■外務省との意見交換会(10月30日)議事内容

10月30日(火)15時〜17時:外務省仮庁舎別館611会議室にて  (文責:2KRネット)

【参加者】
<外務省>
外務省無償資金協力課 折笠課長補佐、岩切審査官、上田事務官、他2名
JICA無償資金協力部より 2名
2KR調査ミッション検討委員 1名
 
<2KRネット及び賛同者・協力者>
今井高樹(2KRネット共同代表)、相川明子(2KRネット世話人)、
他2KRネットメンバー及び賛同者、協力者11名
福島瑞穂参議院議員

【議事内容】

1)折笠課長補佐挨拶

  • 外務省としては透明性の確保の必要性など真摯に受け止めたい。
  • 出来ることと出来ないことがあるが、意見交換していきたい。

2)参加者自己紹介

3)要請文及び2KR見直しプロセス・作業に関して

2KRネットから外務大臣宛要請文(10月30日付要請文:このHPのトップより御覧いただけます)を読み上げ、回答を文書で依頼。

(2KRネット)

  • 要請内容は新しいことではない。ポイントは情報公開と市民参加。
  • 外務省より既に調査結果を行動計画発表前に公開できない旨通知をもらったが、納得できない。12月の発表内容は外務省としての最終結論とのこと。それでは市民と協議しない、と言っているのと同じ。

(外務省)

  • 外務省として結論発表後なぜその結論に至ったかを発表・公開することはできる。
  • 外務省内部として調査結果やそれに基づいた判断をまとめないまま、公開することはできない。こちらも組織として動いている。理解して欲しい。
  • この点に関しては平行線をたどっている状態。文書で今日頂いたので再度持ち帰らせて頂き、文書で回答する。

(2KRネット)

  • 回答はいつか?

(外務省)

  • 作業のプロセスに関してなど既に口頭でお伝えしているものが多いようなので、そんなに時間はかからないと思われる。1週間という区切りなどを今この場でつけるのは難しいが、早めにと思っている。

(2KRネット)

  • 調査団派遣後では遅い。

(外務省)

  • 了解している。それまでには回答するつもり。

(2KRネット)

  • なぜ12月末という期限を設けているのか?スケジュールよりもプロセスが大事だと思うが?

(外務省)

  • 12月というのは変える会からの提言を受けてのこと。

(2KRネット)

  • 変える会の提言を受けて、外務省として判断した結果であるはず。その判断の説明は?

(外務省)

  • 私たちはその決定には入ってないので知りうる限り調査して回答する。
  • <註:後日、「03年度予算編成上の都合」との回答あり>

(2KRネット)

  • 外務省の最終結論をどのように発表するのか?

(外務省)

  • 未定。時期だけを明言している状態。

(2KRネット)

  • 調査ミッションは6カ国のみに派遣ということだが、その他の国に関しての判断材料は何を用いているのか?度々公開を依頼したJICAの現地調査を行った際の報告書は各個人レベルで廃棄されている、不存、というのが今までのそちらの回答だったが?

(外務省)

  • 平成12年度より政府間協議を開催しており、現地調査をする6ヶ国以外はその協議の場において、ここ1年2KRを取り巻く状況を説明し、各国政府より報告をあげてもらうことになっている。これらの協議会は年度末までには終わり、一通りの報告をもらえる見込み。

(2KRネット)

  • 今回のミッションのお金の出所は?

(外務省)

  • 実施主体はJICA。予算はJICAの基礎研究予算という枠内で行う。外務省無償資金協力課はJICAの依頼を受け、団長を務めることになる。

(2KRネット)

  • 過去の調査及び今回のものも事業名がわからないと公開請求ができないため、こちらに教えてほしい。そちらが判断の材料として参考にするものはこちらでも見ることができるようにしていただきたい。

(外務省)

  • 今回の調査はJICAの基礎研究費を利用しているので、JICAの方で調査の報告をとりまとめたものを作る。

(2KRネット)

  • 8月エチオピアにJICAが調査に行っているはずだが、その調査結果は公開するのか?

(外務省)

  • 情報公開法に則って可能な限り。

(JICA)

  • 報告書はまだ完成していない。公開の時期は未定だが、報告書の中に例えば肥料はどの種が良い・悪いといった調達案件の詳細などが記載される見込みなので、次回の入札・契約終了まで公開は不可。次年度の案件を勘案する事前調査という予算で行っている調査なので。

(2KRネット)

  • 今、廃止を含めた見直しをしている時期に調達案件に関する情報が次回の調達に影響を及ぼすなどと言っている場合ではないのでは?廃止されることを念頭に見直しているわけだから。われわれは別に調達条件は要らないので黒塗りでも良いので出せる部分をどんどん出して頂かなければ。

(JICA)

  • 今後のこのような意見交換のやりとりの中で調査内容を紹介していくことは可能。

(2KRネット)

  • 今回のミッションの位置付けが明確になっていないのでは?今回のミッションは廃止も含めた見直しに関しての判断材料となるわけで、不十分な材料の上で決定されても困るのでなぜそのような決断になったのかが国民に分かるようにして頂きたい、とこちらは言っている。

