妖精たちの落とし穴? 〜dwarf-circle 〜閑話 その5
     〜なんちゃってファンタジー“鳥籠の少年”続編
 

 

          




 ちょこなんと、手のひらにすっぽり収まるサイズまで身が縮んでしまったセナ王子。正確には身長20cm弱くらいという縮尺になっており、そうですね、リカちゃん人形と同じくらい、というところでしょうか。
「手乗りっ子って、このくらいなんでしょね。」
 ああ、そうそうvv あれってどちらのお宅の子も可愛いですよねvv
「こらこら、そこ。」
 脱線しなさんなという注意が飛んで来て、あははvv いや大変なんでしたね、ごめんなさいです。セナ王子はお衣装ごと全身が縮まれたらしく。とりあえず…と、進さんの大きな手に乗り換えた上で戻った自室のテーブルの上、数枚ほど重ねた絹布の略式“お座布団”へと降ろされて、
「…ビックリしました。」
 ほうと、ますます小さくなった手を胸の上へと押し当てる。何せ、転んで振り返ればそこは鬱蒼とした密林だったものだから、セナ王子が唖然としたのは言うまでもなく。
(笑) 得体の知れない咒か何かで、遠い土地へと飛ばされたのかな。それとも、思わぬところに開いてた“旅の扉”を通り抜けちゃったのかしら。誰も居ないよう、進さぁん…と、ただただ怯えていたそうな。まさか自分の方が縮んだだなんて思いもよらずで、訳が判らず戸惑っていると。そんなところへ、わさわさザワザワ、荒々しい足音が草原を踏みしだき、何だか大きなものが傍らを駆け抜けていって。何だかよく判らないけれど、ここはその“大きな何か”の通り道なのかも。踏み潰されちゃうようと真っ青になりつつ、必死で這い上がったのが………花壇の縁を取り巻いていた飾り石の1つ。その陰に隠れてドキドキしていたら、今度は信じられないくらい大きなバッタに追いかけられて、密林の中を必死で駆け回る羽目になった。彼らが草食だと気づいたのは随分と後になってからで、まま、怪獣みたいなスケール対比になってたんだもの。そんなことを落ち着いて考えてなんていられなかったのも無理はなく。桜庭が妖精を呼び出す特別な“咒”を唱えたことで、彼らが乗りこなすことのあるバッタたちが駆け出したそのあおりから、上手いこと皆様たちが立っていた方向へと転がるようにして飛び出せたセナだったのだが、
「僕らの声は波長が変わっちゃって聞こえなかったらしいよ。」
 今は桜庭がそれなりの咒をかけたので、何とか会話が成立しているが、
「そか。それであんなミミズの悲鳴みたいな声だったんか。」
「…蛭魔さん、それって酷いですぅ。」
 セナの側の声もまた、あまりに小さくなった反動からこちらへ届かぬ種のものに変化していたらしい。妖精たちのレベル、蚊の鳴くような少し高い声へと変わっていたがため、一応は進の名を呼ばわっていたのだが、届かなかったという訳で。

  「………。」
  「だからサ。物理的な問題なんだから仕方がないって。」

 あ、剣士様が大きな肩をがっくりと落として、ひどく落ち込んでしまわれたご様子です。それを心配そうなお顔で見上げていたセナ王子。胡桃色とチャコールという二色の組木の格子柄模様がチェス盤みたいな円卓の上、厚絹を重ねてクッションを持たせた即席お座布団にちょこりと座っている自分が、
「えと…。//////
 皆様の側からは一瞥で全身が視界内に収まる存在となってしまったものだから、何だか居たたまれないのか。くっつけたお膝や竦めた肩を恥ずかしそうにもじもじと擦り合わせていたのだが、
“…う〜ん。そんなことされると、ますます目が離せないんだってば。”
 ただでさえ ちんまり愛らしかったところに加えて、小動物と子供、双方の稚
いとけないものの持つ、守ってあげたい“保護欲”掻き立てまくりな魅力満載の可憐なお姿となった今。おどおどと俯いたり、ふにふにと小さな手を擦り合わせて見せたりすると、それだけでもう“お兄さんたちの視線は釘付け”状態になっており。(笑)
「けど、進の護剣でも元に戻せないって事は、これって…。」
「ああ。」
 こんな不思議な現象となると、間違いなく関わっていると思われるのが…この大陸特有の例のアレ。
こらこら 誰かが狙い定めて掛けたのか、それともそこに罠のように仕掛けられていたものだったのかといった詳細は未だ不明なままなれど。こちらの陣容にはその筋の専門家がきっちりと揃っているのだし、掛けられた“咒”の種類が判らないなら、最後の手段。魔物の影響力から持ち主を守る、聖なる力を込められし剣、進の愛用するアシュターの護剣にて封印を解き放つという手もある彼らだったのだが、それを振るってみてもこの結果という案配であり、
「まさか、チビを相手に剣を振るうのへ臆したんじゃあんめぇな、糞剣士。」

