月の子供 E  〜なんちゃってファンタジー“鳥籠の少年”続編
 



          



 この大陸の北にある歴史も古い大きな王国、王城キングダムの王権を巡る内乱の大元になった前王の側室様を、現在の皇太后が追わせているという。新しい王も決まり、もう決着は着いた諍いごとである筈なのだが、どんな恨みを晴らしたいのか、僅かな従者のみに守られて身を隠したという側室様を、兵を挙げてまで探させている皇太后様であるらしく。その逃亡中の側室様の従者の一人、この大陸の生まれらしき まもりという娘さんに、何やら"借り"があると言って聞かない桜庭の様子に根負けしてか、やれやれと腰を上げた蛭魔が付き合った先。王城の兵たちが追っている対象であると見られる女性が張った結界に守られていたのが、小さな寒村に住まわっていたセナという大人しい少年であったから…これはビックリ。彼とはとある騒動で知己になっていたからで、その時にやはり行動を共にした王城の元・近衛隊長だったという渡り剣士も同座する中、自分たちが調べた事実を突き合わせた彼らだったのだが、さて。


  ――― では、どうしてまた、こんな大騒動になっているのか。


 事情を突き合わせてみた結果、どうやら王城キングダムの王室内では得体の知れない何かの気配がうごめいているらしいと分かったのだが。その正体や、それが目論む野望の輪郭となると、材料不足で見通せない。ただ、

  『このチビさんが、どうしてそうまでして、
   大掛かりに狙われ、且つ、守られているのだろうな。』

 最初は"狙われているから"と忠告し、逃げなさいと薦めて下さった筈の正妃さえ操って、追っ手を出せ出せと鼓舞しているほどに、どうしても捕らえたいと狙っている存在がいて。そんな得体の知れない手合いに対抗するべく、こちらはこちらで本人の記憶さえ操作した上で大掛かりな結界にしっかと守られていた少年であり。対"魔物"戦の専門家でもある蛭魔の言を借りるならば、

  ――― こんな小さな子供が一体どんな脅威だと?

 ただ滅ぼしたいというのならば、もっとやりようがあった筈。一番最初に すんでのところで凶刃を避けたという風情にての逃亡を許し、その後も、女性の足に追いつけぬままにその行方をあっさりと見失っている。事を秘かに運びたいにしては、今、繰り広げられている大きな騒乱はどうだ。不器用が過ぎるほどに、こうまでの騒動を巻き起こしてでもと切望しているのなら、それこそもっと大胆に、目当ての土地一帯を焼き払うくらいすればいい。それこそ得意の妖術でもって偽りの直接犯を操って執行すれば、そして都合のいい口封じも兼ねてその"残忍な輩"を成敗すれば、自分たちには世間の非難も集まるまい。なのに、こんな簡単な企てさえ繰り出せないのは…どうあっても滅ぼしたいものの、それと同時に下手に手を出すことが出来ない対象だからではなかろうか。

  『…あの。』

 自分こそがそんな大層な存在だと言われても、当のご本人としては何も思い当たらないらしく。もしかしてそうまでしたい"目的"というのは、自分ではなく これのことなのではなかろうかと。そうと言ってセナが差し出したのが、つい先程、この家の屋根裏で見つけた水晶珠のアクセサリー。今までに見た覚えのないものであり、置いてあった場所といい、まもりが隠していたのではないかと思われる。からくり箱に収められていたのは…銀のワイヤーで巣籠もりさせたように くるみ込んだ、ちょっと奇妙な拵えの代物で、言われてみれば手配にあった水晶の飾り物に似てもいたが、魔導師であり、物に宿ったり込められた念や気配を読める桜庭によれば、こういう石には必ずある筈のエナジーが感じられないから、何かしらの儀式に使った後のものだと思うよと断じたのだけれど………。





  《 セナ、あなたは光の公主となるお方です。 》

   ――― はい?


