アランデル城
Arundel


アランデル城

イングランド南部、ウェストサセックス州にあるアランデル城です。アラン川を見下ろす高台のこの地にはサクソン人の砦が築かれていたそうですが、現在の城の基礎となったノルマン式モット・アンド・ベイリーの城は、ノルマン・コンクウェストから間もない1068年、ウィリアム1世の腹心の部下の一人であったロジャー・ド・モンゴメリーによって建設が始まりました。モットをはさんで南北に二つのベイリーを持ち、モットの上に現存する円形のシェル・キープは1138年に作られたものなのだそうです。

アランデル伯やノーフォーク公の居城として何世紀もの間使用されてきたアランデル城は、現在でもノーフォーク公家が所有しており、ノーフォーク公が在城の際にはシェル・キープにある塔に旗が掲揚されるそうです。ノーフォーク家といえば、イングランド史上王族以外で公爵位を賜った最初の一族として有名です。1483年、時のイングランド王リチャード3世によってハワード家当主ジョン・ハワードは公爵位を与えられたわけですが、リチャード3世といえば私が大好きなヘンリー7世のライバル…。しかも、自分の甥である幼王エドワード5世を廃して王位を簒奪したりして人気が急降下していたリチャード3世が、数少ない支援者を引き止めようとして行った政策の一つがこのノーフォーク公爵位の封爵なんですよねぇ…。しかも、かなり不評だったとか…。でも、リチャード3世とヘンリー・チューダー(後のヘンリー7世)との間で戦われたボズワースの戦いの際には、リチャード3世の陣営には相手方に鞍替えする者が数多く出たにもかかわらずノーフォーク公はリチャード3世側に留まり戦死しています。忠義には厚い人物だったのかも…。

アランデル城2

ところで、ここまで長々と書いてきた私ですが、アランデル城の内部に入ることは叶っていません…。実は、ロンドンからはるばる車に乗ってアランデルの町までやってきたのですが、なんと!その日はお城で結婚式が執り行われるとかで、お城に入ることはできませんでした。夏の間の週末は、一般の人たちでもお城の内部にある教会で結婚式をすることができるのだそうです。せっかく遠路はるばるやってきたのに〜と泣きそうになっている私の耳に、教会の鐘の音が響いたのでした…。傷心のままアランデルの町にあるパブでランチを食べましたよ…。お城見学ができなくて悲しかったけど、あの日結婚式を挙げたお二人、お幸せに…。




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