   「……………。」

 もしもし? 進さん? 話しかけた蛭魔が、分厚い肩に手をやって揺すってみたが、瞬きさえせず反応もなく。
「おい…。」
「話しかけても無駄だよ。セナくんしか見えてないし、恐らく心の中はフリーズ状態だと思う。」
 大方“セナ様がセナ様がセナ様がセナ様が………”一色で、頭の中も心の中も塗り潰されてるに違いないよと、桜庭くんが肩を竦める。
(う〜ん。)
「本人の“光の公主”としての力でも、戻れないらしいしな。」
 細い眉をピピンと尖らせ、綺麗な額に立ち上げたまま、まったく・どいつもこいつも…と溜息をついた黒魔導師様だったが、
「ま、原因は判ってんだから、対処は1つだがな。」
 おおう、だから前の段落で“天動説”派だとご紹介した行動主義の方々なのにあんまり切迫してなかったのね。で? 一体、何でまた こんなことに?

  「ドワーフ・リングだよ。」

 はい? 何ですか、そりゃ?
「フェアリー・サークルってのは知ってるだろ? あれと似たよなもんでな。大地の精霊である“ドワーフ”が地面に仕掛ける、魔法の輪っかってのがあるんだ。」
 それへ足を取られたセナなんだろうと、一応の目串は刺した魔導師様であるらしく、
「自分たちの願いを聞いてもらうため、まあ大概は人手がほしいからってことで仕掛ける代物なんでな、相手を自分たちと同格の存在にする作用がある。」
 ははぁ。だから、こんなに小さくなっちゃったんですね。
「人手がほしいんなら本末転倒なんだけどね。」
 そですよね。大きいままな方が、何をして欲しいお願いでも捗
はかどるんじゃないのかしらね。あ・でも、引っ掛ける相手に人間だけを設定しているとは限らないんだし。犬猫が引っ掛かることの方を想定してて、意志の疎通をこそ優先したかったのかも? まあ、どっちにしたって迷惑なことには違いない話。
「ここみたいな、一応の防御結界が形式に則って張られてあるところにってのは珍しいんだがな。」
 国を統べる“要人”たちの住まいとなる城や、多くの人々の敬虔な思念が宿る寺院なんかには、建てる時に…魔を寄せつけず、大地との折り合いというものを均すべく、きちんとした祈祷が行われ、結界が張られるもの。
「地鎮祭や棟上げ式と似たよなもんだ。」
 こらこら、それは日本の場合だろうが。余裕があるんだか、手間掛けさせやがってという腹立ち紛れなのか、お約束のノリで脱線して下さってから。ぶっきらぼうなご様子にて、それでも“さてと”と立ち上がった魔導師様…だったが、
「…妖一、穏便にね。」
「おうよ。」
 判ってるといいつつ、その薄い肩に担ぎ上げられている“携帯型簡易砲”今風に言うとロケットランチャーのでっかい砲筒を見やって。桜庭が自分のこめかみを指先にて押さえつつ、同行することにしたのは言うまでもない。………相変わらず過激な人だこと。
「進、言うまでもないことだけれど、セナくんから目を離しちゃいけないよ? この程度のテーブルだって、今のセナくんには途方もない高さだし、ちょっとガタンと揺れるだけでも、大地震クラスの振動なんだからね?」
 それでなくたって何だか大雑把で荒くたい君なんだからと、少々失礼なまでに重々気をつけるんだよと念を押し、もう一人の方の見かけによらない“乱暴者”を追って庭へと向かった桜庭くんであり。


