9.Little Angel・Pretty devil 篇   04.11.10.


「ル?イ、何してんだ?」
「おう。ちょっとバイクのチューニングをな。………って、どうした、いきなり固まってよ。」
「ルイ、それ。」
「ん? …ああ、メガネな。」
「目、悪くなったんか?」
「いんや。度は入ってねぇよ。」
「? じゃあ、なんで?」
「さっきスプレーオイル使ったんでな。これは作業用のゴーグル代わりにかけてるだけだ。」

もう掛けてる意味ねぇよなと、大きな手でヒョイッとつるを摘まんで外そうとしかかると。
金髪の小さな坊や、慌てたように“ぱたぱた…っ”と駆けて来て、

「ダメだっ。」
「あ?」
「外したらダメだっ。」
「何でだよ。」
「何ででもだっ! ///////」

妙に力いっぱい、ダメっと強調する坊やなので。
意味は分からないまま、それでも勢いについ負けて。
鼻梁の上でずらしかかっていたメガネを元の位置へと押し込むように戻した葉柱ではあったけれど。

「何だよ。グラサン掛けた時はイヤがっとらんかったか?」
「あれは柄が悪かったのと、デザインの趣味が悪かったからだ。」
「………。」

口が減らないのは相変わらず。
でもね、そんな憎まれを言いつつも、今の坊やは様子がどこか妙な感じ。
目尻の吊り上がってる金茶の瞳も、そりゃあよく動く口許も。
普段だったら隙なくピリリと、まるでトンガラシみたいに尖んがってるものが、今は。
ガラス玉みたいな瞳は真ん丸く見開かれているし、瑞々しい緋色の唇は柔らかく開いてあどけない。
明らかに何かに見とれて、見惚れて。
ほてほてと夢見心地のような足取りで近づいてくると、
そのまま小さなお手々で葉柱のお兄さんの着ているトレーナーに掴まって。
背伸びをするよにして見上げる先には…お兄さんのお顔。
うつむいてるヒマワリを下から懸命に見上げてる、
小さな仔猫みたいな様子があんまり稚くって…愛らしかったものだから。
一体どうしたとさえ訊けないまんま、ちょっとの間の睨めっこ。

「気に入ったのか? メガネ。」
「…ん?と、うんvv」

素直にこっくり頷いて、

「だってさ、凄げぇ頭良さそうに見えるじゃん。」
「…っ☆」

すっぱっと言われて…何だそりゃと、マジで萎えてコケかかった葉柱であり、

「“良さそう”ってのは何だ、“良さそう”ってのは。」
「だってホントは、ルイっておバカじゃんか。」
「言ってくれるじゃねぇかよ。」

こんな小さな子供を相手に、すぐさまムキになってるところからして、レベルは同じだと思うのですが。(苦笑)

“…そうか。こいつ、もしかしてインテリに弱いのかも。”

こらこら、そこ。何を心にメモっているのかな?(笑)
ちょっとしたアイテムでもこんな風にごちゃごちゃしちゃう、相変わらずの方々みたいです。


  *あくまでも“しゃれ劇場”ですので、ご理解下さいませ。




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