戦時中、中国人やロシア人捕虜3000人あまりを人体実験に利用し、
細菌兵器を開発していた日本陸軍の非人道的部隊「731部隊」。
731部隊の実像を告発した、森村誠一著「悪魔の餌食」シリーズを読んだ。
そしてこの夏、731部隊の研究施設のあった場所を実際に訪れてみた。
かつて満州国があった中国黒龍江省、
哈爾濱(ハルビン)市から南へバスで30分ほど行ったところに研究施設跡がある。
日本敗戦時に証拠隠滅のため、731部隊自身の手で施設の大半が壊されてしまったが、
本部棟などが残って当時の資料などが陳列されている。
訪れた日は、快晴で気温30度以上の暑い日だった。
哈爾濱市の中心部から離れたところにあり、雑踏の煩さはなく、
夏の輝く太陽と郊外の長閑な落ち着きが、戦争当時とのコントラストで
現在の平和を強調していた。
前もって読んだ「悪魔の餌食」はかなり衝撃的な内容だったので、
実際に敷地内に入ると感慨深かった。戦後60年経ったとはいえ、
当時の細菌が残っているんじゃないかと少々恐ろしくもあった。
陳列された当時の資料を見終わり、外に出て、
捕虜たちが収容されていた建物跡に佇んで当時に想いを馳せていたら、
見知らぬ三人が私に近寄って話しかけてきた。
そのうちふたりは係員らしく同じ制服を着ていた。
残りのひとりは参観している客のようだ。
彼ら私に、普段は参観できない施設へ客を案内するのだがついでに来るか?
とのことだった。迷わず着いて行った。
係員に着いて、施設を象徴する巨大煙突や、地下室への入口、
凍傷実験が行われた建物、菌に感染させた虫類を飼育していた建物などなど、
今はただの廃墟でしかないが、当時の悲惨さをリアルに感じられた気がする。
ふたりの係員の解説も断片的に聞き取れたが、
日本軍の悪行を非難している内容があるかはわからない。
日本軍の悪行の跡を目の前にして3人の中国人と日本人の私ひとりが、
ここでこうして一緒にいるのは、なんか恐縮してしまった。
悲惨さばかりを感じる訪問だったが、
この731部隊の多くの犠牲の上に築かれた細菌に関する医学的研究結果が、
その後、米軍などに利用されたにしろ、結果的に人類の将来のために
おおきなプラスになっていれば、少しでも救われる気がする・・・。
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