 ナチュラル・アートを思わせるような、巣籠もりの秘石とでもお題をつけたくなるような、小さな水晶の珠とそれをくるんだ銀線による細工物。確かに何の波動も生気も感じられなかったものが、桜庭がその手をかざした途端に…淡く輝き出したその上、何処からとも知れない、遠いような近いような曖昧な響きの声がした。そして、その声へと、

  「…お姉ちゃん?」

 セナがハッとして顔を上げ、

  「………。」

 ほぼ同時に桜庭が息を呑む。水晶珠からの声は、間違いなく まもりのものであるらしく、しかもそしてそれは…桜庭が蛭魔へ思い出を語ってくれたところの、とある姫君の生まれ変わりという存在の遺した"念"でもあるのだろう。

  "…ビンゴってかよ。"

 相棒の。やわらかな拵
こしらえの端正な顔が、薄く凍ったように固まったのを見て。伏し目がちにした切れ長の目許を眇めつつ、蛭魔がこっそりと…小さな息をついた。問題の彼女に間違いないなら、この相棒は"恩返し"とやらに執着するに違いない。永い間、不本意にも封印された原因となった相手なのに…精霊ってのはピュアでとことんお人よしらしいなと、ちょっとばかり苦々しく感じつつ、

  《 私はあなたを守るためにこの村へと逃げ込んだ、
    陽雨国 第2王女アンジェリーク姫の側近の まもりです。 》

 そんな風に語りかけて来る"過去から"の念咒の声へと、耳を傾けることにした。




 進が先の近衛隊長から聞いた話のその通り、正妃様からの忠告に急かされるようにして秘かに王宮からの遂電を果たした側室様一行は、最初はまもりの故郷である、泥門に程近い小さな村を目指したのだが、

  《 従者たちは道中で次々に病に倒れ、
    アンジェリーク様までもが敢えなく急死なさいました。 》

 まだ随分と若々しい声は、感情を載せまいという頑なさで微かに強張ったまま、そんな辛い出来事を紡ぎ、そこで まもりは故郷に向かうのは止したのだと続けた。従者たちや気丈だった側室までもがこうまで唐突に亡くなったのは何者かの呪咒のせい。こんなに遠くても呪咒を届かせるほどの力の持ち主であるのなら、遠からず…必ず王子を求めて追っ手はやって来ると判ったからだ。そこで大きく方向を変え、遠く離れた見知らぬ村に身を寄せて、その地で自分の弟としてその王子を育て始めたのだが、


  《 それでもやはり…こんなに遠くまで何かしらの咒の攻撃は届きました。 》

 広大な大陸の北の端から南の端へまで、その悍
おぞましき呪咒の気配は飛んで来たのを感じて。まもりは已なくセナ自身にも防御の結界を張った。まだ元服前の童子であらせられた王子ゆえ、本当ならあまり"魔法"に関わらせない方がいいのだが、この際は背に腹は代えられずで取った処置だった。それから程なく、王城の王宮内での最初の混乱が始まったのも、まもりの守護の咒が効力を発し、セナの気配が絶えたことで"邪悪な存在"が焦ったからだろう。偽者だった側室は、どういう訳だか…それを立てた当事者である筈の正妃から向けられた、様々に ちくちくとした嫌がらせから窮地に追い込まれた。まもりの故郷を探しても無駄足だったため、何かヒントが欲しかったものと思われたのだが、その追及にとうとう耐えかねた偽の側室嬢は、苦し紛れから"自分の子こそ次の国王だ"などという、あのような思い切った言を言い放ったらしく、

  《 この地から王宮の様子を探っておりましたが、
    その念波さえ逆辿りされかねなくなって。
    已なく…その後の顛末はとうとう判らなくなりました。 》

 それでも、王位継承を巡る争いが王城で起こったことは、人々による風の噂に乗って伝わって来た。とうとう大きな騒乱まで引き起こした何者か。その内乱を牛耳って、いずれはこの地にもやって来ることは間違いなく。


