8.アドニスたちの庭にて ?   04.7.17.



先にも紹介しましたが、白騎士学園高等部の夏の制服は、白い半袖開襟シャツに濃紺のズボン。
シャツの片袖にだけ、学園のエンブレムワッペンが縫い付けられている…というデザインで。
合服のあの濃紺の詰襟からいきなり軽快ないでたちへと様変わりする。


「…ちょ、ちょっと妖一っ!」
「何だよ、いきなり掴みかかりやがってよっ。」
「いいからっ。シャツの裾、出しっ放しにしてんじゃないのっ!」
「ちょっと待てってっ! やめんかっ!」
「う?るさいの。………ほら、こうしてなきゃ。みっともないったら。」
「細かい奴だよな、詰まんねぇことへ。」
「詰まんないことじゃないよっ。い?い? 衣服の乱れは気持ちの乱れって言うんだってよ?
 なぁ、進。高見も、セナくんも、そう思うだろ?」
「………。(こくりと頷く。)」
「それは…そうなんですけれどもね。」
「あやや、えと。はいっ!(…自分の制服を確かめたらしい。)」
「んだよ。だっせー着方させやがってよ。」
「普段着じゃないんだからさ。それに、短い間なんだから、我慢しなっての。」
「合服や冬場なんかは何も言わなかったじゃねぇかよ。」
「あれは…暑いとか何とか、そうしてる理由が判るから…。」
「これだって暑い。」
「あっダメだって。こらっ、妖一ってば!」
「だ???っ、うっせぇ。俺、もう帰るかんな。」
「待ちなってば!」


「あ、えっと…。」
「帰ってしまいましたね、二人して。」
「………。」
「そですね、進さん。夏のインターハイへの参加クラブの連絡網、決めなくても良いんでしょうか?」
「まあ…実質的には、決済いただいたのを、
 必要な数プリントして、参加のしおりに挟むだけのことだったんですが。」
「どうしましょうか、高見さん?」
「そうですね、一応プリントまでを進めておきましょうか。
 執行部の方で何度も読み合わせしてありますから、まずは見落としもないと思いますし。」
「はいっvv」
「これをプリントアウトしますから、2ページ分ずつにして、中綴じ折りしてください。」
「判りましたっ。」
「進はそれをこっちのしおりに挟んでいってくださいね。まだステプラーで留めてないですから気をつけて。」
「…。(頷く)」
「それにしても。桜庭さん、会長さんだから気になったんでしょうか?」
「蛭魔くんの制服の着くずしですか? どうですかねぇ。」
「???」



         ◇◇◇



「…ったく。なんでまた、こんなことへ細かく言うかな。」
「だって…。」
「だせぇんだよ、こんなしっかりズボンに入れてんのなんてよ。」
「う???、他の不良はどうでもいいのっ! 妖一はダメって言ってるのっ!」
「はぁあ?」
「だってサ…。(風にあおらせては、お腹とか脇腹とか見せびらかしててさ。)」
「???」
「う???、とにかくダメったらダメなのっ!!!」
「わ、判ったって。怒るな。…ほら、そこのサ店で冷たいもんでも飲んでこう。」
「うんvv」


  ――――― アドニスって、ホント、小ネタには困らんなぁ。(笑)



  *あくまでも“しゃれ劇場”ですので、ご理解下さいませ。




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