俺でも乗れる“絶叫マシン”やゴーカートがある遊園地に行くって言ってたけどさ。危ねぇから今日は止そうかなどと、殊勝なことを言って下さる小悪魔さんの、今はまだ子供のそれとして、ぱっちりとした丸みが勝っている金茶の瞳を覗き込み、
「お前さ…。」
何か訊きかけて、だが。そのまま かぶりを振ると、髪を掻き上げ、うんうんと唸り出す葉柱なものだから。
「…ルイ、ホントに大丈夫か?」
斗影の兄ちゃんか、チームの誰かを呼ぼうか? 様子が訝(おか)しいお兄さんへ、これでも心配しているらしい坊やなのだが、葉柱の方はそれどころじゃない。
“…待てよ、待てって。あれっておれの願望か何かなんか?”
今度は前よりかは しっかりと覚えてる“夢”の内容。舞台はいつか見た時と同じく、平安時代くらいの設定で、妖怪だか悪霊だかを退治するという肩書を持つ人々の話のようだったのだが。人ではないらしい“自分”と懇意にしていた術師の青年の、姿や物言い、態度や雰囲気がどう見ても………。
「る〜い?」
すぐ目の前にいて、愛らしくも かっくりと小首を傾げて見せている、この…無邪気な小悪魔と瓜二つではなかったか? あ、いや。年齢設定が随分と上がってはいたが、そんでもこうやってまじまじと眺めたお顔には…同じ人物だと言わんばかり、その目鼻立ちに面影が色濃く重なっていて。年齢が上がって大人びていた分だけ、いやに綺麗だった しかもその上、
“…ななな、なんか。妙な仲になってなかったかっ?!”
それは妖冶な美青年となっていた“蛭魔”とやらと、しっぽりと濡れて揺られて夢心地…なことを、致していたような、気がしたような。
「…どしたんだ? ルイ。」
「うああぁぁああぁぁ………っっ。」
何という願望があったのやらと。その煩悩を消したいとするあまり、いきなり立ち上がると壁に額を打ちつけ始める葉柱ヘッドさんの取り乱した姿に、
“…夏休みの宿題の残りは、
マネージャーのお姉さんか母ちゃんに頼った方が善さそうかも。”
………何を心配している坊やなんだか。(苦笑) 真夏の夜の夢から出た余波は、困った形での余燼をひいて、葉柱のお兄さんを徒に悩ませてしまった悪夢に育ってしまいましたとさvv
〜Fine〜
*問題は、数年後に実現しかねない“煩悩”だってことですかね?(こらこら)
*例によって、挿絵ご協力は 九条やこ様(『九家』さん)でしたvv
ありがとうございますvv
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