kai-051 山梨百名山一覧表へ 「山岳巡礼」のトップへ戻.る
登頂年月日 1996/12/07 | 天候 晴 | 同行者 単独 | マイカー | |||
山中湖畔平野(5.15)−−−石割山(6.25-7.30)−−−平野(8.00) | ||||||
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富士山の写真を年賀状に使おうと思って、撮りに出かけた。 数多くの山の頂から、季節を変え、時間を変え、繰り返し眺めてきた。変化に乏しい山容は、絵筆にかけるのがことさらに難しいという。反面下手が描いても、それが富士山だとすぐにわかるから、これがまたいいのかもしれない。 地図を眺めながら、朝日が射し込む瞬間をとらえる撮影ポイントを検討。石割山あたりが良さそうだ。山頂までわずか1時間、暗がりの登りも気にするほどの行程ではない。 山中湖畔平野集落から林道へ入って、登山道入口に着いたのは午前4時。6時山頂着となるように、車内で時間調整してから出発した。 急な長い石段を懐中電灯の明かりを頼りに登って行く。3〜400段はあっただろうか、四阿屋のある平地で階段はようやく終わった。 快晴を信じて出てきたのに、先ほどまで見えていた月が雲に翳り、星影も消えてしまったのが気がかりだ。 四阿屋から幅広の道をしばらくたどると、東方の山の端が少しづつ明るくなってきた。山頂到着と日の出のタイミングはうまく行きそうだ。 車道の終点に石割神社があった。薄暗い木立の中に、しめ縄のかかった巨岩があり、これが御神体となっていた。 神社から山道となる。足元は明るくなって懐中電灯も要らなくなった。 背丈以上もある熊笹の下を、背をかがめ、潜るように登って行く。東の空が赤く染まりはじめた。足を速める。予定どおり1時間ちょっとで山頂に達した。 肝心の富士山は、七合目から下を鉢巻状の雲がからんでいた。これでは十分な写真は望めない。重い三脚をかつぎ、気負って登ってきたのに拍子抜けしてしまった。 東の空がますます朱色を濃くし、紅から金色へのグラデイーションが色の芸術を見るように美しい。 三脚を構えて富士山頂に曙光の射す一瞬をとらえる準備をして待つ。 曙光を待つことしばし。富士山頂の東側の突起が赤く染まった。シャッターを切る。光陰はみるみる山の斜面をかけ下り、モノト ーンの姿を彩りの世界へと変化させて行く。 雪をまとった山肌に赤みが増し、やがて待望の赤富士の姿へと変って行った。 眼下、山中湖の湖面も銀色の輝きをみせている。遠く南アルプスの銀嶺も、青空を画して眩しくそびえていた。 1時間ほど撮影を楽しんでから頂上を後にした。 年が明け、3月始めには奈良へ転居する。富士山を眺める機会も少なくなることだろう。 (1996年12月記) |
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2004.11.18 太平山〜石割山はこちら |