Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    スキって なぁに?
 



          




 今年は早々と“から梅雨”じゃあないのかという懸念が取り沙汰され、気がつけば…もうあと何日かで七月に突入しようかというのに、
“そういや降らねぇよな。”
 午前中から暑くなりそうな陽射の濃さへと、恨めしげに空を見上げる視界の上辺には白い縁取り。母がそろそろ帽子をかぶってけと言い出したので、ぐるりと縁のある木綿の白いのを、今年も引っ張り出して頭の上。それのつばが迫り出してて、視野の上を掠めてる。お揃いを意識した訳じゃないのだけれど、たまたま同じお帽子をかぶってる小さなお友達が、おはようというご挨拶より早く、
『暑っついねぇ。』
 困ったねぇと言いたげに、かっくりこと小首を傾げて見せた朝だった。だって今日は、ずっとお外にいなくちゃいけない。お家から持って来ても良いと指示が出た冷たいお茶の入った水筒と、お絵かきセットと画板を提げて。今日は全校単位での写生会が催された小学校であり。上級生たちは校外学習も兼ねてだろう、遠足ばりに電車に乗って、少しばかり遠出をしての本格的な写生会だが、一年二年の低学年生たちは校庭や学校周辺の風景を描くこととなっており。担任の先生に連れられてやって来た近所の児童公園で、適当な木陰を選んで座ったおチビさんたちは、それぞれに画題を選ぶと鉛筆での下書きもそこそこに、色とりどりのクレパスや絵の具を画用紙に載せての屈託ないお絵描きが始まる。アジサイの茂みやツツジの茂み、ゾウさんのお山、動物のお椅子がついたシーソーにブランコ、古タイヤを連ねた芝生の縁取り。逆さU字の車止めが並んでる門のところには、リスさんとウサギさんの像がそれぞれ乗っかった低い門柱があって。遊びに来る子供らがついつい撫でるから、塗料がはげちゃってツルツルで。元の色は足元の土台を見ないと判らないほど。春先は結構みっちりと花がついてた桜の樹が、金網のフェンス沿いに何本も植わってて。今のシーズンは木陰が涼しいのではあるけれど、梢には毛虫もいるからご用心。姉崎センセがさっそく悲鳴を上げてたのが聞こえてね、しょうがねぇなとヒル魔くんが立ってった。お家でもお母さんが“アオムシが、ゴキブリが出た”って飛んで来るんで、捕まえたり退けてあげるの慣れてるんだって。虫さんならね、問答無用で摘まんで退ければ終しまいだけれど、
「…あら可愛いvv
 文教地区内の児童公園ていってもね、循環路線のバスで2つほど先にはもう、JRの駅があるよなところだから。平日の昼間の主役は一般家庭の若いお母さんばっかりじゃあなくってね。例えば、住宅街の中ほどにある、コンビニや郵便局で働いてるお姉さんたちが息抜きしに来る場所でもあるし、駅周辺のお店で働いてる人のワンルームマンションも結構あったりするからね。小さな小さなひよこたちがわさわさ散ってのお絵描き会は、無邪気そうなところが微笑ましくってか、通りすがりのそんなお姉様たちをついつい引き寄せてしまいもするらしい。殊に、
「いやんvv ボク、お名前は?」
「二人とも かーわいいvv
 緑もたわわな桜の木立を背景に、お砂場とゾウさんのお山を大胆なタッチで描いていた、2年もも組のアイドルちみっ子二人の周辺には、お昼を食べにと出て来たらしき、郵便局の制服を着たお姉さんたちと、そのお友達のコンビニのお姉さんとが、間近にしゃがみ込んでまでの構いよう。そういうケースを注意しに回ってる姉崎センセーは、あいにくと別の子をおトイレへ連れてっているため、丁度只今不在であり、
「えと、うと…。」
 先生からはね、自分のお名前を知らない他所の人に言っちゃあいけないって言われてる。まあ、郵便局の制服を来たお姉様がそのまま“人攫い”に変身するケースは、かなり低いとは思うのだけれども。これは良くってこれはダメという“例外”を見極めるための融通は、この年頃の子供にはなかなかに難しく。愛らしくも無邪気な容姿に比例して愛想も良い、小早川さんチのセナくんなんぞは、あんまり警戒することもなく名乗ってしまうタイプであるが。先日、同じように聞かれてつい気安く名乗ってたところを、たまたま見ていた別の組の女の子に告げ口されたもんだから。只今現在のセナ坊やとしては“センセに叱られるから”という方向での警戒心も強くなるというところ。片やの、金髪金眸の愛らしき坊やの方はといえば。帽子の下からはみ出しているのがちょろりと覗く金色の髪が覆う、それはそれは細いうなじや、賢そうなおでこを包む抜けるような白磁の肌に、うっすらとかいた汗を光らせつつ、表面上は大人しそうなお顔でいるものの、