(外務省)

  • 本日文書で頂いたので、持ち帰って再度検討の上、文書にて回答させてほしい。

4)オブソリート(未使用、期限切れ)農薬処理に向けての動き

(外務省)

  • USAID他のドナーとともにFAOは調査(オブソリート農薬がどこにどの程度の量が散在しているか)の最中。これが第1段階でで、もうそろそろ完了予定。今エチオピア政府がFAOとともに第2段階(処理段階)に向けてドナーを募っている。モザンビークは第1段階を始める段階。日本政府はエチオピアでは第2段階から、モザンビークでは第1段階から参加。エチオピアとモザンビークで様子を見て優先順位をつけて作業を順次進めていく。

5)今回の派遣ミッションに関して

(外務省より以下の資料配布 A4両面)
(オモテ面)
2KRミッションの概要
1.日程(案)
(1)Aグループ(フィリピン→インドネシア→ネパール) 11/7〜24
(2)Bグループ(タンザニア→セネガル→イタリア) 11/16〜12/4
(3)Cグループ(アルメニア→ウズベキスタン→フランス) 11/24〜12/10
※フィリピン、イタリア及びフランスは国際機関等との意見交換のため立ち寄り
>註:フィリピン=アジア開発銀行、イタリア=FAO、フランス=OECDまたはDACと確認>
 
2.調査団員(案)
(1)Aグループ
団長:上田晋(外務省無償資金協力課事務官)
JICA:中村明(無償資金協力部計画課課長代理)
検討委員:蘭(あららぎ)道生(専門分野:肥料)
(2)Bグループ
団長:折笠弘維(外務省無償資金協力課課長補佐)
JICA:高橋亮(無償資金協力部業務第4課副参事)
検討委員:風野光(専門分野:農業)
(3)Cグループ
団長:岩切敏(外務省無償資金協力課審査官)
JICA:深澤公雄(無償資金協力部業務第4課副参事)
検討委員:松本巌(専門分野:農業機械)
※検討委員:ニ木光(専門分野:農業協力) 検討報告取りまとめ協力、技術監修 等。
(裏面)
3.調査項目
(1)調査実施上の主なポイント
(イ)援助効果(含む財政支援等の観点)の確認
(ロ)課題とその原因の確認
(ハ)現状の2KRの改善すべき事項の検討
(2)調査対象
(イ)管轄官庁
(ロ)見返り資金管轄官庁
(ハ)実施機関
(ニ)地方事務所
(ホ)業者
(ヘ)エンドユーザー
(ト)国際機関、ドナー国及びNGO  等
(3)調査事項
(イ)農業政策上の2KRの位置付け確認
(ロ)2KRの財政支援上及び社会経済上の成果及び課題確認
(ハ)2KRの成果(含む品目別)及び課題の確認
(ニ)実施体制、実施状況の課題、原因及び対応状況の確認
(ホ)資機材取り扱い地方事務所、業者における実施体制の確認
(ヘ)エンドユーザーのニーズ確認
(ト)エンドユーザーの資機材購入、使用上等の課題等の確認
(チ)国際機関、現地NGOの考え方、改善等についての提言確認 等
(了)

(資料について外務省より説明)

  • 3グループを派遣するが、例えば肥料グループは肥料だけを見てくる、というわけではない。
  • 途中FAO、ADBなどの国際機関との会談も予定。
  • 調査対象には、役所間同士だけでなく、各ステークホールダーも予定。資料参照。
  • うまくいっているところも中にはあるので、そういったところは廃止を念頭に見直す中から残すためにはどうすれば良いかなども考えたい。
  • 国の選定基準は、長年供与していること、地域的バランス、行程を組み合わせやすいもの。中南米はアジア・アフリカに比べ量的にあまり大きくないし、中近東はシリア・エジプト程度で主に農機。タンザニアとセネガルを選んだ理由は、タンザニアは問題が多く、セネガルは比較的うまくいっていると思われるため、良い国と悪い国ということで選んだ。

(2KRネット)

  • 1カ国1週間という日程のようだが、どの地域のどのユーザーまで対象としているのか?

(外務省)

  • 制度的・技術的側面というように各グループを縦横に分けて時間を有効に使いたいと思っている。ウズベキスタンに関しては対象供与地域はカラカルパクスタン自治共和国とオレズム州の2地域のみ。旧ソ連諸国は訪問できるNGOがない場合も考えられるのでその時にはエンドユーザー、農民、企業などをできる限りまわりたいと思っている。

(2KRネット)

  • コンサルタントを派遣?選定中ということか?

