった。 このあと美生の新嵐山荘の温泉へ入ってから、明日予定の楽古岳方面へ向かう。楽古岳近くまで行かずに途中中札内村の道の駅で車中泊とした。 |