  “…うざってぇのな。”

 何と申しましょうか…すっぱりと一刀両断ですのね、あなた。
(苦笑) まあね、彼らは“お絵かき”という授業で此処に来ているのであって、何の義理も縁(ゆかり)もない、見知らぬお姉さんたちの玩具にされる筋合いはない。しかも、真正面に集(たか)られているため、描いている対象さえ視野から遮られてしまっていて、はっきり言って邪魔なのだ。だが、
“こういう手合いは被害者意識も強いからなぁ。”
 自分たちが断然悪いのに、非難されれば一転して“生意気な”とか“憎らしい子ね”などと、手のひら返してキッツイ勝手を言うのもこういうタイプの方々なので。ストレートな反抗での撃退は少々危険。承知の上の自分はいいが、無垢なセナにはまだ知らなくても良い“要らぬ毒”かも知れないし。
“しゃあねぇか。”
 絵の具を洗う振りをして、そぉっと伸ばした…何もついてない長い目の絵筆。その先には“とあるもの”がくっついており、
「…あ、お姉ちゃん。足に何か、くっついてるよ?」
「え? …きゃあっっ!」
 気の早いサンダルばきのせいで露になってる部分の多かった足元の、足首あたり。毛糸の切れっ端くらいの細い胴を波打たせ、小さな小さな毛虫が勝手にお邪魔しており。懐かれたお姉さんは素晴らしいまでの反射を見せると、跳び撥ねるように立ち上がったものの。少々振り回したくらいでは、肌色ストッキングについた虫さん、なかなか離れてくれない模様。
「やだぁ〜、取ってよう。」
「え〜〜? やーよ。」
「あたしも怖いもの。」
 お友達のお姉さんたちもどうしたものかと手をこまねいているのへ、
「ボクが取ってあげるから。」
 屈託なくも言い出したヨウイチくん。手際よく画板をお膝から退けて立ち上がり、ひょいと素早く屈んで小さなお手々で取ってあげれば、
「あ、ありがとー。」
 ホッとはしたらしかったものの、またぞろ たかられても困りもの。強ばったお顔になって“じゃあね”とばかり、そそくさと離れてゆくお姉様たちへ、こちらもとびっきりの笑顔で“またね〜vv”と手を振る、金髪頭の坊やであり。彼女らの姿がきっちり消えると、
「…やれやれだぜ。」
 一端
(いっぱし)の物言いと共に判り易くも深々と溜息をつき、元の場所へと戻って来る。お姉さんへと登らせた虫は、実は…さっきセナくんのレッスンバッグについてたのを妖一坊やが捕まえて、自分が座っていた側の芝生へ逃がしてやったばかりだった子であり。今また“ご苦労さん”と茂みの上へ逃がしてやって、さて。

  「…ヒユ魔くん、すごいねー。」

 一部始終を見ていたセナくんが、いたく感服というお声を出した。自分もまた困っていたのは事実だけれど、邪魔ですとか どっか行って下さいとはさすがに言い出せずにいたの。そんな自分とは違い、気が短くってお口も達者で、大人にだって遠慮はしない。姉崎センセーとだって、あの葉柱のお兄さんとだって、堂々と口喧嘩しちゃうよなヒユ魔くんは果たしてどう出るのかなと、この一幕へ実は秘かにドキドキしていた彼であったらしい。そんなお褒めのお言葉へ、ふんと短くお鼻を鳴らしただけな妖一くんだったが、
「…でもね。」
「んん?」
 何か言いかけたセナへ、なめらかな視線を向けてやると、あんまり馴れ馴れし過ぎて叱られるとでも思ったか、お口が止まった…実は怖がりな子。おいおいと、薄い肩から力を抜いて見せると、怒んないからと眸を瞬かせて先を促す。上目遣いに“怒ってない?”と伺うマシュマロ坊やへ、うんうんと頷いてやれば、