(JICA)

  • まだ契約はしていないが決まりつつある。

(2KRネット)

  • 市民を調査のプロセスから排除する他方で、コンサルタントを入れるという話は理解できない。専門家・コンサルタントなど市民の視点と乖離したメンバーにこれまで任せておいたからこのようになっているのではと感じる。例えば現地NGOなどの方がよっぽど費用対効果も大きいのではないか。

(外務省)

  • コンサルタントは情報収集・処理のみで技術専門家ではない。

(2KRネット)

  • 各国JICA駐在所がこれまで関ってきているのだから一番よく状況を知っているのだろうし、そういった担当者が評価や調査に携わるべきではないか。情報収集・処理の人材が必要というだけでコンサルタントを雇うのは、JICAが自前の人材で現地状況を知りうる状態にない、ということでそれはそれでまた問題なのでは。

(外務省)

  • 調査の中でのすみわけをきちんとする。技術的なものだけをみて判断するのが危険なのは承知。判断の一材料をそろえてもらう手足として考えている。現地事務所は常にこのような調査に人を出せるような人員を抱えているわけではない。

(JICA)

  • 現地側からだとどうしても援助否定は難しいことも予想されるので、こちら主体でやっていく。コンサルタントに依頼する作業は例えば港についてから何日でどこに行ったかといった追跡調査などの作業。

(2KRネット)

  • それは1週間でできる作業でもなければ、今やる作業でもないはず。そのような情報は既に持っていないとおかしいのでは?
  • 各グループに1コンサルタントを日本から連れて行くということか、また同じ会社に委託しているのか、JICAと通常ベースで雇用関係のあるところなのか?

(JICA)

  • 各グループに1コンサルタントを日本から、ということ。公募し、現在契約交渉の段階にあるが、一会社に決まると思う。

(2KRネット)

  • 業者自身が将来の不利益を恐れ、調子の良い材料を調査結果資料として出す可能性もある。特に昨今談合のケースもある。

(外務省)

  • 私たちが評価してもらう立場。私たちが評価をするわけではない。その評価してもらうための報告用に資料が必要でそれを集めてもらう手足がコンサルタント。現地NGOを使って、というような考えはない。意見を聞くことはあっても。全体の報告は団長を務める外務省が行うわけで、コンサルタントに判断・意思決定などはやらせることなど一切ない。

(2KRネット)

  • 各グループの調査日程の事前公開及び訪問予定NGOの公開は?

(外務省)

  • 可能。訪問予定NGOは現在ローマで会う予定のケビン・ヘルプス氏やPAN環太平洋アジアの在マレーシア事務所に推薦してもらえないか打診している。良い訪問先があれば紹介してほしい。

(2KRネット)

  • 外務省の最終結論としてのみ発表され、調査結果を報告できないではなく、是非そのような機会を設けるべき。

(福島議員)

  • 帰国調査報告をざっくばらんにでも良いのでやってもらえないか。

(外務省)

  • 調査後、最終結論前にという提案に対し、文書を持ち帰って検討したい。

(福島議員)

  • 朗報を期待している。

(外務省)

  • こちらも組織で動いている。なので調べた後組織内でコンセンサスを得てから公開というのは、筋どおりだと思っている。ただし、個人レベルでの印象を話して、ということであれば、持ち帰って検討させてほしい。

(2KRネット)

  • 制度上の問題、モニタリングの問題はどのように調査することを考えているのか?

(外務省)

  • 主に3点。1)供与物資が実際に必要とされている・いたものなのか、2)エンドユーザーが当初想定された使途で使っているのか、3)供与物資が販売されているにもかかわらず見返り資金が積みたっていない問題。

(2KRネット)

  • そういった問題を早期に発見できなかったシステムをどうしていくのか?

(外務省)

  • うまく行っている国はある。国によっては国営農場でレンタルでやっていることもあり、積み立てが遅いということもある。

(2KRネット)

  • 積み立てがなされているかどうかだけでなく、社会的影響を見ていかなければならない。アジアでは肥料や農薬などを購入する資金を工面するために農民が借金漬けになっているケースも見られる。

(外務省ミッション検討委員)

  • ザンビアの事例では肥料をローンとして受け取っている。収穫後に返すかどうかというモラルハザードの問題もあれば、逆に返済義務が緩やかな場合苦しい状況にある農民にとっては有利であるとも見ることができる。見積もり資金が積みたってない、といったときのインタープリテーション(解釈)が難しい。

(2KRネット)

  • つまりは、2KRというスキームでなくても良かったということでは?

(外務省)

  • GG(政府対政府)間だとエンドユーザーに届けるグラントは難しい。だからGN(政府対非政府組織)間で、という議論もあるのだろう。その調整ができるならそれも含めて可能性として考えたい。

(2KRネット)

  • エンドユーザーを対象として含めているが、農民の中には、使いたいけど何らかの事情で使えない・使わない、あるいは過去使用していたが今は使っていない、といった者もいると思う。そういったユーザーも含めて調査をしてほしい。

(外務省)

  • ご指摘のとおり。そういったユーザーも含めて見てきたい。

(2KRネット)

  • 今回外務省側の資料にはミッションの目的がない。この目的は、2KR廃止を前提とした見直しであるはずだが、この位置付けが明確になっていない。また、今後2KRネットを含めた次回ミッションの可能性も検討してほしい。

6)確認事項

  • 今回の要請文に対しての文書回答はミッション派遣前。
  • 現地訪問地域及びNGOについては確定次第公開。
  • 調査団が現地で意見交換するNGOに関して、2KRからも現地NGOを外務省に紹介。
  • 調査項目リストを2KRネットが作成、文書で外務省に提出、外務省はこれに配慮する。

以上


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