チェプストー城
Chepstow



カーディフから電車でおよそ35分で行けるチェプストーの町に、チェプストーの大きなお城があります。イングランドとウェールズの国境地帯はマーチ地方と呼ばれ、大小様々な城が建てられた場所ですが、チェプストー城はその中でも格別の存在感があります。

チェプストー城はワイ川に面して立っており、その川を渡ると、そこはすでにイングランド。現在ではお城の前の道路がワイ川にかかった橋に続いており、渡って簡単にイングランドに行くことが出来ますが、イングランドとウェールズの間に紛争が絶えなかった中世の時代、この辺りはワイ川の渡河地点として戦略上重要な役割を果たしてきました。またこの地は、一方は川に面した険しい崖に、もう一方は谷によって守られた要害でもありました。きっと、幾度となくこの辺りでは激戦が繰り広げられたことでしょう。

チェプストー城は、ノルマンディー公ウィリアムがイングランド征服を成し遂げて間もない1067年に、彼の腹心の一人だったウィリアム・フィッツオズバーンの手によって建設が始められました。城の内郭にある大広間を持つキープは、この当時に建てられたものだそうです。その後1190年、城は立身出世物語で現在でも有名なウィリアム・マーシャルのマーシャル家の所有となり、城壁が外郭まで拡張され、現在見られるゲートハウスも作られました。エドワード1世の時代に、城は大貴族の一人だったロバート・ビゴットの所有となり、単なる防衛施設だけではなく快適な居住空間を持つ城として作り変えられていきました。17世紀に起こった市民戦争では、城は議会軍の大砲の前に陥落し一時刑務所としても使用されていたそうです。

チェプストー城は、イギリスに石造りの城が作られ始めた頃の作であり、初期の建築様式から大砲の登場によって城が衰退していくまでの過程を見ることができる貴重な城の一つです。また、チェプストー城はイングランドとウェールズをつなぐという重要な地点にありながら、王室の所有になったことがないそうです。なんだか不思議ですね。

現在お城はCADW:Welsh Historic Monumentsによって管理されています。



チェプストー城への行き方:電車だとチェプストー駅から約1キロ。




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