イングランド南部イーストサセックス州にあるペベンジー城です。ペベンジーの町はイギリスでも有数の古い歴史を持つ町だそうで、ローマ人時代にはアンデリダと呼ばれ、現在お城があるところには290年に築かれたローマ人の砦と神殿があったのだそうです。驚いたことに、お城を取り巻いている城壁の大部分は、この時代に作られた物が現存しているのだそうです。1700年もの間ですよ〜。彼らの建築技術の高さは本当に驚きですよね〜。
ところで、1066年イングランドの支配層がサクソン人からノルマン人へと取って代わられた“ノルマン・コンクウェスト(ノルマン人のイングランド征服)”は、イングランド史上重要な変換点になったといわれますが、イングランド南部や南東部のお城を巡っていると、この地方のお城の歴史が本当にノルマンディー公ウィリアムや、ノルマン・コンクウェストと深い関係があることに気付かされます。
ノルマンディー公ウィリアムに率いられたノルマン人と、当時のイングランドを支配していたサクソン人との間でイングランドの玉座をかけた天王山の戦いが繰り広げられたのはヘイスティングスですが、フランスはノルマンディー地方から海を渡ってやってきたノルマン人たちが一番最初にイングランドに上陸したのが、このペベンジーの地なのだそうです。現在の海はペベンジーからはるか遠くにあるのでノルマン人の上陸なんてとても想像できませんが、ウィリアムがやってきた11世紀当時ペベンジーは海に面していたそうですよ。ウィリアムがヘイスティングで勝利した翌年の1067年、周辺地域の支配を確立する拠点とするべくペベンシーにノルマン式のお城の建設が始まり、その後時代と共に増改改築が繰り返されました。
ペベンジーは海を渡ってやってくる外敵の侵入を防ぐという戦略上重要な地点であった為、何度もこの城を巡って激しい攻防戦が繰り広げられたのだそうです。第二次世界大戦時にもドイツ軍の上陸に備えてイギリス軍がこの城に駐屯し、鉄砲を用いた戦いに適した城へと改築が施されました。よく見てみると、城の壁や塔に作られた小さな穴の発射口を見つけることができます。上空を飛ぶドイツ軍の飛行機に改築が発見されない様に、城の建築当時に使用された石と良く似た色の石を使って、工事は極秘裏に進められたのだそうですよ。
ペベンジー城は現在ではイングリッシュ・ヘリテッジの管理となっています。
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