■外務大臣宛て要請文(02年10月30日)

10月30日の外務省との意見交換会の場において、賛同団体・賛同者名を添えて以下の要請文を提出しました。短期間にも関わらず、賛同を表明していただいた団体、個人の皆さま、ありがとうございました。団体賛同は3団体(債務と貧困を考えるジュビリー九州、日本国際ボランティアセンター、ODA改革ネットワーク)、個人賛同は17名の方からいただきました。

2002年10月30日

外務大臣 川口順子様

食糧増産援助を問うネットワーク

食糧増産援助「見直し」を含むODA関連改革作業への市民参加及び情報公開についての要請

8月21日に発表された外務省改革「行動計画」の中で、食糧増産援助制度は「廃止も念頭に抜本的に見直す」との内容が盛り込まれました。これを受けて、外務省は現地調査を含む見直し作業を早急に進めていると聞き及ぶにあたり、「食糧増産援助を問うネットワーク」は9月25日付けで同作業への市民参加と関連情報の公開を含む「見直し」作業の透明性の確保に関する要請文を提出致しました。その後、10月15日に貴省と同ネットワークを含むNGOの間で、「見直し」作業のプロセスに関する意見交換の場を持ち、貴省に対し改めて同プロセスをできるだけ透明性の高い形で進めて欲しいという要望を伝えさせて頂きました。具体的には、

  1. 11月に実施予定となっている現地調査の前に調査の目的、概要、調査団構成メンバーなどの情報を公開し、市民・NGOの意見を聞く説明会を開催すること。
  2. 調査に当たっては、調査地の現地住民・NGOとの意見交換を行う場を確実に設けること。
  3. 調査後、計画案策定前に調査結果を公開し、市民・NGOとの意見交換会を開催すること。

これに対し、外務省からは前向きに検討するという返答を頂き、10月30日に現地調査前の意見交換会を開催することになりました。しかし、その後外務省から入った連絡によって、意見交換会は行うものの、(1)計画案策定前に調査結果を公開することはできない、(2)調査団に参加する外部有識者の名前は公表できない、(3)30日の意見交換会には外部有識者は参加しない、との外務省の意向が伝えられました。

これに対し、私たち市民・NGOとしては、10月30日の意見交換会が形骸化するだけでなく、このような進め方は食糧増産援助の見直し作業全体が極めて不透明で、説明責任を欠いた形で進められることになると言わざるを得ません。更に、その後に進められるであろう無償資金協力環境ガイドラインの改訂などのODA関連の改革、見直しプロセスに対しても影響し、透明性が十分に確保されない形で進められることを懸念します。

また、このような外務省改革の進め方は、外務省と市民・NGOとの間の信頼関係を損なうことにもなります。食糧増産援助制度の見直しを含むODA改革、外務省改革は、「行動計画」という文書が策定されたことで終わったわけではありません。むしろ、ようやくスタート地点に立ったものであり、実際に具体的に改革が行われて、始めて改革となるものです。外務省「変える会」の最終報告書においても、「食糧増産援助(2KR)の被援助国における実態について、NGOなど国民や国際機関から評価を受けて情報を公開するとともに、廃止を前提に見直す」と提言されているように、見直し作業をNGOや国際機関から評価を受け、市民との協議の下で行うことが不可欠であると考えます。

ついては、食糧増産援助の「見直し」作業のプロセス及び内容について、改めて十分な情報公開と市民・NGOとの協議の下で進められますよう、以下の通り要請致します。

1.食糧増産援助「見直し」作業への市民参加及び情報公開について
  1. 「見直し」作業は、NGOなどの市民が参加する協議の場を設けて行うこと。協議の場は、現地調査前、現地調査後、行動計画案策定前にそれぞれ少なくとも1回、できれば数度設けること。
  2. その際、上記の協議に必要な、各国への食糧増産援助に関する資料・報告書等はすべて公開すること(外務省所有文書に限らず、国際協力事業団所有の現地調査報告を含む)。
  3. 上記の協議内容を含め、「見直し」作業の進行状況について外務省ホームページにて情報公開すること。
  4. 相手国の現地NGO、援助対象地域の農業組合等に対しても、現地語での十分な説明と意見交換の場を持つこと。
2.「行動計画」にあるその他ODA関連改革「見直し」作業の進め方について
  1. 今後進められるであろう無償資金協力ガイドラインの改訂、「見直し」作業などその他のODA関連の改革、見直し作業も、情報公開や市民・NGOとの協議会の開催など、透明性を確保したプロセスで進めること。
  2. 透明性の確保とは事前にすべての情報を公開し、市民・NGOと十分に協議を行いながら進めることであり、その際、「行動計画」に明記された達成目標時期などは、あくまでも目標としての二義的なものであると理解すること。

以上


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