ES細胞
  「全能性」か「多能性」か、再生医療が私たちに問いかけるもの

9. 医学部から宗教学へ 科学だけでは答えがでない
 
 私自身は父が精神科医で、大学に入りましたときは医学部でした。父は「医は仁術」、患者さんのために尽くすのが医者だと考えていたようです。

  しかし、どうも医療の現実はそうでもなさそうだ。しかも当時の医学部は大学紛争の渦中で、医学にあまり情熱がもてなくなっておりましたし、また蛙の解剖をやりましたところ細かい血管などをみるということが私には向いていないようだと感じて、宗教学を専攻するようになったのです。
 

  その時、父は「なんでそういうことをやるのだ」とだいぶ驚きました。父は、宗教というのは怪しいと思っていたようです。しかし、父は後に厚生省の委員として、脳死問題に関わるようになり、科学だけではとても答えのでないことがたくさんあると感じていたようです。ですから、私の選択はそんなにおかしいことではなかったと、思っていてくれたようです。

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