beybac et cazenac




ドルドーニュ渓谷をはるか遠くまで見渡すことができる高台に、Beybac et Cazenacのお城は堂々とした姿を見せています。崖の高さはなんと150メートル!!下の川面を見下ろすには、目もくらむ高さです。立地条件の良さのためか、紀元前2000年にはすでにこの地に集落が築かれていたそうです。

現在見られるお城は、12世紀初頭に建設が始められたお城です。難攻不落の要塞のような外観とは裏腹に、何度も奪取・奪還の攻防戦が繰り広げられた場所でもあります。12世紀は第3回十字軍で有名なイングランド王リチャード1世によって奪取され、彼の部下の一人に与えられてしまったり、また、このあたりにアルビジョワ十字軍の嵐が吹き荒れた13世紀には、十字軍のリーダー、シモン・ド・モンフォールによって占拠されてしまったことがあるそうです。

その後、城の所有権は本来のBeynac領主家へと戻りますが、14世紀〜15世紀の百年戦争の時代では、再びイングランドとフランスの間で城主が入れ替わったりしています。一貫してフランス側の立場を貫いていたBeynacの領主ですが、1360年にはイングランド軍に占拠され、城がフランス側へと復帰を果たすのは、百年戦争が終結した1453年のことです。

16世紀の宗教戦争の時代には、Beybacはプロテスタント派の立場をとり、近隣のカトリック派と争いを繰り広げ、それに伴って城の防御機能も強固されました。現在お城の北側に見られる二重の堀と二重の城壁は、この時の作だそうです。

18世紀半ばにBeynac家は最後の男子後継者を失い、城の所有はBeaumont家へと移ります。200年近い放置期間を経てようやく修復が始められますが、膨大な修復費用のためにBeaumont家は資金不足に陥り、1961年に城は別の個人へと売却。城は、現在の所有者であるGrosso氏という方の元で、修復作業が続けられています。また、このお城は、1978年作のレ・ミゼラブルと、1997年作のビジター2の映画が撮影されたところなのだそうですよ。

Beynacのお城は、とにかく高いところに建てられているので歩いて登って行くのが大変です。急な石畳の坂道を登るのはすべりやすいし、息は上がるし…。でも、こんな風に敵を寄せ付けない構造なのは、中世当時の町の作りが残っている証拠。歩いていると、うきうきしてきます。重い鎧を身につけた中世の騎士たちは、一体どうやってこの城と麓の町を行き来したのでしょうね。

Beynacは、“フランスで最も美しい村”に登録されているところです。家々もお城も黄土色の石壁で美しく統一されており、とても素敵なところでした。



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