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楽古岳=らっこだけ(1472メートル))
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北海道 2005.07.05 登山口で一緒になったSさん同行 マイカー 一等三角点
コース 楽古山荘(5.40)−−−林道終点(6.00)−−−上二股登山口(6.30)−−−楽古岳(8.25-8.35)−−−上二股登山口(10.15)−−−楽古山荘(11.00)
楽古岳一等三角点
≪北海道百名山・一等三角点・日本の山1000≫

中札内村の道の駅で一夜を過ごし、翌未明R236、そして天馬街道と呼ばれる野塚トンネル越えの道を南下、道路脇の目立ちにくい楽古岳登山口の道標から林道へと入って行くと、立派な楽古山荘が建っていてここが登山口となる。

雨が降っている。男性が一人、楽古岳を諦めてこのまま帰るつもりでいたようだが、私が登るというと、連れがあれば心強いと言って同行することになった。
しとしとと雨は降っているが荒れ模様というわけではない。この程度なら何とか登れそうな気がする。身支度をしていっしょに出発する。始めは沢沿いのコースということで男性(Sさん62歳)は渓流シューズにした。
北海道特有の巨大なフキが埋め尽くす林道を20分歩いて登山道となる。なだらかな沢沿いコースを何回も渡渉を繰り返してながら遡上して行く。渡渉地点には赤テープの目印がつけられいる。私はゴム長靴、石の頭を利用しての渡渉には都合がいい。
沢沿いを30分ほど遡ると上二股地点に登山口の表示があり、ここからが本格的な登りとなる。

登りにかかると木々の梢を渡る風が唸りを上げて吠え立てている。上はかなり荒れていそうだ。行けるところまで行こうということにする。Sさんの渓流シューズは雨に濡れた赤土に滑って難儀している。やはり普通の登山靴がよかったようだ。
ダケカンバを主体とする落葉樹林の急登を、風の唸りを気にしながら登って行く。山頂までの標高差は1200メートル近い。たやすい登りではない。雨も相変らず降り止まない。

やがて会話もなくなり、ただ黙々と脚を進める。こんな悪天の中では休憩を取る気にもならない。短い休憩を一度取ったのみ。
突然樹林がほんのわずか途切れた平に出ると、襲いかかるような強風がたたきつけてきた。ここから再び急登となる。これを登りきれば山頂だろう・・・そんな期待で登って行く。風の唸りは止まない。急登が終ったがそこは山頂ではなく稜線状に変っただけ、勾配は緩んだがなおも登りがつづく。樹木の背も低くなって風がまともに当たるようになる。ガスのため見通しがない。山頂はどこだろう、まだ遠いのだろうか。次第に後から引かれる気持ちが強くなってくる。せっかくここまで来たのだ、もうすぐ山頂かもしれない。もう少し、もう少しと足を進める。Sさんは少し遅れてしまったようだ。

烈風の中、この写真を撮るのもひと苦労だった
低潅木帯を抜け出たとたん、烈風がおそいかかってきた。遮るもののない裸の岩稜、天気がよかったらどんなにか素晴らしいところだろうに、今はそれどころではない。濡れた軍手に風が吹きつけて凍えるように冷たい。こんなところに長くいたら指先がきかなくなってくる。断続的に襲う風に立っていることも困難となる。地面に両手をつき、這うようにして進む。ガスの先に見えるのがピークに違いない。あそこまで何とか行きつこう。もし山頂がまだ先だったらそこで引き返そう。そんなことを考えながら登りきったピークが果たして楽古岳一等三角点の山頂だった。
烈風の吹きすさぶ中、凍えた手で写真を撮るのも一苦労、やっとの思いで2枚ほどシャッターを切ったが写っているのかどうかわからない。
烈風にたたかれ、寒さに震えながら数分待つとSさんが登ってきた。がっちりと握手。「もう引き返そうとしたが、山頂で根橋さんが待っていたらと思って・・・」そんな思いでたどりついたようだ。

彼がシャッターを2、3枚切るのを待って急いで下山にかかる。早く風のない樹林帯へ、そして少しでも標高の低いところへと気が急く。そうしないと本当に手がこごえてまいそうだった。
先に静かな樹林帯まで下ってSさんを待った。
下山も渓流シューズのSさんは滑って難渋、下りのスピードが出ない。登りよりいくらか早い程度の時間を要して山荘まで下った。

Sさん曰く、一人だったら絶対に途中で引き返していました。
それにしても厳しい登山だった。それだけにこの楽古岳は価値ある一峰として記憶に残ることだろう。

住所を交換してSさんと別れる。
明日は休養日として、アポイ岳隣の低山「ピンネシリ」に登ることにしている。寝場所とするアポイキャンプ場へ向かい、アポイ山荘でゆっくりと湯に浸かると、よくぞあのような悪条件の中を山頂までガンバった。そんな思いがまたこみ上げてきた。

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