  「……………。」×2


 彼らがそんなにも囂
かまびすしいという訳でもなかろうに、何だか急に静かになった室内である。明るい陽射しの降りそそぐ窓辺には、レースのカーテンが時折そよぎ入る風にゆらゆらと揺らぎ、広くて清潔感の満ちたお部屋の中ほどに据えられた円卓のところまで、どこかでもう咲いているらしき気の早いキンモクセイの香りを届けてくれる。それへと、
「…あ。」
 敏感に気づいてお顔を上げたセナ王子の様子に、
「…?」
 無言のまま、瞳の冴えだけをかすかに緩めた進さんであり。それを“どうしましたか?”と訊いてくれているのだと見て取って、
「あのあの、どこかにキンモクセイが咲いてるみたいなんです。」
 その香りが今したんですよと。尚のこと小さくなった腕を大きく振り振り、説明して見せて下さる可愛らしい人。不器用で要領が悪い、それでなくとも自分のような下賎の者へ、理解しよう判って上げようといつもいつも懸命に向かい合って下さる優しい方で。護衛官など“使い捨ての楯”だと思っていて下さらなくては困るのに、大好きな人だから無理や無茶はしないで下さいと慕って下さる、切ない眼差しや愛らしいお声が、こちらからも…もはや無くてはならぬものとなってしまった、何にも替え難い愛しい人。そして、

  「…不自由があったら、何でもお申し付け下さい。」

 そっと手を伸ばしかけた進さんが、だが、思い直して。テーブルの天板に腕を載せる格好にして、上へ向けた手を滑らせて来て、曲げた指の関節にて、そぉっとそぉっと頬を撫でて下さる。身分を考えれば不遜なことながら、セナが大好きな仕草…ふわふわの髪をぽんぽんと撫でて下さろうとして。自分をすっぽりと掴めるほどの大きな手が覆いかぶさって来るのは、小さくなった身には怖いことかもと、ちゃんと気遣っても下さって。そんな心くばりがとってもとっても嬉しくて、
「はい…。//////
 ふわりと頬が染まったセナ王子だったりするのである。桜庭くんは随分と失礼な言いようを残して行ったが、セナくんと二人きりの時の進さんは、もっと寡黙で、けどでもたいそう柔らかな雰囲気で接して下さる優しい人。眸の瞬きだけで意を伝えて下さるのを ちゃんと感じ取ることが出来るのが、ほわほわと暖かい特別を意識させてくれて。それが何とも嬉しいセナ王子であり、


  “…こんな大きくなっても、進さんてステキなんだなぁ。//////

   ………逝ってなさい。
(笑)







