2002年9月25日
外務大臣 川口順子様
食糧増産援助を問うネットワーク
私たち「食糧増産援助を問うネットワーク」は、食糧増産援助の廃止を含めた抜本的な見直しを求めて、これまで貴省無償資金協力課との話し合いを行ってきました。
8月21日に発表された外務省改革「行動計画」の中に「現状の食糧増産援助制度については、廃止も念頭に抜本的に見直す。【ただちに検討に着手、本年12月末までに結論】」との内容が盛り込まれたことは、これまでの貴省の方針を大きく転換するものとして評価しております。
この「見直し」を進めるにあたっては、外務省「変える会」最終報告書において
「食糧増産援助(2KR)の被援助国における実態について、NGOなど国民や国際機関から評価を受けて情報を公開するとともに、廃止を前提に見直す」と提言されているように、NGOや国際機関から評価を受け、協議を行うことが不可欠であると考えます。
ついては、「見直し」作業のプロセス及び内容について、以下の通り要請致しま
す。
合わせて、過去の農薬援助が引き起こしたオブソレート農薬問題について、解決へ向けて日本政府が積極的に関与することを要請します。
1.「見直し」作業への市民参加及び情報公開について
- 「見直し」作業は、NGOなどの市民が参加する協議の場を設けて行うこと。
- 上記の協議に必要な、各国への食糧増産援助に関する資料・報告書等はすべて公開すること(外務省所有文書に限らず、国際協力事業団所有の現地調査報告を含む)。
- 上記の協議内容を含め、「見直し」作業の進行状況について外務省ホームページにて情報公開すること。
2.食糧増産援助の廃止と今後の農業協力について
- 食糧増産援助は2002年度をもって廃止し、農薬・化学肥料・大型農業機械の資機材供与に偏重した援助から、相手国の実情を踏まえて技術協力・人材育成等を重視した農業協力への転換を図ること。その際、生産活動に携わる現地農民の主体的活動を側面支援するものを目指すこと。
- 今後の農業協力のあり方については、
- 「途上国」における貧困層を含む小規模農民をターゲットとし、持続可能な農村開発を中心課題としつつ、一定期間を設け調査・研究を進めて検討すること。
- この検討結果を踏まえつつ、国別援助計画の中に当該国・地域に適した農業協力のあり方を織り込んでいくこと。
- 調査・研究費としてODA資金を拠出すること。
- 上記(2)の検討を進める間、必要とされる農業協力の案件については、一般プロジェクト無償資金協力として実施し、事前調査、事後評価、情報公開を徹底して透明性を確保すること。
3.アフリカを中心とするオブソレート農薬問題について
- アフリカのオブソレート農薬問題について、日本の食糧増産援助等で供与した農薬が相当量含まれている事実を踏まえ、国連食糧農業機関(FAO)を中心として計画されているオブソレート農薬処理プロジェクトに共同調査、資金協力等により参画すること。
- 更なるオブソレート農薬の蓄積を防ぐためにも、国際機関等が奨励している
「農薬の使用に依存しない農業の研究や普及」に長期的に資金協力等をしていくこ
と。
以上
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