最終日を迎えて長かったような短かったような複雑な心境です。
シャモニからチャーターバスでジュネーブ空港へ、チューリッヒで乗り換えてスイスインターナショナルエアラインズ直行便で成田へ向かいました。
チューリッヒ空港乗換え時、全員の搭乗券を持っているツアーリーダーとはぐれてしまい心配しましたが、搭乗時間間際で合流できてことなきを得ました。

■いちばんの気がかりは妻の体調でしたが、3日目からほぼ復調して団体行動に支障をきたすことはありませんでした。

■次に気になった天候は、2日目のベルニナ山群をまったく目にできなかったのは少しだけ心残りです。
 あとはマッターホルンのヴァリス、アイガーのベルナー・オーバーラント、モンブランのシャモニの主要なところでは
 それぞれ快晴に恵まれて飽きるほど展望を楽しむことが出来て満足です。

■このツアーにはハイキングが7日設定されていましたが、予定通り7日間のハイキングが実施できました。
 ただし、シャモニでのラックブランハイキングは天候の関係でバルム峠のハイキングと入れ換えになりました。

■最初からハイキングの内容には大きな期待はなかったとはいうものの、このツアーを選んだ理由はハイキングの
 設定が多かったからです。ハイキングとはいうものの、実際にはピクニック程度のもので少々がっかりしました。
 もう少しハイキングらしく歩けると思っていました。コースはゴンドラなどで上がって展望を楽しんだあと、歩くのは
 付け足しのような下りのみに近いコースでした。上高地の河童橋から明神池を往復するようなものです。
 この旅のために初めてザックや靴を調えたという参加者が何人もいる実情を見ればこの程度が限界なんでしょう。
 ハイキングというより観光地の中の散歩と考えた方がよかったと思います。わかっていれば最初から『観光旅行』と
 割り切るべきでした。

■スイスはとても美しい国でした。バスや列車の車窓からも無秩序かつ奇をてらうような看板類はまったく目にし
 ませんし、農村地帯に点在する家々も形・色ともよく景観に溶け込んでいて、大変落ち着いた風景を作ってい
 ました。
 民家1軒1軒に至るまで窓辺には多分ゼラニュウムだと思いますが、プランターに入った赤い花が飾られています。
 この国ではそれが普通のことなんですね。自分も他人も楽しめる花作り、花飾り、スイス国民の心の豊かさを
 見る思いでした。
 経済大国、豊かな国などと威張っていても、心の豊かさでは日本はまだまだなのかもしれませんね。
 一方なんとタバコ好きな国民でしょう。女も男も路上タバコは目に余るほど、駅のレールは吸殻の山で昔の
 日本と同じでした。

■こんな考え方もできるかもしれません。
 ベルニナ、ヴァリス、ベルナー・オーバーラント、シャモニ、いずれも名だたる観光地には違いないと思いますが、
 登山鉄道、ロープウエイ、ゴンドラ、ケーブルなどがいたるところに架けられていて、ちょっと行きすぎでは
 ないかとさえ感じました。どこもかしこも観光地化することが良いとは言えない部分もあると思います。
 日本にも北アの黒部アルペンルート、西穂ロープウエイ、中アの千畳敷ロープウエイなどありますが、北アが
 ゴンドラやロープウエイだらけになったら幻滅です。
 
 一般のハイキングコースは完璧すぎるほどに整備が行き届いています。まるで車道か公園の遊歩道を歩いて
 いるような気がするところも多くありました。事実車道かもしれません。自然の中を歩くというより、景色の良い
 ゴルフ場を歩いているような気がしてきました。
 小さな山でも自分でルートファインディングを楽しみながら登る日本の山の方が私には向いていますし、充実感を
 感じます。だからこのツアーのハイキングは『観光だった』と割り切ることにします。

■日本の山を歩くときは、あの山は何という山だろうか、この花の名前は・・・一生懸命に調べたり覚えようと努力
 します。 ところが今回はそんな気持ちはまったく起きませんでした。言い方はよくないのですが、『見てしまえば
 おしまい』 そんな感じでした。覚えても2度、3度と訪れて記憶を紐解きながら懐かしみ改めて見直すということは
 多分ないでしょう。いわば一過性の出会いでしかないわけです。
 氷河、目のくらむ氷雪の山稜、黒光りする岩壁、花、牧歌的風景・・・・そんなものを大雑把な記憶として留められ
 ればいいと思っていますし、それで満足です。
 日本ならどんな辺鄙なところを訪ねても、何十年とこの国に生きてきて、知らず知らずにその地方の地図、文化、
 風習、気候、特徴、歴史などが頭の中に蓄積されていますから、それを土台にして観たり聞いたり理解できたり
 しますし、おのずから記憶にも残ります。それとの違いかもしれません。旅に発つ前にガイドブックを少し紐解く
 くらいでは間に合いません


■最後に。
 ぎっしり詰まった日程の中で、道中のあれもこれもがごっちゃになってしまい、記憶はまさにもつれた糸の状態
 です。ノートPCを携帯したので毎日のことを要約してPCに入れておこうと考えたのはよかったのですが、そんな
 時間はまったくありませんでした。
 
 旅日記は写真を頼りにもつれた糸をほぐす作業となり、加えてひどい時差ボケも手伝い事実と違っている部分が
 何箇所かあると思います。
 13日の旅の中で洗腸は1回も行わず、すべてパウチで通しました。(覚悟して洗腸用具は持参しませんでした)
 水が変わったためか、初日から便がゆるめで、パウチの中の便の処理がやりにくくて苦労しましたが、大きな
 アクシデントにはなりませんでした。帰宅したらとんに以前の固めの良い便に戻りました。

▼追記
 ほかのツアーは知りませんが、今回の場合は小遣いを少し多めに考えた方がよかったようです。
 昼・夕食代や食事の度の飲み物など思った以上に出費がかさみ、多すぎるかと思ったのがちょうどいい結果に
 なりました。

スイスは美しい国、花が飾られたこのような光景はここでは普通のことでした
   
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