  「あのね、ヒユ魔くんて知らない人へほど愛想がいいんだなって。」
  「??? そうか?」

 だって今もそうだったもん。にこぉって、サクラバさんみたいにクッキリきれいに笑ってたけどホントは、追い払いたいほど めーわくな人たちだったのでしょ? 鋭いご指摘へ、
「ああ、まあな。」
 それはそうだがと頷けば、
「でもでも、葉柱のお兄さんが来ると必ず喧嘩腰になってるの、なんか変。」
「…変って何だよ。」
「だって。大〜い好きなお兄さんなんでしょう?」
 こないだもムオさんがまた来て、葉柱のお兄さんてアメフトの大会で負けたんだってなって“や〜い”って囃し立てるように言ったらば。ヒユ魔くん凄んごい怒って、いきない“たるたる玉”ってゆうの、お顔になすりつけてたじゃない。
「…タール弾
(だま)だ。」
 小さな小さな、ご飯粒くらいの大きさの、膜の薄いソフトカプセルに濃度を押さえたコールタール状の真っ黒な染料を入れたもの。下手に乾いた手で触ればたちまちカプセルが破れて中身がはみ出す。これがまた、目や粘膜への毒性や刺激はないものの、洗ってもなかなか落ちず、拭えば拭うほど汚れの範囲を広げるばっかりの“曲者
(くせもの)”であり。これは堪らんと、やっぱりあっさり退散した懲りないいじめっ子だったらしくって。そういう手の込んだ報復を即座に繰り出すほどに、お兄さんへの悪口一つで心底腹を立てた坊やだったというのは、成程 明白でもあって。
「そんなほど大好きで大切なお兄さんなのに、どうして葉柱さんへは良い子のお顔をいつもしてないの?」
 セナなんか、進さんといる時はね? いつも“ほややんvv”てなって、お顔も勝手に蕩けちゃうのに。それとか、
「時々、お母さんにメッて叱られたまんまの、お口ギュッてしたお顔でいるとね? どうしたの?って進さんが心配するからね。いつだって“ニコニコvv”って笑ってなきゃって思うのに。」
 大好きな人にこそ、いいお顔を見せてあげるもんじゃないの? 良い子でいて、褒めてもらいたいもんじゃないの? なのに、葉柱のお兄さんが来てくれると、いつだって怒ったみたいに喧嘩腰でばっかいるヒユ魔くんって変。それは素朴に疑問を感じて、そうと言いたいセナ坊やであるらしく。

  「〜〜〜〜〜。」

 む〜〜〜っとお顔を尖らせかかったヨウイチくんだったのだけれども、ここで反射的に怒って見せれば、図星を指されたと認めるようなものかもしれない。そんな風に冷静になって割り切るような思考がすぐさま立ち上がるところがやっぱり、子供離れした坊やであって。
「…良いんだよ、俺らはそんなで。だって対等なんだからよ。」
「たいとー?」
 ひょこりと小首を傾げたセナくんへ、
「同んなじ格だってことだ。こっちだけがルイから構ってもらってばかりいる訳じゃあない。こっちからだって、宿題を手伝ったり練習の見張りをしたり、データ整理してやったり、きっちり働いてやってんだ。」
 あれれぇ? それとこれとは理屈が別じゃあありませんかと、見回りで通りかかりかけていた姉崎センセー、坊やの言い分へ苦笑混じりなお顔になった。セナくんが訊いたのは、好きな人へこそ何で可愛げのないお顔をするのか?であって、なのに妖一くんは、お兄さんとは言えども格は対等だからね、下手
(したで)に出るとか媚びるとか、するこたないって言いたげな言い回し。
“論旨が違うって判ってての誤魔化しなのかしら?”
 図星を指されてムッと来て、照れ隠しや腹立ち紛れに叩くような短慮はせず、相手を見極めてる辺りは褒めてあげても良いのだけれど。相変わらず大人のような一丁前の言いようをしつつも、どこか焦ってのことだろか、ミステイクをした小さな坊やへ、姉崎センセー、困ったように苦笑が零れてしょうがなかったそうですよ?