  《 そんなものに、そんな存在に王子を渡す訳には行きません。 》


 悠久の歴史を持ち、奥行きの深い文明文化に支えられていた筈の、国民全体のレベルからして聡明で慎重だった筈の一大王国をさえ、内戦という混乱の渦の中に落とし込み、どんなに逃げても執拗に迫り来る得体の知れない邪悪な存在。そんなものに、まだ正気だった正妃様や母上であらせられた側室様から託された大切な王子を渡すものかと、悲壮な決意をしたまもりだったことは容易に想像がつく。そして…この村ごと包み隠してしまうほどの大きな規模の、持ち得る力を全て注ぐ"封印の咒"と引き換えに、彼女はこの水晶の中に封じられたのである。


  《 どうかどうか、お気をつけて。 》


 この水晶珠を、無事な平和の中に…目覚めたあなた自身の力で見つけられたのなら良いのですが。何も知らない身のままで、混沌の中に結界が解
ほどけてしまったのなら…最後までお守り申し上げられなかった私を許してください、そして、どうか用心して下さい。そんな状態で、なのにこれを読むことが出来たということは、誰か魔導師の方が傍らにいるのですね? お願いします。セナ王子をどうかお守り下さいませ。セナ、あなたは"月の子供"の…………で、金の………と………共に………光の公主となられるお方です。どうか、御身をお守り下さい…ま……。



   ………………………………………………………………………………。





 まるで古い古いオルゴールがそのゼンマイを延ばし切ってしまったかのように。不思議な声は力尽き、古い小さなテーブルを取り囲んでいた皆が、誰からともなく…声なき吐息をそっとついた。

  「…やっぱ、相当に大きな"良からぬもの"が王宮には徘徊してやがるんだぜ。」

 最初は側室を庇って王子を逃亡させた正妃にまで取り憑き、ああまで凄まじかった内乱を引き起こし。今また、新王を煽って王子の行方を探させている。人々をこうまで翻弄している悪しき存在。もしかして前回の騒動で関わった"迷いの森"から飛び出した存在なのだろうか?

  "…異次界の存在だとなると、これは手ごわいよな。"

 滅多に弱音は吐かない主義の蛭魔が"む〜ん"と考え込む白い横顔を傍らに見やって、ふと。桜庭が何かを思い出したように口を開いた。
「妖一、どうして側室様が早くに亡くなられたって判ってたの?」
 そういえば。もっと先の方、白い騎士を問い詰める中で、逃亡途中の早くに側室様は亡くなられた…という言い方をしていた彼だったような。だが、そうと問われた蛭魔は特に何の感慨も無さそうな顔のまま。その鋭く切れ上がった眼差しをちょいと、セナの方へと向けて見せ、
「そんなもん、この状況を見りゃあ判ることだろうが。」
 金髪の魔導師さんの言いようは、あくまでも あっけなく。
「まだご存命あそばすんなら、母上であるからってだけじゃあない、何を置いても守れと言われたこの大切な王子様の傍らからそう簡単には離れまい。二人一緒にいるのは人目を招いて危険だっていう理屈も通らねぇしな。」
 側室様を ではなく、この彼を守るための出奔であり遂電なのに、その傍らから不用心にも離れてどうするか。それに"囮
おとり"になるための行動だというのなら、むしろ彼女だけは城に居残り、セナがまだ城内に居る振りを続けた方がよほど効果的だった筈。よって…セナがこの村に独りぼっちでいたという状況からそうと察した蛭魔であったらしく、
「…妖一って賢いんだねぇ。」
「あのな…。」
 精霊として幾星層もの時を生き、人の歴史もそれに沿うて長々と見て来た存在の筈が、今更何を感心しているやらと、呆れたような顔をした蛭魔だったのは言うまでもなかったが…それはさておいて。
「その"月の子供"というのは、この根付けのことではないのか?」
 響きの良い低い声で訊きながら、進がそっとその指先に摘まんで見せた水晶細工。晩秋の静かな昼下がりの光を受けて煌いているそれは、今はもう、ただの透き通った石でしかなくて、
「さっきの現象から言っても恐らくは違う。これはあくまでも、まもりというご婦人のかけた封印のための"要石"だ。ただ、詳細な絵図の手配が回っていたからな。これはある意味で奴らにとっては"目印"になるのだろうさ。」
 相手は まもりの生まれた一族の事も当然知っていようから、防御封印にこれを使うという段取りだって、それなりに調べればすぐにも分かっただろうことは明白。
「これを持っている者、これに守られている者を探してるんだ、連中は。」
 となると、これはあまり人の目には触れさせない方が良いものであるということか。
「何にしても材料が少なすぎるな。」
 彼女が言い残した言の中、月の子供と金の何とかという、肝心なその部分が聞き取れなかったのが何とも口惜しい。神秘的な名前ながら、自分の知識の中には記憶さえないフレーズで。頭痛でも抑えているかのように、きゅうっとしわを寄せた眉間を白い指先で摘まんで、何やら深々と考え込んでいた蛭魔が、