            ◇



 こんな突拍子もない緊急事態になっているという事実、当然のことながら大っぴらに触れ回る訳にも行かず。間が悪いことには、こういうことへの対応なら余裕でお任せの、親衛隊長の高見さんが不在。そこでと、ドワーフ探しにとお庭に出る前に桜庭さんが、奥向きの侍従や女官の方々へ適当な言い訳をなさっておいて下さったらしく。いつもなら、ベッドメイクやお掃除、はたまたお洗濯の済んだお洋服の補充などにと、勿論…セナがお勉強にと別のお部屋へ出ている隙をついてのことながら、お部屋に訪れる係の方々が、今日は一人もやって来ない。それと聞かされていなかったものだから時々はそちらへ注意を向けつつも、
「…それで、ひょいって抱えてしまわれたでしょ? 凄いなぁって思いましたvv」
 自分たちの大きさの違いも何のその。いつの間にやら、いつもの如く。セナ王子が色々と“こんなことがあったでしょう、あの時そういえば…”と些細なことを思い出してはお話を繰り出して、それへと剣士様が温かな眼差しで相槌を打つという会話で時を過ごされ。そんなままに静かな午前はあっと言う間に過ぎゆきて。
「…蛭魔さんたち、大変なんでしょうか。」
 お庭に向かった蛭魔さんと桜庭さんが、お昼になってもなかなか戻ってはいらっしゃらないものだから、さすがにセナくんが少々心配そうなお顔になる。こんな状況となっている自分の行く末へではなく、お手間を取らせて済みませんと眉を寄せてしまう、相変わらずな彼なものだから。
「大きな騒ぎの気配もありませんし。」
 少しほど背伸びをして窓の方を見やってから、白い騎士様、ゆるゆるとかぶりを振って見せ、
「順調に進んでいるんですよ。」
 何がどうとは判らない彼だろうに、心配しないようにと柔らかく笑って見せる。その途端、
「あ…。///////
 ああどうしよう。ご迷惑かけまくりな現状なのにね。こんな特別の笑い方をして下さるなんてと、セナくん、後ろめたいながらも…とっても嬉しくなった。/////// 思えば、こうして ずっとずっと向かい合っていて下さるのだって久方ぶりのこと。いつも向背に静かに控えていらっしゃるばかりだから、こんなお腹いっぱい、進さんの凛々しいお顔を見ていられるなんて滅多にないことで。
“喜んでちゃいけないんだけどね。///////
 嬉しいやら恥ずかしいやら。王国の紋章入りのスカーフの上、お膝をもじもじ擦り合わせてしまうの。そんなところへ、

  「失礼致します。」

 女性の声と共にコンコンという軽やかなノックの音がした。そこは王宮で、しかも王子のお部屋。お廊下からいきなりメインルームという間取りではないので、慌てる必要はないのだが、
「あやや…。////
 だ〜か〜ら。慌てんでいいと言ってるでしょうが。
(苦笑) こちらさんはさすが落ち着いていらっしゃるのか、それとも…常の鉄面皮ぶりを発揮して、外に心情を出さないでいられるだけなのか。(笑) 剣士殿が静かに席から立ち上がるとそちらの方へと向かって行かれたが、
“うわぁ〜〜〜、どうしようか。”
 いつもだったらお昼だからって食堂へ向かってる時間だものね。それでってお掃除にいらした方かしら。進さんが追い立てられてしまって、さて、テーブルの上もお片付け致しますねなんて言われたらどうしよう。全然動かないお人形の振りなんて難しいよう…。焦るあまりに知らず知らず、お座布団から立ち上がって、円卓の上で右往左往していたセナを見やって、

  「セナ様?」

 掛けられた進さんのお声が怪訝そうだったのへ、やっとのこと我に返る。そちらを見やれば、両手の間に大きなお盆。二人分の昼食が載っかっていて、紅茶の芳しい香りには、

  「………あやや。//////

 思わずのこと、お腹が“くーくー・きゅるる…”と鳴き出したセナ王子だったりする。
「桜庭が“セナ様は少ぉし暑さ負けなさってらっしゃるから”と言っておいてくれたらしいです。」
 円卓の傍らへ戻って来た進さんは小さく笑って、気の利く白魔導師様の処していかれた手配を告げられ、
「係の者たちは、お部屋にはあまり近づかないでと言われているそうなので、安心して過ごして善さそうですよ。」
「そうですか。」
 ああよかったと胸を撫で下ろし、広い円卓の上の半分ほどを埋めるトレイをすべらせての“お昼ご飯”の到着に…正直にわくわくと眸を見張る。突然の訪問者にはドキドキしたものの、随分とリラックス出来ていたため、いい匂いを嗅いだ途端にお腹もきゅうきゅうと切ない悲鳴を上げている。
「美味しそうですねvv
 サンドイッチにスパサラダ、玉子とポテトのココットに、アップルパイとミルクティー。デザートにはベリーのムースと、暑さ負けして食欲がないと言われてのメニューは、それでも結構な布陣で固められており、
「…あ、でも。」
 しまった困った、ナイフもフォークも持てませんと。セナくん、ちょこっと寂しそうなお顔になって“きゅうぅ〜ん”と進さんを見上げて見せる。少し離れたところから脇卓を持って来て、熱くて危ない茶器だけを隔離してから元の席に着いた進さんは、

