- ODA無償資金協力の一環である食糧増産援助(以下2KR)は、十分な現地調査もなく大量の農薬、化学肥料、農業機械を途上国に供与することによって、農薬による環境汚染、化学肥料への依存の助長、不透明な「見返り資金」の存在など、様々な問題を引き起こし、市民団体や国際機関から多くの批判を受けてきました。
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昨年末、外務省は農薬供与の原則中止と2KR予算の削減を決定しましたが、2KRという援助制度そのものは存続させました。私たちは2KRの抜本的な見直しを求め、今年7月に外務省ならびに被援助国(フィリピンほか6ヶ国)の代表者を含めて意見交換会を行いました。
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意見交換会の場で被援助国から「日本のNGOに是非2KRの実施状況を見に来て欲しい」と要望が出されました。私たちは、2KR援助の特性(特定のプロジェクト対象地を持たない)により、実施状況を調査するには被援助国政府(実施機関)の協力が不可欠であると判断し、この申し出に応える形で調査を実施することにしました。
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8月下旬、2KRネットは自費でフィリピンを訪問、フィリピン側実施機関(農業省管轄下の国家農業水産委員会)の案内により3日間のフィールド視察と関係政府機関との協議を行いました。
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フィリピンに対しては2001年度まで毎年10億円にのぼる化学肥料が2KRで供与されています。この化学肥料はフィリピン国内でどのように流通し、誰が買っているのか、本当に「食糧増産」に役だっているのか、化学肥料の売却代金(見返り資金)をフィリピン政府は何に活用しているのか、今回の調査結果をご報告します。皆さんの参加をお待ちしております。
以上
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