  「………。」

 ふと。その淡い虹彩の瞳を、視線を持ち上げる。

  「月の子供ってのは、もしかしたらこのチビさん自身のことかも知れん。」

 王城、もしくはこの大陸に古くから伝わる神秘の何か。その力なり能力なりを宿した存在の、言わば"玉子"の状態にあるセナであり、金の何とかと共に、すなわち一対になって次へと発展する…とか。曖昧な部分が多いので、今のところは単なる憶測に過ぎないのではあるが、
「さっきの声は"光の公主"とやらを"宿す"とか"招く"とかそんな言い方はしなかった。あくまでもこいつ自身を差して、金の何とかが鍵となって、このチビさんが"光の公主"とやらに"なる"って言ったんだからな。」
 ならば、彼自身がそういう名前の存在であるとした方が自然ではなかろうか。

  「"光の公主"か…。」

 前世の記憶も残っている桜庭が、だが、小首を傾げているところを見ると、彼ほどの…前世が精霊だったような身であっても聞き馴れない存在だということであり、だが、

  「色々と曖昧だが、これだけは間違いなく、
   現在の皇太后…に取り憑いてる奴が恐れている対象ではある訳だ。」

 巫女としての能力さえ封じて、彼女の身を支配している悪しき存在。狙っていながらも下手には滅ぼす手も打てないまま、あくまでも人としての手配の内に捕らえようと、地道な画策を巡らせている段取りから察しても、

  「方向的には信頼して善さそうだな。」

 蛭魔がそうと断じて、再び見やったテーブルの向かい側。自分が淹れたお茶さえ忘れて、セナはぼんやりとテーブルの上へその視線を落としている。彼と知り合う切っ掛けになった先の騒動といい、余程のこと、良からぬ存在に魅入られやすい少年で。

  "というか。
   月の子供とかいう特別な存在だったからこそ、狙われたのかもな。"

 光の公主。桜庭が覚えていた聡明な姫君が転生した、それは清らかな魂を宿した娘さんが命を懸けて守ろうとしたほどなのだ。およそ陰世界には縁遠そうな、侵し難いまでに聖なる存在であろうことに間違いはない。彼がそういった存在になってしまえば、悪しき魔女だっておいそれと手出しは出来まい。それどころか、逆にこっちから封じることだって出来るのかも。そしてそれを恐れているからこそ、まだ覚醒前の子供である内に、何としてでも始末したがっているのかも。そんな認識が固まろうとしかけていた沈黙の中、

  「でも…。」

 当事者で中心人物である、セナが、恐る恐るという趣きの小さな声を発した。

  「ボクは、そんな仰々しい存在になんてなりたくはありません。」

 この場に集ったそれぞれに自負の強そうな顔触れへの畏怖だとか、扱っている問題の大きさへの脅威だとか。そういった…慣れないことへの切迫感を覚えてだろうか。顔も上げないままの、それはそれは小さな、だが、しっかりした声での自己主張。