            ◇



 午前までの授業が済んでの放課後になれば、毎度お馴染み、賊徒学園高等部のアメフト部の部室にお邪魔する。小学生低学年の自分が“午前まで授業”なのは不思議でもないことだったが、バイクでお迎えに来た総長さんもそのまま部室に腰を落ち着けたのへ、ああそっかと思い当たったのが、
「そいやそろそろ、ルイんトコも期末試験なんだ。」
「まあな。」
 それで自習が多いのか、はたまた全校単位で短縮授業に入っているのか。余裕で、教室じゃないお部屋に腰を据えてる彼であるらしく。今日はさすがにあの詰襟の白い長ランじゃあなく、緑が基調のTシャツの上へ白い木綿のオーバーシャツを羽織ってる総長さん。お行儀悪くも…長い脚にて机を二つ向かい合わせにくっつけると、その上へとお昼ご飯の入ったコンビニの袋を乗っける。お勉強分野のことを訊かれても、さして逼迫した様子じゃあないのは、不良の代表、族の頭目
(ヘッド)なんぞを張ってる割に、これでも成績はいい方な彼だからで。さすがに“首席”とまでは行かないが、それでも“学年十傑”に入ったり入らなかったりという辺りの上位の常連なのだとか。
『普通のガッコだったら、中堅かその下くらいかも知んないがな。』
 暗に、賊学の学力レベルそのものが低いんだろうと、謙遜して言いたいらしかったが。そんなことはないというのくらいは、会話のテンポや省略された部分をきちんと浚った上での素早い応対、案外と色々なことを知っている間口の広い知識量などなどから容易に察せられ。
“…ってか。”
 そういうのを、小学生の坊やが断じているのも、考えてみれば何だか妙な話ではあるけれどと、ご本人がついつい苦笑する。でもまあ、自分の繰り出す…時々意地悪だったり引っ掛けが含まれてたりする会話に、丁々発止、きっちり追従してくる人物なんてのは、大人ならともかく“学生”というこの世代にはまずは居ないので。馬鹿とは本音で喋らないことにしているヨウイチ坊やとしては、間近にこんなワクワクする存在があるのは凄っごく嬉しいというのが正直なところ。
「なあなあ、今年も“合宿”張るんだろ?」
 今日のお昼はコンビニの夏メニュー、冷やし中華とサラダのセット。お兄さんはそこへサンドイッチもプラスという品揃えであり、冷たいうちに早く飲みたいと差し出された緑茶のペットボトルの蓋を大きな手でパキリと開けてやりつつ、
「まあな。」
 さらりと応じた、総長さんで主将の葉柱。期末テストと来れば、それが終わればいよいよの夏休みだからね。試験なんてまさに他人事なのでと、早々とそっちへ話を振った坊やへ、やはりなめらかに応対し、
「でもま、補習が七月いっぱいありそうだから、合宿は今年も八月に入ってからになりそうだ。」
「…引っ掛かりそうな奴が出るって見越してんのか?」
 試験はまだ始まってないのによと省略して訊いたのへ、苦笑混じりにひょいと肩をすくめたのが答えであるらしく。だが、そういう部員たちを馬鹿にしている訳じゃあないところもまた ありありとしており、そこんところは坊やにも通じていたりする。一見しただけだと乱暴者の集まりにも見えるけど、懐いてみれば気のいいお兄さんばっかりで。坊やにとっても大好きな“お友達”の皆さんだからねvv
(おいおい)
「だから、七月中は結構夏休みらしいお遊びも出来そうだぞ?」
 プールや遊園地にも連れてってやれるし、木更津や湘南の方へのツーリングってのも出来そうだと話を振れば、
「そんなこと言っても、俺、留守番はしねぇからな。」
 むむうと膨れる坊やもまた、ある意味“先回り”な物言いをし、
「メンバーの中には外の大学とか専門学校行く奴もいるんだろから、今年の秋大会が正念場なのは分かってるけど。」
 俺も合宿、ついてくんだからなと、ムキになって頬っぺを膨らませた。昨年は一応…自分は子供だから、そこまでは誘ってもらえないかもなんて心配してたのにね。あのしおらしさが嘘のような、くっきりはっきりした自己主張でありまして。
「判ってるって。」
 息をつくよに苦笑をした総長さんの、少し細められた目許の柔らかさが、あのね?

