10月30日要請文に対する外務省回答、及び2KRネットの意見書

外務大臣宛に提出した「食糧増産援助「見直し」を含むODA関連改革作業への市民参加及び情報公開についての要請」に対する回答が、11月6日(前半部分)、15日(後半部分)の2回にわたり外務省無償資金協力課から出されました。
私たちはこの回答が極めて不十分だと考え、11月20日、外務省に意見書を送付しました。

以下、外務省回答と私たちからの意見書です。

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外務省回答(前半部分)
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平成14年11月6日

食糧増産援助を問うネットワーク
共同代表 田坂興亜様
共同代表 今井高樹様
外務省経済協力局 無償資金協力課

「食糧増産援助「見直し」を含むODA関連改革作業への市民参加及び情報公開についての要請」に対し、取り敢えず、「1.」部分につき次の通り回答致します。

1.食糧増産援助「見直し」作業への市民参加及び情報公開について

【要請文】

(1)「見直し」作業は、NGOなどの市民が参加する協議の場を設けて行うこと。
協議の場は、現地調査前、現地調査後、行動計画案策定前にそれぞれ少なくとも1回、できれば数度設けること。

【回答】

既に調査団派遣前に10月15日及び30日の両日、意見交換会の場を設けている。貴ネットワークよりの強い要望もあり、現地調査終了後、帰国報告会を開催する。

【要請文】

(2)その際、上記協議に必要な、各国への食糧増産援助に関する資料・報告書等はすべて公開すること(外務省所有文書に限らず、国際協力事業団所有の現地調査報告を含む)。

【回答】

情報公開法に基づき公表する。

【要請文】

(3)上記の協議内容を含め、「見直し」作業の進行状況について外務省ホームページにて情報公開すること。

【回答】

「見直し」作業は、通常業務の中で行っているものであり、その進捗状況を逐次情報公開することは困難である。

【要請文】

(4)相手国の現地NGO、援助対象地域の農業組合等に対しても、現地語での十分な説明と意見交換の場を持つこと。

【回答】

相手国の現地NGO、援助対象地域の農業組合等とも意見交換を行う予定である。 (但し、現地にNGOなり組合等が存在し、当方との協議に応じてもらえる場合。)

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外務省回答(後半部分)
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平成14年度11月15日

食糧増産援助を問うネットワーク
共同代表 田坂興亜様
共同代表 今井高樹様
外務省経済協力局無償資金協力課
折笠弘維

御回答が遅くなった失礼をお許し下さい。さて、「食糧増産援助「見直し」を含むODA関連改革作業への市民参加及び情報公開についての要請」のうち未回答であった部分に対し、次の通り回答致します。

1.「行動計画」にあるその他のODA関連改革「見直し」作業の進め方について

【要請文】

(1)今後進められるであろう無償資金協力ガイドラインの改訂、「見直し」作業などその他のODA関連の改革、見直し作業も、情報公開や市民・NGOとの協議会の開催など、透明性を確保したプロセスで進めること。

【回答】

外務省は、本年7月に国民参加・透明性確保・効率性向上を柱に「ODA改革・15の具体案」を発表したのに続き、8月には、「変える会」最終報告を受けて外務省改革「行動計画」を発表し、情報公開、透明性確保等のためにできる措置から直ちに実施してきています。その具体例として、(1)ODAタウンミーティングの定期開催、(2)ODAメールマガジンの発刊、等があります。

【要請文】

(2)透明性確保とは事前にすべての情報を公開し、市民・NGOと十分に協議を行いながら進めることであり、その際、「行動計画」に明記された達成目標時期などは、あくまで目標としての二義的なものであると理解すること。

【回答】

貴ネットワークの貴重な意見として承りました。外務省は、ODAの実施に国民の支持と理解は不可欠と認識しており、そのためにODA改革を進め、戦略性、透明性、効率性を高め、幅広い国民参加を得ることを目的とし、ODA改革を進めております。

以上

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外務省回答に対する2KRネットの意見書
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2002年11月20日

外務大臣 川口順子様
食糧増産援助を問うネットワーク
共同代表 田坂興亜  今井高樹

「食糧増産援助「見直し」を含むODA関連改革作業への市民参加及び情報公開についての要請」に対する回答について10月30日に当ネットワークが外務大臣宛に提出した「食糧増産援助「見直し」を含むODA関連改革作業への市民参加及び情報公開についての要請」に対し、貴省無償資金協力課より11月6日及び15日に回答をいただきました。私たちはこの回答を極めて不十分なものだと考えます。

以下、私たちの意見を述べるとともに、貴省には引き続き十分な情報公開と市民・NGOとの協議を要請致します。

1.食糧増産援助「見直し」作業への市民参加及び情報公開について

1-1.市民・NGOとの協議について

現地調査終了後に報告会を開催する旨の回答は評価しておりますが、要請文にある「行動計画策定前」(最終決定前)の開催については返答がありません。現地調査の報告を踏まえ、最終的な検討過程において市民・NGOと協議を行うことが不可欠であると考えます。

1-2.情報公開(関係資料の公開)について

「情報公開法に基づき公表する」との回答ですが、同法に基づく請求では、例えば重要資料のひとつである国際協力事業団(JICA)の2KR現地調査報告書が「JICA所有文書につき不開示」とされた事例もあります。情報公開法の制約にとらわれず、貴省が今回の見直しのために整理・収集する資料は基本的に開示すべきです。

1-3.「見直し」作業進行状況の外務省ホームページでの公開について

「「見直し」作業は、通常業務の中で行っているものであり、その進捗状況を逐次情報公開することは困難」との回答は理解できません。私たちの要請は、通常業務を逐一公開せよという意味ではありません。見直し作業の手順、現地調査(現地NGOとの協議含む)の概要と結果報告、相手国政府との協議に関する現地大使館からの報告、専門家からの意見、NGOとの協議内容等を、作業の節目において公開することが決定過程の透明性を高めると考えます。

2.「行動計画」にあるその他のODA関連改革「見直し」作業の進め方について

2-1.その他のODA関連改革(無償資金協力ガイドライン改訂等)における情報公開、市民・NGOとの協議会の開催について

回答では、市民との協議及び情報公開の具体例として(1)ODAタウンミーティングの定期開催、(2)ODAメールマガジンの発刊、が示されていますが、(1)ODAタウンミーティングは参加者が意見を述べることはできるものの、市民・NGOとの協議の場として機能するものではありません。政策決定にどう反映するかの位置付けもなされていません。具体的な課題(無償ガイドライン改訂、食糧増産援助の見直し等)について市民・NGOとの協議の場を持つべきです。(2)ODAメールマガジンはODA・海外青年協力隊に関わるトピックを編集したものに過ぎず、ODA改革の政策決定に関する情報開示は行われていません。

以上


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