  「ボクは何にも要らないです。この村で静かに暮らせていればそれでいい。
   王子であることも光の何とかであることも、今のボクには必要はないです。」

 だって何だか実感がない。そんな大層な身だなんて、突然言われてもよく判らない。懐かしいお姉さんの声までもがそんなことを言い立てて…。これまでみたいに平凡に平穏に暮らしてはいけないの? 季節の折々にお祭りやら畑仕事やらに皆で精を出して、楽しくて笑ったり、雨が続いて少しほど困ったりしながら、昨日までと同じ毎日を過ごしてはいけないの? それって全部"暗示"だったの? まだまだ幼い少年。血気盛んな暴れん坊ならともかくも、それは大人しくて気立ての優しい子。ましてや、自分は単なる農民の子だと思い込んでいる身の上に、こんな奇想天外なプロフィールをいきなり突きつけたところで、

  "信用しろって方が無理な相談だよな。"

 その辺りへの理解はさすがにある、蛭魔や桜庭、進ではあったが、
「だからって言ってもな、この封印が解けたからには、遠からず此処へも魔女の差し金で兵士たちはやって来るぜ。」
 まもりが案じていたように、自分たちが此処だと嗅ぎつけることが出来たようにな。蛭魔がそうと言ってやり、そして、ということは…。

  「ボクのせいで、兵士たちが此処に…?」

 王城キングダムから此の地までは遥かに遠い。ただの使者を仕立てるにしてもかなりの編成にしなければ"威厳ある使者"としての威容は保てまいし、それが力づくにて押し寄せんとする軍勢ともなれば…やはり大層な部隊を寄越すことへと運ぶに違いなく。
「まもりお姉ちゃんが こうまでしなきゃならなかったような、悲しい事ばかりが起こる戦乱がやって来るのでしょうか。」
 ボクは此処にいてはいけない存在だったの? 何とも悲しげに表情を曇らせて、幼い唇をきつく咬みしめるセナへ、
「さあな。ここにいる俺たちはそれを"お前のせい"だとは思わない。だがな、その身をこそ立ててくれないと、戦乱や騒動はやはり起こっちまうし、ただ逃げ隠ればかりしていたんじゃ、なかなか収拾がつかないと思うぜ。」
 それこそお前の意志に関わらず、強大な何かを此処へと引き寄せてしまう。あの王城キングダムなんていう大国を、疑心暗鬼による混乱と混沌の戦乱の中へと引き摺り込んだほどの、不気味な何かをな。蛭魔は臆する事なく、そして斟酌なしに、真実に最も近い言いようをし、
「それよりも、だ。」
 真っ直ぐな眼差しが少年の瞳を見据えて、

  「いっそ、こっちから乗り込んで、その鍵とやらを見つけ出そうや。」

 とんでもないことを言い出したもんだから、

  「ちょ…妖一っ?!」

 そこまでの話は聞いていなかったらしき桜庭が真っ先にギョッとする。すぐ傍らの相棒へ、驚愕に弾かれたお顔を向けた白魔導師さんなのへも意に介さぬまま、

  「時が来れば自然なこととして殻を破って孵化する…ならともかく、
   何かしらの"鍵"が要りような身らしいからな。
   そんな"光の君主"ってのに、自分たちよりも通じてるらしき、
   悪しき側の張本人に、この際だから詰め寄ってやろうじゃねぇかよ。」

 相変わらずに破天荒にして行動派。きっちりとその筋の修行を収めた身でありながら…この世の法も真理も定説もセオリーも何するものぞで、自分の信じた道を、感じた閃きをこそ、最優先に尊重して突き進む、何ともパワフルで"俺様"な魔導師さんであり、


  「待ってるのは苦手だ。攻撃こそ最大の防御なりって言うだろが。」


 くくく…と低く、いかにも愉快そうに。それは強かに笑って見せた蛭魔であった。





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 *やぁっと事態の全容が見えて、これからが正念場でございます。
  ここからが長いんだろうな、クスン。