  “……………。////////

 この頃、大好きな坊やだったりし。ドッキvvとお胸が高鳴ったのを意識しつつも、
“…変だよな。”
 どう見たってサ、見惚れるほどの綺麗さんじゃあないのにね。ワックスで整えた真っ黒な直毛の、少ぉし長いめの髪を乗っけた精悍な顔立ちは。日本人には珍しい三白眼の吊り上がった眸が怖いくらいだってのに。最近は坊やに向かっても、その目許をやさしく細めてよく笑ってくれるもんだから。妙に…憎まれを言う出端を挫かれてるような。喧々囂々、打てば響くというノリでの言い合いに持ってけない。こっぴどく叱られた訳でもないのにね。むしろ、いい子だなって好かれてこその笑顔なんだろうにな。口が回らなくなんのは何でだろう。
「どした?」
「う〜〜〜、何んでもねえっ!////////
 照れ隠しの大きな声で誤魔化すと、相変わらずのバッテン握りな割り箸で、まだ冷えてる中華めんを手繰り上げる。あ〜あ、またやっちまったよ。ついつい可愛げなくも大声出した。でも、そのくらいで嫌われるような間柄じゃないんだもんよ。ほら、今も。このやろーって顔で目許を眇めたルイだったけど、
「…あーあー、シャツに汁が飛ぶぞ。」
 そこらにあったタオルを取ると、向かい合う坊やのシャツの襟元へ端っこを突っ込んで、簡易のエプロンにしてくれる。もぐむぐと口を動かすのに忙しい坊やの、目線での“サンキュ”へ、
「どういたしまして。」
 やっぱり笑って、お道化たように応じてくれる。
“…そうなんだよな。”
 対等だから、態度を作らない。あくまでもそういうスタンスでいるから、あからさまに甘えての猫撫で声とかお愛想の笑顔とか、意識して向けないだけ。本音の素の顔を向けてるだけのことであり、この坊やにはそうすることの方がいっそ希少なのにね。でもでも、それって…可愛げなくも喧嘩売ってばっかに見えてるのかな? もともとの素がこういうひねくれ者なんだもん、しょうがないじゃんか。そうとしか言い返せない坊やなんだけれど、

  “………それって、ルイ自身へも不愉快なことかなぁ?”

 そりゃあなあ。かわいくて素直な子供の方が、自分だっていいなって思う。ちょっぴり頼りなくって甘えただけれど、これって決めたものへは一生懸命頑張るセナへは、気が短くて乱暴者な自分でも、ついつい構ってやりたくなるしさ。
“生意気でつれないのが好きなのって、変わり者の阿含くらいのもんだろしなぁ…。”
 こらこら。
(苦笑)
「…どした?」
 ふっとテンションが下がったこと、気がついて声をかけてくれた総長さんへ、なんでもないとかぶりを振って。ごはんが美味し〜って笑えば、にやって笑い返してくれるお顔が…あのね? やっぱり好きだなぁって、しみじみと思ってしまう。もしかしなくとも着実に、恋の深みにはまりつつある坊やなのかも知れなくて。

  “う〜んう〜ん。////////

 夏直前の凪の中、ちょっぴり擽ったい何かが小さなお胸へも芽を出して。おマセな坊やもついついと、これまで勢いで突っ走って来てたあれこれが育んだもの、意識し始めた模様です。まま、この際だから大いに我が身を省みても良いのかも。







TOPNEXT→***


  *先週は、本館へのUPをしてからこっち、
   無茶苦茶ナチュラルにサボっておりました。
   だって暑っついんだも〜ん♪
   ………音符飛ばす剽軽ささえ沸かないくらい、
   昨日なんか物凄く暑くなかったですか? 最高気温は37度以上?
   家事を片付けてから、さてとワープロに向かっても、
   出るのは汗ばかりで何にも頭の中で形を取ってくれません。
   今年の夏こそは、
   エアコンをぎりぎりまで我慢してみようなんて思っていたのですが、
   早くも挫折しそうです。