Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル 番外編W

    “かりそめのままで いいから…”C
 

 







  「…い。なあって、ルイっ!」

 聞き覚えのあるボーイソプラノが耳元で威勢よく弾けて、うわっと一気に目が覚めた。何だか身体が窮屈だなと思いつつ、顔を上げると、
「やっと起きた。」
 しようがない奴だぜと、妙に大人ぶった表情をして見せる、いつものおチビさんの稚いお顔がすぐ前にあり。
「おばちゃんが呼んでっぞ?」
 インタフォンからのコールがあったと、だから起こしたと、人の上へ馬乗りになったままにて、薄い胸をえいっと張って見せる。見回せばここは自分の部屋で、ラブチェアよりは横幅が長いソファーに、セーターとGパンというラフな姿で横になってた自分を見つける。確か…。
“…そうだ。こいつが朝から遊びに来てて。”
 正確には、葉柱の母上からのご招待。次男坊のお誕生日にかこつけて、可愛らしいヨウイチ坊やをホームパーティーにお招きした都議夫人であり、
「狡いよな。ルイはメグさんたちと、昨夜お祝いしたんだってな。」
 バイクで峠までのツーリングと洒落込んで、それから。ツンさんがバイトしているクラブを貸し切り、朝まで騒いでいたという。
「平日だってのによ。」
 俺はガッコがたまたま休みだったんだけどもサ。しかも未成年なのに二日酔いとは、まったくもっていいご身分だよなと。今日のパーティーの主役のくせして、気分が優れぬとすぐにもお部屋へ引っ込んでしまったお兄さんへ、相変わらずの生意気を連ねる坊やだったが…そんな小悪魔くんを腹の上へと跨がらせたまま、葉柱の方は方で、

  「……………。」

 何でだか、声も出せないままでいる。起きてからこっち、じっと固まったまんまな彼に気がついて、
 
 
 

ドキドキドキドキ…vv

「? ルイ?」

 

 どした? と。気遣うような伺うような声をかけた坊やのお声に、はっと我に返ったとほぼ同時、小さなお手々がぺちぺちと額を叩いたそのやわらかい感触に、

  「……………ぅ☆」

 何にだか…辛そうに眉をしかめて。坊やを腹に乗っけたままにて身を起こすと、何とか頑張って…自分の上から抱え上げるようにして降りていただき、そのままバタバタと部屋から出てったお兄さん。勢いよく開けられたドアから、今日は寒いからと朝から屋敷の中へ上げられていた、シェルティのキングが入れ替わりに飛び込んで来て、
「きゃはは…vv
 あうんっと まとわりつくふかふかな仔犬へと意識が移ったらしき坊や。可愛いもの同士でじゃれ合っている、無邪気なお声を背中に聞きつつ、

  “どういう夢を見るかな、今日に限って。”

 いやに生々しくも…心地のよかった夢。いつだって自信満々で、傲慢で強情で。恐ろしい筈の化け物や、どんなに地位のある者へ対してでも、それこそ“別け隔てなく”公平に尊大だけれど…実は優しい心根をした。可愛くないのに可愛げのある、微妙に蠱惑的な魅力が一杯な青年と、不思議な逢瀬を果たしていたのは良いのだけれど。目覚めと同時に、その彼と瓜二つな坊やが無邪気にも抱きついて来ていたりすると“困った事態”に成りかねないのが…お兄さんとしては凄っごく辛い今日この頃であるらしい。
(笑)


  ――― はてさて、夢幻の彼方のあの方々は、
       こちらの彼らとは
       どういう縁
(えにし)にて つながっている人たちであるのやら…。






  〜Fine〜  04.12.28.〜05.1.17.


  *ウチで上げております“陰と陽”の論旨は、
   先にテレビ放送が終わった『蒼穹のファフナー』というよりは、
   天才テレビくんの『ジーン・ダイバー』かと。(古すぎて判る人いないって。)

  *またまた九条様に、麗しい挿絵を頂戴致しましたですvv
   初春からこんなに幸福至福でいいのでしょうかvv
   
いつも本当にありがとうございますvv


←BACKTOP***
 

ご感想はこちらへvv**