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山梨百名山 黒岳(1793m)釈迦ケ岳(1641m)
登頂年月日 1993/11/14 天候 快晴 同行者 単独 マイカー利用
河口湖IC===三ツ峠入口バス停(6.00)−−−旧御坂峠(6.50-7.00)−−−黒岳(7.30-35)−−−林道横断(8.00)−−−府駒山(8.20)−−−釈迦ケ岳(8.40-9.30)−−−府駒山−−−林道横断(10.00)−−−黒岳(10.40-45)−−−旧御坂峠−−−三ツ峠入口バス停(11.50)

釈迦ケ岳山頂
三ツ峠人口バ ス停近くの駐車場へ自動車を止めるころには、夜も明けはじめて真っ青な空が広がっていた。

旧御坂峠への道は、斜度をならすように上手にじぐざぐを切り、手入れも十分で快適に高度を上げて行く。冠雪した富士山が、半逆光に差し込む曙光で、見事な赤富士を見せてくれた。
旧御坂峠までの高度差500メートルを、ワンピッチ50分余で登り切る。すこぶる快調である。
ひといき入れてから黒岳へ向かう。昨日の大雨でしっとりとした落ち葉を、心地よく足に味わいながら、峠から1時間のコー スを、半分の30分で黒岳へ到着。樹木に囲まれて人かげもなく、ただ静かな山頂だった。

ここで御坂山塊の主稜線と別れて、北の支稜の先にある釈迦ケ岳へ向かう。人気の高い御坂主稜と違って、釈迦ケ岳を訪れるハイカ ーは数少ないということだが、思っていたより道はしっかりしていて安心する。ここも落葉樹林で、分厚い落ち葉を踏んでの下りは気持ちいい。
高度差300メートルを下っ た先で林道を横切る。ここまで自動車で入れば、目指す釈迦ケ岳はあっという間だ。

林道からゆるやかに登って行く。少し薮っぽいが、大変気持ちいい雑木の道だ。北側に奥秩父連山から八ヶ岳連峰がかい間見えて来た。林道からの高度差は、わずか200メートルだが、何回も小さな起伏を上下しなければならない。
途中三等三角点府駒山を通過する。さきほどまでガスに巻かれていた釈迦ケ岳は、その霧も晴れて三角錐が姿をあらわした。

府駒山から4回ほど上下して、岩まじりの急登になってくると山頂は近い。岩角をつかんで登り切ると、そこは雑木林を抜けた大パノラマの山頂だった。岩峰の頂は遮るものは何ひとつない。そして上空を見上げても、雲のかけらも見つからない。明け方までの大雨に、大気は思い切り洗い清められて、透明度も最高にGood。
西南側は鋭く切れ落ち、とても1800メートルそこそこの山とは思えない高度感と展望に恵まれていた。ほのぼのと素朴な夫婦石仏が富士山を背にして寄り添うようにたたずんでいる。
中央高速道を東京に向けて走っているとき、槍のように尖った穂先の山が気にかかって仕方がなかった。それが釈迦ケ岳であることを知り、いつか登らなくてはと思っていたが、今日ようやくその願いを叶えることができた。
国師岳、金峰山、瑞牆山、八ヶ岳、蓼科山、遠く北アルプスの槍、穂高。南アルプス連峰は3000メートル峰すべてがその峰頭を競い合い、前衛の鳳凰山、笊ケ岳、布引山・・・。目の前には黒岳を主嶺とする御坂主稜線、その上に秀麗富士山。三ツ峠、大菩産連嶺と 滝子山を含む小金沢連嶺。
見飽きることのない展望がほしいまま、貸し切りの静かな山頂を、一人独占して山座同定の悦に入って一時を楽しんだ。

好天に恵まれたこともあるが、この周辺でこれだけの展望を得られる山は外に多くはないはずだ。
このま ま静かな山として、いつまでもそっとしておきたい、そんな願いを残して山頂をあとに、同じ道を戻った。

(1993年11月記)

2003.12.26 釈迦ケ岳〜神座山山行記はこちらへ


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