  「ご心配なく。」

 お任せあれと 小さく微笑った。そして…まずは。フィンガーボウルにナプキンの端を浸して、きゅうぅと指先でよく絞り、どうぞとセナ王子の前へと湿った部分が上になるよに畳んだままで置いて差し上げ、お手ふきの準備。
「あ、そか。」
 カトラリーが使えないということは、手で食べねばならないということ。たいそう小さなセナの手には、ナプキンがまるで大きな敷物みたいだったけれど。両手を押しつけてごしごしと拭っていると、かちゃりと音がしてサンドイッチの1つへナイフが入る。パンを真横にスライスし、厚さを1/3ほどにしてからレタスとハムを挟み直した進さんの、それをセナくんのお顔くらいの大きさに ちょいちょいと切り分けた細かい作業が何ともお見事で。
「どうぞ。」
「わあ〜vv
 お皿の端の空いてたところに、小さなサンドイッチを並べてもらい、トレイの縁に腰掛けた王子様、いただきますと両手で取り上げ、ぱくりと噛みつく。これでも結構、今のセナくんには大きなサンドイッチなものだから、かぷパクもりもりと格闘しもっているかのように、懸命に食べる姿が何とも愛らしく。
「…う。」
 喉に閊えたような声を出せば、すかさず、
「どうぞ。」
 銀のスプーンに浅く掬われたミルクティーが差し出される。まるで中華鍋みたいな大きさのそれだが、吹いて冷まして下さってあり、進さんが支えてて下さるので安心して。少し分厚い縁に唇をつけ、コクコクコク…と思わずの一気飲み。少しずつ傾けて下さる加減がお上手で、ふうと吐息を洩らすと顔を上げ、うふふと笑ったセナくんへ、やっぱり優しく笑い返して下さって。
「次はどれにしますか?」
 サラダですか? これではキュウリもスパゲティも大きいでしょうね、切りましょう。ココットはまだ熱いみたいですから、冷ましましょうねと。何だか珍しいほど甲斐甲斐しい進さんには…遠慮したり“すみません”なんて ついつい言っちゃう隙さえ見つけられなくて。

  “…いつものボクをご存知だから。”

 こういう時に、しつこいくらい“すみません”を連呼してしまうセナだから。そうさせないようにって頑張って下さっているのだなと、それが伝わって来て………嬉しくて。
「…あ。」
 ついつい、指先についたココットを咄嗟にぺろりと舐めてしまった進さんへ、セナくん、くすすと嬉しそうに笑って見せて。
「進さんも食べて下さいよ?」
 冷めてしまったら美味しくないでしょと、2つ目の大きなサンドイッチを“よいちょ”とお膝に持ち上げ、大きく口を開いて端っこへぱくりと噛みついて見せる。ボクも遠慮なんてしないです。だから、ね? 一緒に楽しく食べましょうと、笑顔で持ちかけるセナくんへ、
「…はい。」
 がさつな自分の思惑なぞ、あっさり読み取られてしまったかと。こちらさんも思わず苦笑し、実は緊張させていたんですよという大きな肩を、吐息をつきつつ“すぅ〜っ”と静かに降ろして。クスクスと笑いながらの静かで…ちょこっと珍妙な、おままごとみたいな二人の昼食は、楽しいままに続いたのでした。





  「…ところで、進さん。」
  「はい?」
  「また“です・ます”で喋ってますぅ。」
  「………あ。」





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  *言うまでもないことですが“ドワーフ・リング”云々は筆者の捏造です。
   フェアリー・サークルのお話の方は、主に北欧で語られている逸話で。
   取り込まれると時間の流れが変わるという筋立ては、
   何だか日本の“浦島太郎”みたいですよね♪

  *拍手の方で、『南くんの恋人みたいvv』というご意見をいただきまして、
   そういや、今リメイク放送されてるんでしたね。
   筆者は 高橋由美子さんと武田真治くんVer.で観たクチですvv
   でも、目指したのはむしろ『ロッカーのハナコさん』だったりして。
(笑)