カンタベリー大聖堂
Canterbury




イギリス南東部ケント州にある世界遺産の一つ、カンタベリー大聖堂です。最初はローマ・カトリックのベネディクト派教会として建立されましたが、16世紀半ばに修道院は解散させられ、以降はヘンリー8世の離婚問題が引き金となって創立されたイギリス国教会の総本山となっています。

597年、“アングロ・サクソン人たちをキリスト教に改宗する”というローマ教皇の使命を受けてイングランドにやってきた聖オーガスティンがこの地に教会を建てる以前は、イングランドを支配していたローマ人たちの神殿があったそうです。聖オーガスティンの初代カンタベリー大司教から数えて、現在の大司教は104代目なのだそうです。

歴代カンタベリー大司教の中では、1170年、イングランド国王との不和が原因で大聖堂内で暗殺されたトーマス・ベケットが一番有名ではないでしょうか。時のイングランド国王ヘンリー2世とトーマス・ベケットは、宗教者は神にのみ服従するべきなのか、キリスト教の守護者である国王にも服従すべきなのか、ということで対立を深めてしまいます。その中で、「彼が生きてさえいなかったらなぁ…」というヘンリー2世の言葉を深読みしすぎた4人の騎士たちによって、トーマス・ベケットは大聖堂内で殺害されてしまうのです。自分の部下たちの行いを知ったヘンリー2世は悔恨の涙を流し許しを請いますが、時すでに遅し。聖職者を殺害した国王という汚名を、イングランド史に残すことになってしまったのでした。トーマス・ベケットはその後聖者に列せられ、現在でもカンタベリーは聖者信仰の地となっています。

またカンタベリー大聖堂には、フランスとの百年戦争でイングランドの英雄と称えられたエドワード黒太子のお墓もあります。長弓兵を率いてイングランドを大勝に導いたエドワード黒太子でしたが、赤痢のために玉座に就くことなく亡くなってしまった悲劇の人なのでした。

カンタベリーの町では大聖堂だけでなく、黒い木組みと白い壁を持つ「テューダー様式」と呼ばれる家々が立ち並び中世の面影を色濃く残す町並みを見ることができます。ロンドンから電車だと1時間半ぐらい行くことができます。ぜひ訪れてみてくださいね。




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