カーディフ城
Cardiff



ウェールズの首都カーディフにある、カーディフ城です。ロンドンからカーディフまでは、電車で約3時間ぐらい。お城は駅からほぼ垂直に伸びる大通りを歩いていくと見えてきます。

この地に最初に砦を築いたのは、1世紀半ばにやってきたローマ人です。カーディフはローマ人が作った街道沿いにあり、この道からさらにウェールズ内部に築かれたカーレオン(現在でもローマ人の遺跡がある)やカーマーゼンへと続く交通の要所だったのだそうです。現在でもカーディフ城内の敷地には、ローマ人が築いた砦の跡を見ることが出来ます。

ゲートハウスを通って最初に目に付くのは、丘の上に建つキープです。典型的ノルマン式モット&ベイリーの城なのが分かります。ノルマンディー公ウィリアムのイングランド征服の後、ウェールズまでやってきたノルマン人たちの手により、カーディフの地にもノルマン式の城が作られました。これよりカーディフ城の城主となった人物の名を見ていくと、まさに圧巻です。ウィリアム1世の長男ロバート、エドワード2世の寵臣であり後に処刑されたヒュー・ディスペンサー、ばら戦争の時代にキングメーカーと呼ばれたリチャード・ネヴィル、悪名高いリチャード3世、そしてヘンリー7世の叔父ジャスパー・チューダー等々。それだけカーディフが重要な地点だった、ということですね。

城は市民戦争の時代に国王チャールズ1世側についたため、オリバー・クロムウェルの議会軍から攻撃を受けますが、イギリス中の多くのお城のように徹底的な破壊からは免れ、当時の所有者であったハーバート家は城を修復し、住み続ける事ができました。その後の1865年、城は大富豪のビュート家の所有となり、大規模な改築が行われたのち現在見られる様な城へと変貌しました。

現在のカーディフ城を見ると、丘の上に残るキープ以外は真新しいお城に見えてしまいます。中世から何代にも渡って住み続けられると、城は戦いの場としてではなく生活の場となり、防衛上の設備よりの生活の快適さのための近代設備をもった建物へと変貌してしまうんですよね。それは仕方がないことなのですが、私にはカーディフ城の歴史とキープ以外あまり楽しめなかったです。

城の内部へはガイドツアーで入ることができるのですが、カステル・コッホと同じように、内部は絢爛豪華な家具やタイル、装飾などで飾られています。城を外から眺める時に印象的な塔の上部には、庭園まで作られています。「?」って感じでした。ただ、図書館に並べられている蔵書数はすごいです。個人の所有でこれだけの広さを持つ図書館はあまりないと思います。何か国語も話すことができ、いろいろな学問に精通していたビュート公の原点なのでしょうね。


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